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63話 蒼月の館 ― 終幕に灯る影

【登場人物紹介】


れい


探偵。冷静で洞察力に優れる。

蒼月の“死”に違和感を覚え、依頼を受けて山中の館へ向かう。

表情の少ないが、朱音の純粋さにだけは目を曇らせる瞬間がある。

事件の核心に最初に触れた人物。



■ 佐々木圭介ささき けいすけ


朱音の父。温和で責任感の強い人物。

過去の事件を抱えており、時に判断が鈍ることもあるが、娘の安全を最優先に行動する。

今回の事件でも、真相を見届ける立会人となった。



■ 佐々木朱音ささき あかね


圭介の娘で、年齢に似合わない鋭い直感を持つ少女。

スケッチブックに描く絵は、しばしば「見えないもの」を映し出す。

館の絵画の“異変”に最初に気付いた。



藤堂華とうどう はな


蒼月の“片腕”だったからくり技師。

正確無比な手仕事と豊富な知識を持つ一方で、蒼月の死の真相に強い罪責感を抱えている。

館で発見される数々の仕掛けを唯一理解できる存在。



蒼月あおつき


名を残した奇才の芸術家。

生死不明のまま時だけが過ぎ、今回の事件の中心人物となる。

残した設計図には“誰かの意図”が混じっている。



相良恭介さがら きょうすけ白鳥薫しらとり かおる


事件の裏で真実を握っていた人物。

かつての名を捨て、自分自身の罪と向き合うために証言を選んだ。

蒼月、藤堂華の過去と深く関わっている。

冒頭


午後3時半頃、山間の旧邸宅の門前


車はゆっくりと石柱の間を通り抜けた。錆びついた門扉は開き切らず、かすかな軋み音を立てる。


 「……ここか」


佐々木圭介が小声で呟く。運転席の手元は、依然として軽く震えていた。


 玲は窓の外をじっと見つめ、緑に覆われた邸宅の輪郭を確認する。屋根瓦は部分的に崩れ、壁面には蔦が絡みついていた。


 「資料には、ここが蒼月作品の主要なアトリエだったとある。表向きは廃墟同然だが……中にまだ設備は残っているはずだ」


 朱音が助手席側に体を乗り出し、門柱に刻まれた文字を指差す。


 「“霧影邸”……なんだか、映画に出てきそうな名前だね」


 玲は微かに笑みを浮かべながらも、眉間に皺を寄せた。


 「廃墟ではなく、管理された現役の邸宅。残された資料と作品を守るための措置だろう。だが……警備や仕掛けには注意が必要だ」


 圭介がアクセルを軽く緩め、車を庭先の砂利道に沿って進める。落ち葉がタイヤの下で軽く擦れる音が響いた。


 「……今日は、どんな顔をして出迎えてくれるんだろうな」


 玲の視線は邸宅の玄関に固定された。そこにはすでに、薄暗い影がゆらりと動いていた。


 朱音が息を呑み、スケッチブックを抱き直す。


 「……誰か、いる」


午後3時40分頃、霧影邸・正門付近


 車は砂利道を揺らしながら進み、古びた石造りの門柱を過ぎると、邸宅の全体像が目に入った。屋根の一部は苔に覆われ、蔦が壁面を這い、窓のガラスの一枚はひび割れていた。


 「……生きている人が住んでいるとは、とても思えないな」


 朱音が小さく呟く。手元のスケッチブックを抱きしめ、目を細めて邸宅を観察していた。


 「外見だけで判断するな」と玲は静かに返す。「中はまだ使用されている。管理人や仕掛けも残っているはずだ」


 助手席の窓から差し込む午後の光が、車内の書類や道具を淡く照らす。圭介は慎重にアクセルを操作し、砂利道を滑るように進む。


 「……誰が迎えるんだろうな。蒼月の“片腕”だった女か」


 玲は微かに眉を寄せ、視線を邸宅の玄関に定めた。そこには、古い木製の扉の隙間から、薄暗い影が揺れているのが見えた。


 「……あの人だ」朱音の声が小さく震えた。


 車はゆっくりと庭に入る。午後の光が廃墟のような外観を柔らかく照らす中、静寂と緊張が混ざった空気が流れた。


 「準備は整った。これから先は、慎重に行動する」玲が低く呟く。


 そして、三人の視線は、邸宅の奥深く、未知の空間へと向けられた。


午後3時45分頃、霧影邸・玄関


 きい、と古い金属と木の軋む音。玄関の扉が、長い年月の重みを押しのけるようにゆっくりと開いた。


 「……これは、予想以上に手間がかかりそうだ」


