真理子は語る

作者：信州

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私の地元は、長野の山奥にある小さな村です。すごく田舎で、電車も通っていません。インターネットもありません。私の名前は鈴木真理子。16歳です。学校には通っていません。これから話すのは、私の村で起きた怖い話です。私の村には「地蔵屋敷」と呼ばれる場所があります。名前は怖いけれど、別にお化け屋敷ではありません。普通の古い家です。この村では「地蔵」は特別な存在で、村に悪いものが入らないように守っているとされています。だから村のあちこちに「地蔵様」の像が立っています。

「地蔵様」はお堂の中に安置されていることもあれば、道祖神のように道端に置かれていることもあります。でも、どの地蔵も必ず目と口の部分に泥が塗られています。これは、地蔵様が村を見守っていることを表していて、悪いものが入ってこないように目を光らせているという意味です。

地蔵屋敷は、その「目と口の部分が泥で塗られた地蔵」が何十体も立ち並んでいる家のことです。村の一番奥まった場所にあり、普段は誰も近づくことがありません。でも、地蔵屋敷の中には「お告げ石」と呼ばれる石があります。この石は、お告げの書かれた紙をのせておくと文字が浮き出る不思議な石です。村の人は「お告げ石」をとても大切にしていて、毎日お参りに来ます。

ある日のこと、私は友達の美香ちゃんと一緒に地蔵屋敷の前に立っていました。美香ちゃんは私の幼なじみで、同じ16歳です。私たちは学校に行っていませんが、いつも二人で遊んでいます。その日も二人で散歩をしていたのですが、途中で地蔵屋敷にたどり着きました。私たちは「お告げ石」にお祈りをして帰ろうとしましたが、その時突然雨が降り出しました。私たちは雨宿りをするために、地蔵屋敷の軒下に入りました。そこでお地蔵さんの前に不思議な文字が書かれている石板を見つけました。

「なんだろう、これ？」と私は言いました。美香ちゃんも首をかしげていました。見ると、石板には次のような文章が書かれていました。

「夢で猿を見たものは、一週間以内に死ぬだろう」

私たちはびっくりして顔を見合わせました。それからしばらく待ってみましたが、雨はやみそうにありません。結局、私たちは地蔵屋敷の中に入って雨宿りをすることにしました。

私たちは地蔵屋敷の中を探検してみましたが、特に変わったものは見つかりませんでした。でも、お告げ石の前にはまた不思議な文字が書かれた石板がありました。

「夢で虎を見たものは、一週間以内に死ぬだろう」

私は美香ちゃんの顔を見ました。美香ちゃんも私の顔を見ていました。私たちは怖さを感じましたが、すぐに逃げ出すのもなんだか悔しい気がして、そのまま地蔵屋敷に泊まることに決めました。

次の日、目を覚ますと雨はすっかり上がっていました。私たちは地蔵屋敷から抜け出して、そのまま二人で散歩に出かけました。すると、途中で村の噂好きのおばさんに出会いました。おばさんは私たちの顔を見ると近づいてきて言いました。

「あら、あなたたちどこに行ってたの？」

「お地蔵さんのところで雨宿りしてたの」と美香ちゃんが答えました。

「あそこはもう行っちゃだめよ」とおばさんが言いました。

「どうして？」と私は聞きました。

「あそこのお地蔵さんにいたずらをされたのよ」とおばさんが言いました。

「いたずらってどんな？」と私は聞きました。

「お地蔵さんの目が泥で塗られていたの。誰がやったのかわからないけど、ひどいことをするわね」とおばさんは言いました。

「誰がそんなことを？」と美香ちゃんが聞きました。

「さあ、わからないわ」とおばさんが答えました。

私たちはそのまま村の中を歩き回りましたが、お告げ石のことが気になって仕方ありませんでした。そこで私たちはもう一度地蔵屋敷に行ってみることにしました。

地蔵屋敷に着くと、お告げ石の前にまた不思議な文字が書かれた石板がありました。

「夢で狐を見たものは一週間以内に死ぬだろう」と書かれていました。

私たちはまた怖くなってしまいましたが、今度は美香ちゃんが勇気を振り絞って言いました。

「ねえ、私たちもお告げ石を調べてみない？」

私たちは地蔵屋敷の中に入ると、お告げ石の周りを調べ始めました。すると、あることに気づきました。お告げ石は泥で汚れていたのです。

「これは、お地蔵さん自身が書いたものじゃないね」と私は言いました。

「じゃあ誰が？」と美香ちゃんが聞きました。

「わからないよ」と私は答えました。私たちは石板を持ち帰り、村で一番偉いお坊さんに相談することにしました。

お坊さんは私たちの話を聞くと、すぐに村の人たちに呼びかけてくれました。そして、お告げ石の周りに集まった村人たちの前で、お坊さんがお告げ石の謎を解くことになりました。

