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31話 スピンオフ「影班:Episode-ZERO ―境界線の夜―」

神崎玲かんざき れい

•影班の指揮官。冷静沈着で状況判断に長ける。

•記憶操作や心理干渉の影響下でも動じず、仲間の安全と事件の真相を最優先に行動する。

•常に全体を俯瞰しつつ、個々の才能を最大限に活かす統率力を持つ。


成瀬由宇なるせ ゆう

•暗殺・偵察担当。高度な隠密行動と瞬間判断能力を有する。

•無言の行動で周囲を把握し、先読みで敵の動きを封じる。

•冷静だが、仲間に対して深い信頼を寄せる。


桐野詩乃きりの しの

•毒物処理・痕跡消去のスペシャリスト。

•感情を押し殺すことが得意で、暗闇の中で正確かつ迅速に作業を遂行。

•過去の孤独を抱えつつも、仲間との信頼関係を大切にしている。


安斎柾貴あんざい まさたか

•精神制圧・接近戦専門。心理干渉の逆流処理や敵の混乱を誘発できる。

•任務遂行に冷徹だが、仲間や守るべき対象には深い忠誠心を持つ。

•「裏の安斎」として、接近戦での圧倒的戦闘力を誇る。

場所:旧市街・廃工場跡

日時:2020年10月15日・深夜


影は静かに蠢き、夜の帳とともにその姿を隠す。錆びた鉄骨の間をすり抜け、風に運ばれた埃が微かに光を反射した。誰も知らない、その夜に交わされた契約と裏切りが、静寂の中で密やかに結ばれ、そして壊れていく。