 玲は車内から低くつぶやき、両手を軽く握りしめる。外気が車内に流れ込み、湿った土と古木の匂いが鼻を刺激した。


 朱音が小声で、しかし確かな緊張を含ませて言った。

 「……誰かいる……」


 扉の向こう、薄暗い玄関ホールの奥で、影が揺れた。人影は一瞬、形を留めたように見えたが、すぐに廊下の奥へと吸い込まれる。


 圭介が息を殺しながらハンドルを握り直す。

 「さあ、行くぞ。足元には気をつけろ」


 玲はうなずき、スケッチブックを抱える朱音の肩に手をかける。三人は息をそろえ、ゆっくりと車を降りた。


 邸宅内の静寂が、彼らの足音を反響させ、空間全体を重く圧迫していた。


午後3時50分頃、霧影邸・玄関ホール


 館の扉が重く閉まり、金属と木の軋む音が残響として天井を駆け巡った。外の光も音も、すべて遮断された。


 玲は足元に気をつけながら、玄関ホールに足を踏み入れる。古い大理石の床はところどころひび割れ、壁紙も色褪せているが、そこに漂う空気はどこか“整いすぎていない”美しさを湛えていた。


 朱音が小声で息を漏らす。

 「……すごい……ただの廃屋じゃない……」


 圭介が扉の方を振り返り、低くつぶやいた。

 「この館……手入れはされてるな。だが、人の気配は薄い」


 玄関ホールの奥、階段へ続く通路には、埃の積もった手すりと古びた絨毯が敷かれ、かすかに木の香りと年月の匂いが混ざって漂っていた。


 玲は深呼吸をひとつしてから、朱音と圭介に視線を向ける。

 「よし、探索を始めよう。まずは館の内部を確認する」


 三人の足音が、静まり返った館内に柔らかく響いた。


午後3時55分頃、霧影邸・玄関ホール


 壁には、六枚の絵画が掛けられていた。どれも年代物の油彩で、風景画や肖像画、抽象的な構図まで、作風はまちまちだった。だが、ただの飾りではないことは一目で分かった。絵の配置や額縁の色合い、壁との距離感──何もかもが計算され、まるでこの空間全体が一種の“展示室”のように演出されていた。


 朱音がそっと絵の一つに近づき、額縁に触れる。

 「……これ、描かれた人が見てるみたい」


 玲は彼女の肩越しに視線を送る。風景画の中に描かれた森の小径、肖像画の人物の眼差し──どれも、じっとこちらを見つめているように錯覚させる力を持っていた。


 圭介は手を組み、微かに眉をひそめる。

 「ただの装飾じゃない……誰かが意図して、この順序で配置したはずだ」


 玲は壁の前で立ち止まり、絵画の構図を頭の中で整理する。光の当たり方、影の流れ、描かれたモチーフの連鎖──それらが、館全体の空気と呼応するように設計されていたことに気づいた。


 「ここまで計算されている……まるで、館自体が“物語”になっているようだ」玲は低く呟く。

 朱音が首を傾げる。

 「物語って……絵だけで?」


 玲は額縁を一枚一枚慎重に観察しながら答える。

 「ただの絵じゃない。絵の中の人物、風景、配置の順序──全部が、誰かの記憶や意図を伝える手段になっている。ここには、目に見えない“演出”が隠されている」


 圭介が一歩前に進み、声を落として言う。

 「つまり……この館自体が、舞台なんだな」


 三人の視線が絵画を横切る。まるで、館の歴史と秘密が、ひそやかに彼らに語りかけているかのようだった。


 ホールの奥、階段の向こうから微かに冷たい風が吹き込む。絵画の表面がかすかに揺れる。玲は背筋にぞくりとした感覚を覚えた。

 「気を抜くな……この館は、まだ何も語っていない」


 三人の足音が、六枚の絵画の前で一瞬止まった。静まり返った空間の中で、絵画はまるで呼吸しているかのように圧を放っていた。


午後4時10分頃、霧影邸・アトリエ


 アトリエの床は無垢材で、微かに年月の匂いが混じる。壁にはキャンバスが規則正しく立てかけられ、棚には絵の具や筆、削られた鉛筆が整然と並んでいた。机の上には開かれたスケッチブックがあり、未完成の習作が数枚、ページの端で微かに波打っている。


 朱音がそっと近づき、指先でページの一つに触れる。

 「……この線、動きが生きてる……」


 玲は彼女の横で視線を巡らせた。壁に掛けられた風景画や人物画の一枚一枚が、静かに語りかけてくるようだった。光の差す角度によって、影の形がわずかに変わり、絵に奥行きと時間の経過を与えている。