お坊さんは石板をじっくりと見ながら言いました。「この石板には、お地蔵さんが書いたものではない」

村人たちはざわめきました。「では誰が？」と誰かが聞きました。

お坊さんは答えずに、今度は私たちに向かって言いました。「君たちはこの文字を見て何か感じないかね？」

私たちは顔を見合わせましたが、何も思い浮かびませんでした。すると、美香ちゃんが突然叫びました。「わかった！」

私はびっくりしました。でも、すぐに美香ちゃんが言ったことを理解しました。それは、私たちが地蔵屋敷で見た不思議な文字が、村の古い言葉だということに気が付いたのです。

「わかりました！」と私たちは同時に言いました。

お坊さんは笑顔で頷きました。そして、石板の文字を読みながら言いました。「これは『お告げ』だ」

お坊さんの言葉で、村人たちは納得しました。お地蔵様は私たちに警告を与えていたのです。でも、私たちはそれを無視してしまったのです。

それ以来、地蔵屋敷の周りでは不思議な出来事が起こるようになりました。夜中に突然大きな音がしたり、誰もいないはずの部屋から物音が聞こえてきたりするようになりました。村人たちは怖がり、お地蔵様を恐れています。でも、私たちは今でも元気です。

お告げ石に書かれていた文字が「お告げ」だということを教えてくれた美香ちゃんに感謝しています。そして、その謎を解いたお坊さんにも感謝しています。

後日談

地蔵屋敷のお告げ石には、今でも不思議な文字が書かれた石板が貼られています。村人たちは今でもお地蔵様のことを恐れていますが、同時に感謝もしています。

ある日のこと、村の青年が地蔵屋敷の前を通りかかったときのことです。突然、青年の目の前に一人の女性が現れました。女性は白い服を着ていて、長い黒髪をなびかせていました。青年は驚いて立ち止まりましたが、女性は構わずに青年に近づいてきました。

「あなたは私を見ることができるのですね？」と女性は言いました。青年は慌てて答えました。「はい、見えます」

「あなたは誰ですか？」と女性は聞きました。青年は自分の名前を答えましたが、女性には聞こえなかったようでした。女性は青年に向かって言いました。「私はお告げ石に宿っている精霊です」

青年は驚きました。しかし、すぐに冷静になって女性に話しかけました。「どうして私に話しかけたのですか？」

女性は微笑みました。そして、青年の目をじっと見つめて言いました。「あなたにお願いがあります」

青年は女性の言葉を待ちました。すると、女性は驚くべきことを言いました。「私は、この村に危険が迫っていることを知っています」

青年はさらに驚きました。そして、女性に尋ねました。「それはどういうことですか？」

女性は青年に説明しました。「最近、村に邪悪な存在が現れています。その者たちは私たちを脅かしています」

青年は考え込みました。しかし、すぐに女性に向かって言いました。「でも、どうして私にその話を？」

女性はまた微笑みました。そして、青年に向かって言いました。「あなたには特別な力があります」

青年は驚きました。「私に特別な力があると？」

女性は頷きました。「はい、あなたには邪悪な者たちと戦う力が備わっています」

青年は考え込みました。そして、女性に言いました。「どうすればいいのですか？」

女性は答えました。「私と一緒に来てください」

青年は女性の言葉に戸惑いましたが、やがて覚悟を決めて言いました。「わかりました」

二人は地蔵屋敷の中に入りました。すると、そこには不思議な光景が広がっていました。お告げ石の周りで、たくさんの人々が祈っている姿が見えたのです。青年は驚きました。

「これは……？」と青年は尋ねました。女性は青年に答えました。「この村には、他にも多くのお告げ石があります」

青年は納得しました。そして、女性と一緒に地蔵屋敷の中を調べ始めました。すると、あることに気が付きました。お告げ石の数がどんどん増えているのです。まるで、誰かがお告げ石を作っているかのように思えました。

ある日のこと、一人の少女が地蔵屋敷の前にやって来ました。少女は白い服を着ていましたが、長い黒髪をなびかせていました。少女は青年の姿を見つけると、すぐに話しかけてきました。

「こんにちは」

青年は戸惑いましたが、すぐに答えました。「こんにちは」

少女はにっこり笑って言いました。「私はお告げ石に宿っている精霊です」

青年は驚きました。しかし、すぐに冷静さを取り戻して尋ねました。「どうして私に話しかけようと思ったのですか？」

少女は微笑みました。そして、青年に向かって言いました。「あなたにお願いがあります」

青年はまた尋ねました。「どのようなことでしょう？」

少女は青年の目をじっと見つめて言いました。「私は、この村の平和を願っています」

青年は考え込みました。そして、少女に尋ねました。「どうして私にその話をするのですか？」

少女は答えました。「あなたには特別な力があるからです」

青年はまた戸惑いました。しかし、すぐに覚悟を決めて言いました。「わかりました」

二人は地蔵屋敷の中を調べ始めました。すると、あることに気が付きました。お告げ石の数がどんどん増えているのです。まるで、誰かがお告げ石を作っているかのように思えました。