――そして、あの夜が彼らを変えた。


コンクリートの床に落ちた足音が、わずかに反響する。薄暗い空間に浮かぶ影たちの動きは緊張と計算で満ち、ただ一つの目的に向かっている。


「予定通り……だな」

低く、しかし確実な声が闇を裂く。


その瞬間、遠くで微かに赤い光が揺れた。誰かが、何かを監視している。

風は静かに回廊を抜け、過去と未来をつなぐ夜の帳を揺らした。


場所:ロッジ・リビング

日時:2025年10月15日・夜


窓の外、霧がゆっくりと森を覆う中、室内には静かな光が差し込んでいた。テーブルの上には温かいコーヒーと書類の山。


玲は椅子に腰かけ、端末を指先で滑らせる。

成瀬由宇は窓際に立ち、夜の気配を鋭く見張り、桐野詩乃は静かに資料を整理する。

安斎柾貴は冷静に立ち、窓の外の霧と森を警戒しながらも、手元の装備を確かめていた。


「2020年のあの夜から、俺たちはずっと――準備してきた。」

玲の声は低く、しかし確実に室内の空気を締める。


由宇が短く頷く。

「全ての痕跡を追って、あの夜の答えを見つけるために……だな」


詩乃は資料に目を落としながらも、静かに言葉を重ねる。

「誰も触れなかった過去を、私たちが整理する。記録も記憶も、逃さない」


安斎は端末に目を落とし、冷たい声で一言。

「守るべきものは、もうすぐ目の前にある。それだけだ」


霧の向こうで、過去の影がゆらりと揺れた――あの夜の契約と裏切りを胸に秘めたまま。


場所:旧市街・廃倉庫跡

日時:2005年秋・午後


薄暗い倉庫の中、埃が舞い、木の床が軋む音だけが響いていた。

由宇は一人、壁際に腰を下ろし、視線は遠くの窓の割れ目を見つめていた。


「……今日も誰も来ないのか」


声に出さず、ただ心の奥でつぶやく。

周囲には古びた木箱と錆びた鉄具だけ。暖かい光もなく、孤独だけが静かに広がっていた。


彼の手元には、破れかけのノートがひとつ。

誰にも見せることのない、過去の記録や事件の断片が書き込まれていた。


窓の外を風が吹き抜ける。枯れ葉が床に落ちる音が、孤独をより深くする。

由宇は小さく息をつき、ノートの文字を指でなぞった。


「……いつか、答えを見つける……」


孤独の中で芽生えた決意は、まだ小さく弱々しい火のようだったが、

確かに彼の胸の奥で灯っていた――未来の影班と、朱音を守る戦いへの序章として。


場所:旧市街・暗い路地

日時:2005年秋・夕暮れ


路地の片隅、薄暗い灯りの下で詩乃は白い手袋をはめ、慎重に小瓶の蓋を開けた。

手際よく、液体を混ぜ、蒸気を吸わないように息を整える。

暗がりに目立たぬよう、存在そのものを溶け込ませるかのように動く。


「……これで終わり」


小さくつぶやき、道具をまとめると、路地の出口から柔らかな足音が近づいてきた。

振り向くと、影班の誘い主、静かに影のように立つ玲の姿。


「……桐野詩乃か」


声は低く、無駄のない響き。詩乃は一瞬だけ眉をひそめるが、反射的に姿勢を正す。


「……何の用ですか」


玲は一歩近づき、視線を彼女に向けたまま言った。


「力を貸してほしい。影班に来ないか?」


詩乃は言葉を詰まらせ、瓶を握った手をぎゅっと閉じる。

暗い路地の空気が一瞬止まったかのように、静寂が訪れる。


「……面白そうね」


その短い言葉だけで、玲の口元にかすかな笑みが浮かんだ。

こうして、詩乃は影班の一員として、孤独な技を活かす戦いに足を踏み入れることになった。


場所:都心裏通り・廃倉庫前

日時:2005年秋・夜


雨に濡れたアスファルトの上、柾貴は黒いコートの裾を靡かせながら、人目を避けるように歩いていた。

路地の奥からは、雑多な物音と、時折響く足音だけが伝わる。


「……ここにいても、何も変わらない」


自嘲混じりに呟き、無意識に手を袖に滑り込ませる。

指先は冷たく、しかし無駄なく微かな震えを抑えていた。


その時、影の中から低い声が届く。


「安斎柾貴か」


振り向くと、無駄のない立ち姿で、影の如く静かに佇む玲がいた。

コートの陰から伸びる手には、端末と書類だけが握られている。


「……誰だ?」


柾貴の声は警戒を帯び、夜気に溶ける。

玲は一歩踏み出し、視線を外さずに言った。


「力を貸してほしい。影班に来ないか?」


沈黙が続く。雨粒が肩を叩き、柾貴の心をひりつかせる。

やがて、彼の瞳が僅かに軋む。


「……面白そうだ」


玲は微かに頷き、影班への道を開いたその瞬間、柾貴は裏社会での孤独な居場所から、確かな居場所を手にする決意をした。


場所:都心・高層ビル屋上

日時:2005年夏・夜


夜風が強く、街灯の光が遠くのビル群をぼんやり照らす中、成瀬由宇は手すりに肘をつき、街を見下ろしていた。

無言の孤独が彼を包み込み、ただ風の音だけが耳を打つ。


「……誰も、俺を見てはいないな」