 圭介は室内を一周しながら、低く呟く。

 「整頓されすぎている……いや、整然としているんじゃない。これは、誰かの意図だ」


 玲はスケッチブックを手に取り、軽く指でページをめくる。線や影、空白の取り方……どれも、ただ描かれたものではなく、何かを伝えようとしている。

 「ここには、作者の“声”が残されている。物理的な秩序だけじゃなく、精神の秩序も計算されている……」


 朱音が息を呑む。

 「精神の秩序……って、どういうこと?」


 玲はスケッチブックの一枚を指差し、落ち着いた声で言った。

 「見たままじゃない。線のリズム、陰影の流れ、空白の余白……全部が“物語”になっているんだ。ここで描かれたものは、作者が何を感じ、何を隠したかを伝える暗号みたいなものだ」


 圭介が天井の高い窓に視線を上げる。

 「光も計算されている……ただの自然光じゃない。作品を浮かび上がらせるために、この時間、この角度を想定している」


 玲は頷き、静かにスケッチブックを閉じた。

 「ここは、アトリエであると同時に舞台だ。誰かの“視線”と“意図”が、静かに、しかし確実に息づいている」


 窓の外で風が樹々を揺らす。光が微かに動き、アトリエ内の空気が揺らぐ。三人はその場に立ち尽くし、作者の存在を、そして残された意図を、言葉にできないまま感じ取っていた。