その言葉と同時に、背後から軽やかな足音が近づいた。

振り向くと、そこにいたのは静かに影のように立つ玲だった。


「由宇、少し話がある」


由宇は眉をひそめるが、警戒心は消えない。

玲は一歩近づき、手元の端末を示す。


「力を貸してほしい。影班に来ないか?」


由宇の目が一瞬揺れる。

夜風に煽られた髪が、彼の鋭い眼差しをさらに引き立てる。


「……面白そうだ」


短く呟いたその言葉とともに、由宇は孤独な夜の屋上から、影班という新たな居場所へと足を踏み出した。


場所:都心・影班本部

日時:2005年夏・深夜


玲の執務室には静かな空気が流れていた。窓の外には夜景が広がり、遠くのネオンが微かに揺れる。


由宇、詩乃、柾貴――三人はそれぞれ無言で椅子に腰を下ろし、玲の前に整列する。

玲はゆっくりと資料を広げ、三人に視線を巡らせた。


「ここからが本当の始まりだ。お前たちは単なる戦力ではない。影班――影として、情報と現場を操る存在になる」


由宇は軽くうなずき、詩乃は静かに眼を伏せる。柾貴は腕を組み、無言で決意を示した。


「互いの力を信じ、影として動く。裏も表も関係ない。任務完遂――それだけを見据えろ」


三人は短く頷き、玲の前で拳を合わせた。

こうして、三人は玲の元に集い、正式に“影班”として形を成していった。


夜の都心に、静かなる影が誕生した瞬間だった。


場所:都心・廃倉庫

日時:2005年冬・夜


薄暗い空間に響くのは、足音と緊張に満ちた呼吸だけだった。

影班としての初任務は、組織の内通者を確保するための潜入作戦。玲が指揮を執り、由宇、詩乃、柾貴はそれぞれの役割を遂行するべく、影のように動く。


由宇は高所から周囲を監視し、通路の安全を確保する。

詩乃は微かな物音に敏感に反応し、必要であれば毒や痕跡消去の準備を整える。

柾貴は最前線で侵入者の排除や突発事態への対応を担当し、冷静に手順を確認する。


玲の低い声が静寂を切り裂いた。

「目標の位置はここだ。動くな、迅速に行動する」


三人の影が同時に動き、廃倉庫の暗闇に溶け込む。

窓から差し込む月明かりがわずかに影を照らすだけで、誰の存在も察知できない。


その瞬間、由宇の視線が一点に鋭く固まった。

「……動いた」

詩乃も反応する。

「無音……警戒している」

柾貴は微かに呼吸を整え、手元の武器に力を込める。


初任務の緊張が、四人を静かに結びつけた。

影班としての歩みは、ここから始まったのだった。


場所:都心・廃倉庫

日時:2005年冬・夜


由宇は冷徹な目で標的の動きを監視する。

詩乃は無言のまま毒物を手に準備を整え、必要なときに即座に対応できる態勢をとっている。

柾貴は周囲の警戒に目を光らせ、異常な気配や不意の接近者を察知する。


玲が低く指示を出した。

「予定通り、接触まで静かに。乱れは許されない」


四人の影が暗闇に溶け込み、廃倉庫の空気は緊張で張り詰める。

わずかな風が埃を揺らすたび、由宇の目が瞬時に反応し、詩乃の手が微かに動き、柾貴の体が構えを変える。


初任務の冷たい緊張が、影班の結束を静かに刻み込んでいく。


場所:都心・廃倉庫最奥

日時:2005年冬・夜


静寂を破るのは、遠くで扉が軋む音だけ。

影班は罠にかかり、逃げ場を失った。


由宇の目が暗闇の奥を鋭く探る。

「ここまでだ……」低く呟くその声には、初めて自分たちの置かれた状況への緊張が混じる。


詩乃は手元の器具を握りしめ、毒物を用いることも考えるが、周囲の制約と狭さにより判断を迫られる。

柾貴は全身の感覚を研ぎ澄まし、接近する敵の気配を探りながらも、冷静を装う。


玲が静かに歩み出る。

「――落ち着け。我々の影は、逃げるためにあるのではない。制するためにある」


初めて直面する絶体絶命の状況。

彼らは、自分たちの“影”――冷徹さ、正確さ、そして恐怖すらも味方に変える術を学び始める。


緊張と覚悟が、影班としての礎を鋭く刻み込んでいった。


2025年――


霧が立ち込める旧市街の路地。舗装の隙間から冷たい風が吹き上がる。

玲の視線が、遠くに揺れる街灯の光を捉えたまま、静かに低く呟く。


「あの夜、俺たちはまだ人間だった。」


由宇、詩乃、柾貴――それぞれが影のように沈黙し、過去の記憶が重く胸を締めつける。

あの日の決断、あの日の血、あの日の恐怖――すべてが、今の自分たちを形作った。


しかし、その“人間性”はもう戻らない。

冷たい現実の中で、影班として生き続ける覚悟だけが残った――。


時間:2005年 深夜

場所:廃工場内部、旧市街地の外れ


血に染まった廃工場の暗闇。割れた窓から差し込む月光が、床に散らばる影を長く伸ばしていた。


玲は静かに立ち尽くし、呼吸を整える。由宇は冷徹な目で周囲の動きを監視し、詩乃は無言のまま毒物を手元で調整する。柾貴は慎重に足元を確かめながら、周囲の警戒に目を光らせていた。


「……行くぞ」


玲の低い声が廃工場に響く。


敵の罠に包囲され、逃げ場はない。だがその瞬間、三人の視線が交わり、言葉なき信頼が生まれた。

血の匂いと緊張の中で、彼らは互いに“影”としての自分を受け入れた――。


それが、影班としての絆が形作られた瞬間だった。


時間:2005年 深夜

場所:廃工場内部、旧市街地の外れ


崩れた壁の隙間から月光が差し込み、瓦礫に反射して淡く光っていた。

血と硝煙の匂いが漂う中、玲は静かに口を開く。


「お前たちは孤独じゃない。ここが、お前たちの居場所だ。」


その言葉に、誰も返事をしなかった。

だが、由宇の瞳に宿る冷たさがわずかに揺れ、詩乃の指先の震えが止まり、柾貴の呼吸が整った。


あの瞬間から、俺たちはただの暗部のエージェントではなくなった。

“影班”――互いの影を背負い、同じ闇の中で生きる者たちになった。


時間:2025年 早朝

場所:ロッジ内、リビング


窓から差し込む柔らかな光に包まれ、朱音がまだ眠そうな目をこすっている。

玲は静かに椅子に腰かけ、深く息をついた。


あの夜――2005年、廃工場で交わされた言葉と決意が、今も胸の奥で生きている。

朱音を守る決意も、あの夜に芽生えたものだ。


「ここから先、絶対に守る……誰が何をしても、必ず」

玲の声は小さく、しかし揺るがない。

その視線は、まだ眠る少女に向けられていた。


【時間】2005年 深夜

【場所】旧市街・廃紡績工場跡


――錆びた鉄骨の軋む音と、遠くで滴る水音だけが響いていた。

照明もなく、月光が割れた窓から差し込むその空間に、

血と煙の匂いが漂っていた。


息を切らせながら、三人の影が背中を合わせる。

由宇は銃を構え、詩乃は毒瓶を握り、柾貴は静かに目を閉じて敵の気配を探っていた。


敵は多く、出口はない。

それでも誰も逃げなかった。


「ここで終わってもいい。……だけど、お前らを一人にはしない」

玲の声が、闇の中に低く響いた。


その瞬間、三人の呼吸が重なった。

死を覚悟したその刹那に、確かに“生きる”という意思が芽生えた。


――俺たちはまだ、人間だった。

血に汚れ、罪に沈みながらも、互いの中に光を見た。


あの夜、影班の絆は生まれた。


エピローグ


2025年


淡いランプの灯りの下、朱音は小さなソファに丸まり、静かに耳を傾けていた。

目の前に座る影班の三人――由宇、詩乃、柾貴――そしてその傍らにいる玲が、

ゆっくりと、けれど確かな声で語り終えたのは、かつて彼らが歩んだ“あの夜”の物語だった。


「……それが、影班の始まりだったんだ。」


朱音は小さく息をつき、瞳を輝かせながら言った。


「……すごい……でも、怖かったんだね。みんな、ずっと……でも、だから強いんだね。」


その声には驚きと尊敬、そして少しの安心が混ざっていた。

朱音はソファの背もたれに寄りかかりながら、静かに微笑む。

「私も……みんなみたいに、誰かを守れるようになりたいな。」


その言葉に、影班の三人と玲は互いに視線を交わし、静かな満足と温かさが部屋に満ちた。


由宇の低い声が静けさに溶ける。朱音は目を見開き、けれど怖がることはなかった。

その声の奥に、冷たさよりもぬくもりを感じ取っていたから。