午後5時半頃、霧影邸・地下倉庫


 遺体は古い木箱の横に横たわっていた。白いシャツは埃にまみれ、手足は微かに硬直している。


 玲は息を整え、ゆっくりと視線を遺体に落とす。

 「……これは、偶然の死じゃない」


 朱音が小さく息を吐く。

 「……どうして、こんなふうに……」


 圭介は拳を握りしめ、床の汚れた跡を見つめた。

 「計画的だ。動かされた痕跡がはっきり残っている」


 奈々は端末を操作しながら、声を抑えて報告する。

 「ここに残された証拠は、全てが“意図された配置”です。火災も含め、偶然ではありえません」


 玲は少し間を置き、低い声で呟く。

 「すべてが、誰かの“舞台”の一部として組まれている……」


 沈黙が再び倉庫内を包む。遠くで鉄扉が軋む音が響くが、誰もそれに反応できなかった。三人の視線は、遺体とその周囲の痕跡に吸い寄せられたままだった。


 朱音が小さな声で囁く。

 「……目を逸らせない……」


 玲は静かに頷き、視線を巡らせながら言った。

 「目を逸らすべきじゃない。これもまた、真実の一部だから」


 地下倉庫には、重く冷たい静寂だけが残った。


午後5時45分頃、霧影邸・地下倉庫


 玲は遺体の首筋をそっと観察し、目を細めた。

 「……注射痕だ。皮膚の下に何か仕込まれている」


 奈々が端末を覗き込みながら言う。

 「薬液か、麻酔の類かもしれません。ただ、注射の痕が浅く、普通の注射器では届きにくい場所です」


 圭介が低く唸る。

 「誰がこんなことを……意図的に、しかも秘密裏に……」


 朱音は手元のスケッチブックに小さく記録を走らせながら、小声でつぶやく。

 「……舞台みたい……でも、これは人の命が関わってる……」


 玲は顔を上げ、倉庫の暗がりを見渡す。

 「仕掛けられた舞台装置のように、死もまた計算されている……。この痕跡は、単なる偶然じゃない」


 奈々が頷き、周囲を確認する。

 「見落とせない証拠です。ここには、まだ何か隠されている」


 遺体の周囲には、重い沈黙が漂い、三人の視線は互いに交わることなく、ただ注射痕に吸い寄せられたままだった。


午後5時50分頃、霧影邸・アトリエ


 玲は本棚の隙間に手をかけ、ゆっくりと引いた。

 「……壁の裏に空間がある……」


 朱音が息を飲む。

 「こんなところに隠し部屋が……?」


 圭介が眉を寄せ、壁の奥を慎重にのぞき込む。

 「まるで舞台装置みたいだな……。計算され尽くしている」


 奈々が端末で光を当てながら確認する。

 「暗くて狭いけど、何か書類や箱が積まれているようです」


 玲は息を整え、手を伸ばした。

 「これも……事件の手がかりになるかもしれない。急ごう」


 アトリエの光の中で、四人の影が長く伸び、壁の奥に潜む秘密へと静かに迫っていった。


午後5時52分頃、霧影邸・アトリエ


 玲の指先が小さな金属の感触を捉えた。

 「……引き出しのロックだ」


 朱音がそっと息を吐く。

 「開くの……?」


 玲は微かにうなずき、力を込める。パチッ、と金属音が響き、隙間がわずかに開いた。


 中から現れたのは、埃をかぶった古びたファイルと、細い鍵束。

 「……これは……」玲の声は低く、しかし確信めいていた。

 「事件の痕跡が残されている……間違いない」


 圭介が慎重に手を差し伸べる。

 「まずは中身を確認しよう。安易に持ち出すな」


 奈々が端末のライトを当てながら頷いた。

 「ここから、新たな真実が見えてくる……」


 アトリエの静寂の中で、四人の呼吸だけが微かに揺れ、古い秘密が今、姿を現そうとしていた。


午後5時55分頃、霧影邸・アトリエ


 冷たい空気が部屋の隅から流れ込むように感じられ、四人の肩を緊張が走った。

 玲はファイルを手に取り、慎重にページをめくる。紙の端が微かにざらつき、古いインクの匂いが鼻をくすぐる。


 「……これは、設計図か。いや、単なるメモじゃない……」玲の声は低く、緊張を帯びていた。

 朱音が小さく身をすくめ、窓の外を見やる。

 「冷たい風……外からじゃない……この部屋の中から?」


 圭介がゆっくりと首を傾ける。

 「換気口か……いや、違う。構造上、こんな場所に風が通るはずはない」


 奈々が端末を操作しながら言った。

 「室温センサーに反応が……微弱な動き。誰か、ここに“残っている”みたいです」


 四人の視線が、アトリエの奥にある影の中に集まった。

 冷気は単なる空調ではない。長く閉ざされた秘密が、静かに、しかし確実に、彼らに呼びかけているようだった。


午後6時10分頃、霧影邸・地下倉庫


 扉が開くと、かすかな埃の匂いと湿気が入り混じった空気が流れ出した。

 玲は一歩足を踏み入れ、光を手前に引き寄せるように懐中電灯を向けた。


 「……ここが、誰も立ち入らなかった場所か」


 朱音が息を呑む。

 「なんだか……空気が重い。呼吸まで、押しつぶされそう」


 圭介が慎重に足を進める。

 「床が軋む……気をつけろ。古い構造だから、どこが崩れてもおかしくない」


 奈々は端末を操作しながら、微かな反応に目を細める。

 「信号が乱れてる。ここに、何か……機械か、あるいは人影の残像か」


 倉庫の奥から、古びた木箱や鉄製棚が並ぶ影が揺れ、冷気とともに過去の秘密を静かに囁いた。

 その中で、彼らはすでに何か異様な存在を感じ取っていた。


午後6時15分頃、霧影邸・地下倉庫


 薄曇りの空から差し込む光は、地下の隙間をかすかに照らすだけで、室内の影は一層濃く沈んでいた。

 玲は懐中電灯の光を揺らしながら、箱や棚の影に目を凝らす。


 「……光が弱い。ここで足元を誤ると、危ないぞ」


 朱音が小さく息を吐く。

 「ひんやりしてる……空気が、まるで時間を止めてるみたい」


 圭介が静かに棚の隙間を覗き込む。

 「見ろ、この扉の奥……木箱が積まれてる。古い物ばかりだが、何か紛れているかもしれない」


 奈々は端末のセンサーを眺め、数字を確認する。

 「信号の乱れ……普通の機械じゃない。誰かが最近、ここを使った形跡がある」


 薄暗い空間の中、彼らの視線は自然に一箇所に集中する。

 そこには、長い間封印されてきた“何か”が、静かに潜んでいた。


午後3時45分頃、高速道路出口付近の山道


 舗装された坂道を、車は慎重に下っていく。

 杉と檜の混ざった濃い緑が、窓の外をゆっくりと流れていった。


 佐々木圭介がハンドルを握りながら、低い声でつぶやく。

 「あと5キロで目的地だ。道は狭いが、事故には注意しないと」


 助手席の玲は、前方を見据えながら、静かにメモを取り出す。

 「ここまでの情報で、状況はおおよそ把握できた。ただ……現場に行くまでは何も判断できない」


 後部座席の朱音が、窓の外を見上げながら小さく言う。

 「緑が深いね……ここに、あんな事件の舞台があるなんて、想像できない」


 圭介は微かに笑みを浮かべる。

 「自然は静かだが、事件はいつも不意に現れる。油断は禁物だ」


 車は坂道を進み、前方に古びた石造りの門が姿を現す。

 午後の柔らかい光が、門の影を長く伸ばしていた。


午後3時50分頃、山間の下り坂


 日差しはやわらかく、杉林の間から斜めに差し込む。

 車はゆるやかに下り坂を降りていく。


 朱音が窓の外の緑を見つめ、小さく息を吐く。

 「振り返らなければ、ここが事件の舞台だったなんて、信じられない……」


 助手席の玲は、メモ帳を手に取りながら静かに答える。

 「記憶と記録が交錯した場所ほど、外見からは分かりにくいものだ」


 運転する圭介は視線を前に固定し、言葉少なに口を開く。

 「油断はできない。見た目の静けさは、危険の陰に隠れていることもある」


 車のタイヤが舗装道路を滑るように進み、前方に古びた石柱の門が見えてきた。

 午後の光が門の影を長く引き、空気が一層静まり返ったように感じられる。


午後3時45分、道の駅の駐車場


助手席の玲は、車の窓から見える緑の山並みをぼんやりと眺めていた。

「……ここまで来ると、街の喧騒が遠くなるな」


後部座席の朱音はスケッチブックを膝の上に置き、ペン先を指でなぞるようにしていた。

「空気が……柔らかいね。描きやすそう」


運転席の佐々木圭介はエンジンを切り、静かに車内を見渡す。

「一息つくにはいい場所だ。あと5キロほどで目的地だが、ここで景色を楽しむのも悪くない」


玲は短く頷き、ポケットから小さなメモ帳を取り出す。

「蒼月の設計図と、華の署名……この先、対面する彼女の動きで何が分かるか。今日は慎重に行動する必要がある」


朱音は窓の外に視線を戻し、低く呟いた。

「……私、描きたい。あの人たちが残したもの、全部」


車内は静かに、しかし確実に緊張感を孕んだ時間が流れていた。

山あいの蝉の声と、遠くで揺れる木々の音だけが、午後の静けさを彩っている。


午後3時50分、道の駅駐車場


玲は小さく息を吐き、窓越しの景色を目に焼き付けながら呟いた。

「芸術は、時に人の心を狂わせる……それも、恐ろしく深い狂気を」


朱音はペンを握ったまま、静かに首を傾げる。

「狂わせるって……怖いね。でも、同時に心を動かす力もあるんだよね?」


佐々木圭介は後部座席の二人を見やり、穏やかな声で答えた。

「そうだ。だからこそ、見極める目を持たなきゃならない。芸術の美しさに惑わされて、真実を見失うことがある」


玲はメモ帳をそっと閉じ、車のドアを軽くノックする。

「この先、僕たちが触れるのは単なる作品じゃない。人の心に潜む“暗い部分”そのものだ」


朱音は静かにペンを置き、窓の外の緑を見つめる。

「でも……知りたい。全部、知りたい」


山あいの蝉の声が、少し高く、少しざわめくように響いた。

午後の陽射しは柔らかいのに、車内の空気は緊張で重く、次に待つ“対面”の影を予感させていた。


午後4時15分、山道沿いの林道


車のエンジン音が静かに空気を震わせる。玲は助手席の窓から、ゆっくりと遠ざかっていく邸宅の影を目で追った。


朱音は後部座席でスケッチブックを膝に抱き、最後のページをそっと閉じる。

「……これで、全部終わったのかな」


玲はわずかに息を吐き、口を開いた。

「終わり……ではないかもしれない。でも、少なくとも今は、誰もが“次の一歩”を踏み出せる状態になった」


山の風が車の窓をかすかに揺らし、蝉の声が遠くから届く。

朱音が小さく笑い、ペンを握り直す。

「私も、また描き始められるね」


佐々木圭介はハンドルに手を置いたまま、前方の道を見つめる。

「人の心も、記録も、すべてが揺れ動く。だが、それを見守るのが、俺たちの仕事だ」


車は曲がりくねった山道をゆっくりと進み、午後の光が樹間を抜けて輝く。