由宇はわずかに肩をすくめ、低くつぶやいた。


「……あの夜から、ずっと俺たちは守る側だったんだな。」


朱音は目を大きく見開き、でも恐怖はなかった。

その低い声に潜む冷徹さの中に、守ろうとするぬくもりを感じ取っていたからだ。


玲の方を見やる由宇は、かすかに笑みを浮かべた。

「……お前と出会えて、本当に良かった。あの時、声をかけてくれなかったら、俺たちはまだ迷子のままだったかもしれない。」


朱音は小さく頷き、成瀬の胸に安心が広がるのを感じていた。


詩乃の瞳がやわらかく揺れる。

沈黙を生きてきた彼女が、言葉で語るその過去は、朱音にとって何よりの真実だった。


詩乃の瞳がゆっくり揺れる。


長い沈黙の中で鍛えられた彼女の声は、柔らかく、でも確かな響きを持っていた。


「……あの時、誘ってくれてありがとう。玲さん。私を、ここまで導いてくれて」


朱音は息をのむ。

沈黙を武器にして生きてきた詩乃が、言葉で語るその過去は、何よりも真実で、胸に刻まれるものだった。


玲は静かに頷き、短く返した。

「こちらこそ、詩乃。君がいたから、影班はここまでやってこれた」


柾貴の指先が朱音の髪をそっと撫でる。

少女はほんのり笑みを浮かべ、彼の手をぎゅっと握り返す。


安斎はその光景を見つめ、静かに深く息をついた。

「……玲、感謝する。俺たちの力を信じ、任せてくれて」


玲はわずかに目を細め、短く答える。

「安斎、君がいてくれたからこそ、ここまで守れた」


その言葉に、安斎の瞳に一瞬だけ柔らかな光が宿る。


玲はゆっくりと立ち上がり、窓の外に広がる静かな夜を見つめた。

月明かりに照らされた森の輪郭が、闇に溶けてゆく。


「……あの夜から、ずっと続いているんだな」

彼の低い声が室内に静かに響く。

外の風がカーテンをそっと揺らし、室内の空気もまた、少しだけ柔らかくなる。


時間:2025年晩夏の夜

場所:ロッジ・居間


窓の外の森に静寂が広がる中、彼らはゆったりと腰を下ろし、互いの存在を確かめ合うように呼吸を整えていた。

過去の影はそこに残るものの、もう彼らを縛ることはない。

朱音の笑顔が柔らかく灯り、影班の面々も穏やかな表情を浮かべていた。

玲は静かに目を細め、遠くを見つめながら呟く。


「……これからも、守る。すべてを」

場所:ロッジ・リビング

時間:夜、午後9時過ぎ


淡いランプの灯りがリビングを優しく照らす中、影班の三人が静かに立っていた。長年の任務を共にしてきた彼らの表情には、いつもの冷静さではなく、深い敬意と感謝が宿っている。


由宇が低く、しかし確かな声で口を開く。

「……指揮してくれて、ありがとう。あの夜から、俺たちはここに居場所を得た。」


詩乃は目を伏せながらも、穏やかに言った。

「玲さんに誘われたから、私もここにいる。孤独じゃなくなった……ありがとう。」


柾貴は短く頷き、冷徹な表情の奥に温かさを滲ませる。

「すべてを見通して、任務と仲間を守ってくれた。感謝する。」


玲は静かに微笑み、彼らの言葉を受け止める。

「……お前たちがいるから、俺は指揮できる。お互い様だ。」


リビングには、影班の確かな絆が静かに満ちていた。

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