終わりと始まりの境界は、静かに、しかし確実にそこにあった。


午後4時35分、道の駅駐車場


相良恭介は、車の助手席で静かに手元の書類を確認していた。紙の上にペンを置くと、ゆっくりとサインを記す。


その所作は無言の決意を伴っており、周囲の蝉時雨や車のエンジン音に溶け込むかのように静かだった。


「これで、正式に……」

声は小さく、ほとんど風に消えそうだったが、彼自身には十分に響いていた。


署名を終えると、紙をそっと手渡し、短く息をつく。外の光が書類の上で微かに反射し、ひとつの区切りを象徴しているかのようだった。


朱音が後部座席から小さく問いかける。

「……これで全部、本当に片付いたの?」


恭介は少しだけ目を細め、前方の山道を見つめる。

「片付いたかどうかは、時間が教えてくれる。だが、これで前に進む道はできたはずだ」


蝉の声がさらに強まり、午後の陽射しが木々の葉を揺らす。小さな署名が、静かに過去と未来を繋いでいた。


午後5時12分 玲探偵事務所


夕陽が傾き、事務所の窓にオレンジの光が射し込んでいた。

長い影が床に伸び、机の上のファイルや資料にやわらかな金色を落とす。


玲はデスクに座り、静かにページを閉じた。

蒼月の邸宅で回収された資料──その最終ページには、短い走り書きが残されていた。


「“終幕は、観客ではなく演者が決める。”」


玲は低くつぶやいた。


「……らしい言い方だ。蒼月、あんたらしい」


時計の秒針がカチ、カチと室内の静けさを刻む。

外では、夏の一日が終わりかけ、遠くで子どもたちの声がかすかに消えていく。


そこへ、玄関のドアが軽くノックされた。


「玲さん、入ります」


ドアを開けたのは佐々木圭介だった。

夕陽に照らされた彼の表情には、疲労と、何か区切りをつけた者の静かな安堵が混ざっている。


「朱音は?」

玲が尋ねる。


「ソファで寝たよ。今日はいろいろありすぎた。……無理もない」


玲はうなずき、窓の外の茜色の空に一度視線を向けてから言った。


「圭介さん。今回の依頼──まだ“終わり”じゃありません」


圭介は黙って椅子に腰を下ろす。


「蒼月の“死”に関する書類、そして華の遺した証言。それらはすべて断片的だ。

 誰かが舞台裏で手を引いていた。……まだ、そこに辿りつけていない」


圭介は深く息を吸い、静かに吐き出した。


「覚悟はできている。俺たちは……巻き込まれたんじゃない。もう、選んでいるんだろう?」


玲は一瞬だけ目を伏せ、淡く笑った。


「ええ。あなたも、朱音ちゃんも」


沈黙がおりる。

夕陽は赤から薄桃色へと変わり、事務所全体をやわらかく染めていた。


ややあって、圭介がぽつりと口を開く。


「玲さん──

 蒼月は、本当に“終わらせた”かったのか? あの舞台を」


玲の指が柿色の光の中、机の端をそっとなぞる。


「……終わらせたかったのではない。

 “奪われた幕”を、自分の手で閉じ直したかった」


その声は夕暮れの静けさに溶けていった。


そのとき、ソファの方で小さな寝返りの音がする。

朱音がうっすらと目を開け、眠たげに一言。


「……玲さん……また絵が描ける気がする……」


玲の手が止まった。

圭介は娘を見つめ、胸の奥が震える。


玲は微笑し、短く答えた。


「描きなさい。朱音ちゃん。

 “物語”はいつだって、続きが描けるのだから」


事務所の外では、夕闇がゆっくりと街に降りていた。

二度と戻らない今日が終わり、新しい夜が静かに幕を開けようとしていた。


午前7時12分 玲探偵事務所


玲は、朝の静けさの中でブラインドを指先でそっと押し上げた。

外に広がるのは、まだエンジン音もまばらな都会の景色。

淡い光が事務所の木製デスクに斜めに差し込み、湯気を立てるマグカップの縁を金色に染める。


コト……

机に置いたカップが小さな音を立てた。


玲は資料の束に目を落としたまま、独り言のように呟く。


「……ようやく、ひとつ終わった。だが“静けさ”が訪れるのは、いつも嵐の前だ」


紙の端を指で整えながら、彼は深い呼吸をした。

その動きは習慣のようでいて、どこか気持ちを切り替える儀式にも見えた。


そこへ、事務所のドアがノックされた。


コン、コン。


玲は眉をわずかに上げ、顔を向ける。


「どうぞ」


扉が開き、朱音がひょこりと顔を覗かせた。

寝癖のままの髪、緩んだ表情。まだ朝の空気の中にいる少女。


「……おはよう、玲さん」


「もう少し寝ていてもよかったんだがな」


朱音は小さく首を振り、手に抱えたスケッチブックをそっと持ち上げた。


「……なんか、描きたくなったの」


玲はほんの一瞬、目を和らげる。


「そうか。なら、机を使うといい」


朱音は事務所の光に包まれる席に着き、スケッチブックを開いた。

紙の上に鉛筆が触れる前、彼女は小さく呟く。


「ここから……また、始まるんだよね?」


玲は窓の外を見つめ、静かに答えた。


「始まるさ。

 ただし──今回は“誰も犠牲にしない”物語を、だ」


朝の光がふたりを照らし、事務所の空気はゆっくりと動き始めた。

まだページは白のまま。

だが、その余白には確かに、新しい幕が開こうとしていた。


【後日談】

場所:市立公園・午後の木陰/時間:午後2時42分


朱音はスケッチブックを膝に広げ、ベンチに座っていた。

公園の大きなクスノキがつくる影の中、風がそよぐたびに木漏れ日が揺れ、白い紙の上をかすかに流れていく。


彼女の鉛筆は止まったままで、ページには未完成の線だけが残っていた。


「……もう、描けないってわけじゃないんだけどな」


朱音は小さく呟き、鉛筆の先を見つめる。


足音が近づく。

振り返ると、佐々木圭介が手にアイスコーヒー、もう片方の手にペットボトルの麦茶を持って立っていた。


「休憩中か?」

彼の声は柔らかかった。


「うん……描こうとしてるんだけど、なんか、違うの」


「違う?」


朱音はページをそっと撫でた。


「この前の……あの館のこと。

藤堂さんのこと。

あの絵の部屋の空気とか……全部、まだうまく形にならなくて」


圭介はベンチに腰を下ろし、麦茶を渡した。


「無理に急がなくていいさ。

描きたくないなら描かなくていいし、描きたいなら、描けるときまで待てばいい」


朱音は麦茶を受け取り、キャップを開ける前に少しだけ父の横顔を見た。


「……玲さんは、どう思ってるのかな」


圭介は少し笑う。


「玲のことだ。何か考えてはいるだろうが、全部を言葉にはしない。

でも、お前の絵が“止まった”理由くらいは、きっと分かってる」


「そっか……」


風がまた木の枝を揺らし、日差しの粒が二人の足元に落ちた。


沈黙が続いたあと、朱音はふと、スケッチブックの新しいページをめくった。


「なんかね。

今は“こわいもの”じゃなくて、“ちゃんとうつすもの”を描きたい気がする」


圭介はゆっくりとうなずいた。


「それは、いい変化だ」


朱音は鉛筆を握り直した。


目の前の何気ない風景—木陰の揺れ、人々の気配、父の影。

そのすべてが、今の彼女にとっては“十分な題材”だった。


「……よし。まずは、公園から描いてみる」


そう呟くと、鉛筆が紙に触れた。


かすかな線が生まれる。

その線はまだたどたどしく、けれど確かに“前へ進む気配”を持っていた。


圭介はその様子を少し離れた目で見守りながら、静かに言った。


「朱音。

あの日のことは忘れなくていい。

でも、お前の未来が止まる必要もない」


朱音は描きながら、小さく笑った。


「うん……わかってる」


夏の風が、ページを優しく揺らした。

その揺れに合わせるように、新しい絵が少しずつ形を帯びていく。


こうして、事件の影をくぐり抜けた日々は、静かに、しかし確実に日常へと戻り始めていた。


後日談

2025年7月18日 都内・警視庁取調室


相良恭介──かつて“白鳥薫”と名乗っていた男は、無機質な取調室の中央に置かれた金属製の机の前で、背筋をまっすぐに伸ばして座っていた。

窓はなく、天井の灯りが白く均一に机を照らしている。

その光は、彼の影を濃く落とし、沈黙を強調していた。


刑事が書類を閉じ、静かに言葉を置く。


「……君の証言、確かに受理した。

 ただし、罪が消えるわけじゃない。分かっているな」


相良は目を伏せ、深く、短く息を吐いた。


「……ええ。逃げる気はありません。

 この手で終わらせなかった“舞台”に、ようやく区切りをつけられるのなら」


刑事は、淡々と続きを告げる。


「藤堂華の件──お前が“正当防衛ではない”と認めたことは重い。

 だが、彼女の過去の関与や、蒼月の失踪に関する証言は重要な材料になる。

 玲探偵事務所にも確認を取るが……君の協力は、評価されるはずだ」


相良はゆっくりと顔を上げた。

その目に浮かんでいたものは、諦めではなく、ようやく見出した「方向」だった。


「もう嘘はつきません。

 彼女が遺した“装置”も、映像も……すべて話しました。

 あれは、誰にも使わせてはいけなかった」


「分かっているなら上出来だ」


刑事は椅子を引き、立ち上がった。

だがドアに手をかける前、ふと振り返る。


「……蒼月の生死について。

 本当に、あれが“偽物”だと、今でも思うか?」


相良は、迷いなく答えた。


「はい。

 蒼月はあの夜、まだ生きていました。

 そして──私の知らない“誰か”と一緒に、姿を消した」


取調室に、再び重たい沈黙が落ちた。


刑事は短く息をつき、


「……続きは捜査で明らかにする。今日はここまでだ」


そう言い残して、扉の向こうへと消えていった。


相良はひとり残された部屋で、手を組んだまま、静かに目を閉じる。


彼の横顔は、過去の影と未来の光、その境界で揺れていた。


「これで……ようやく、終われるのだろうか」


誰にも届かない問いが、密室の空気に溶けて消えた。


後日談

午後/藤堂華の私室兼作業室


金属の打音が小さく響いている。

藤堂華は小型の歯車をピンセットでつまみ、わずかに角度を調整した。

机の上には散らかった図面、工具、そして蒼月の館から回収された“からくり装置”の一部が静かに横たわっている。


窓の外には、夏の終わりを知らせるように、風鈴がかすかに鳴った。


華は細い息を吐き、視線を手元の設計図へ移した。


「……ここだけ、どうしても辻褄が合わないのよね」


歯車を置き、図面の端にメモを走らせる。

彼女の指先には、かすかに油が付いていた。


ふと、机の隅に立てかけられた、蒼月の癖の強い筆跡のメモが目に入る。


──“作品は、不完全なまま残しておけ。

   完成は、誰かの未来の仕事だ”


華は苦笑した。


「未来を押しつけないでよ……。残されたほうは、ずっとあなたの答えを探すんだから」


机の上の装置をそっと撫でる。

その内部には、蒼月が最晩年に作りかけていた“自動記録式オルゴール”の芯部分が残されていた。


「あなたが、最後に何を記録しようとしたのか……。

 玲くんたちには言わなかったけど、私はまだ……そこが気になってる」


部屋の隅の古い時計が、コトリと音を立てた。

秒針が進むたびに、作業室の空気がわずかに震える。


華は椅子を引き、立ち上がった。


「……もう一度、分解してみましょうか。何か、気づけるかもしれない」


自分に言い聞かせるように声を落とし、白い手袋をつけ直す。


その瞳には、事件の終わりではなく——

“創られなかった物語の続きを探す人間”としての静かな炎が宿っていた。


**後日談


圭介は立ち止まり、館の入り口を見上げていた。**


【8月某日/午後4時12分/蒼月邸・正門前】


夏の陽射しはすでに傾き始め、蒼月邸の石柱が長い影を道へと落としていた。

蝉の声は弱まり、代わりに風が梢を揺らす音が静かに広がっていく。


圭介は、かつて自分たちが入っていったあの鉄の門を、ゆっくりと見上げた。

あの日と同じ場所──だが、胸に残る重さは違っていた。


ポケットに入れたままの、あの日の鍵。

もう使うことはないはずなのに、捨てられずにいた。


「……終わった、はずなんだけどな」


圭介の声は、風に溶けるほど小さかった。


事件は解決した。

相良恭介の過ちも、華の沈黙も、蒼月の幻のような“死”も──

すべてが露わになり、整理され、片がついた。


それでも、館を前にすると胸の奥がざわつく。


そこへ、後ろから軽い足音が近づく。


「パパ、どうしたの?」

朱音が、少し首をかしげながら横に立った。

スケッチブックを胸に抱え、目を細めて門を見つめる。


圭介は笑おうとして、うまく形にならなかった。


「いや。少し……思い返してただけだ」


朱音は石柱の影を見ながら、ぽつりとつぶやいた。


「ここ、まだ“絵”が残ってる気がする」


「絵?」


「うん。だれかが描いたみたいに……なんか、終わりきってない感じ」


圭介は息を呑んだ。

子どもらしい表現なのに、なぜか鋭く胸に刺さる言葉だった。


朱音は、スケッチブックをそっと開いた。

そこには蒼月の館の輪郭が、薄い線で描かれている。


まだ完成していない絵。


「続きを描くの?」と圭介。


朱音は首を横に振る。


「ううん。これは……まだ描いちゃダメな気がする。

 だって、“終わってない”なら……終わるまで待たなきゃ」


小さな声なのに、不思議と強かった。


圭介は、胸の奥にずっと残っていた焦げつくような緊張が、ふっとほどけていくのを感じた。


「そうか。そうだな……」


遠くから車の音が近づき、二人はゆっくりと館に背を向けた。


朱音が、静かに言う。


「また来てもいい? 完成する前の絵って、なんだか好きだから」


「……ああ。来たいと思うなら、いつでも来よう」


彼らは坂道を降り、夕陽へと歩き出した。


蒼月の館は変わらずそこにあり、

まるで次の章をゆっくりと待っているかのように、

沈黙のまま、夏の風に揺れていた。

【藤堂 華のあとがき】


わたしが、蒼月と出会ったのは十年以上も前のことです。

彼は初対面のときから、誰よりも静かで、誰よりも騒がしい人でした。


黙って絵を描くのに、心の中では常に何かが燃えている。

言葉を飾らないのに、作品だけはどこまでも遠くへ行こうとする。

そんな矛盾の塊のような人でした。


今回の件で、彼が抱えていた“孤独”に、ようやく触れられた気がします。

あの館で眠っていたからくり装置の断片は、

彼が最後まで何を守ろうとしていたのか──それを無言で語っていました。


玲さんたちは、わたしが言い淀んだ部分まで拾い上げ、答えの形にしてくれました。

すべてが終わったわけではないけれど、

それでも、止まっていた歯車が動き出した音を、確かに聴いたのです。


蒼月の作品も、わたしの手も、あの日から止まったままでした。

でも、もう一度だけ、動かしてみようと思います。


彼が遺した“未完の設計図”に、

わたしの、そしてわたしなりの終止符を添えるために。


──藤堂 華

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