第六章: 真実を求めて
エミリアは薄暗い国立図書館の中で、新聞の古い記事を一枚一枚めくりながら、目の前に広がる紙面に目を凝らしていた。事件が起こった日の新聞を見つけると、彼女は震える手でそれを開き、記事を読み始めた。
「一家惨殺事件、犯人は未だ逃亡中」と見出しが大きく書かれていた。エミリアの心臓が激しく鼓動し、記事に目を通した。
「＊＊年＊＊月＊＊日、エドワード・ハーキンス氏（45歳）と妻エリザベス・ハーキンス氏（40歳）が、自宅で刺殺される事件が発生した。二人はエミリア・ハーキンス嬢（12歳）と共に家にいたが、エミリア嬢は無傷で発見された。警察によると、凶器は家の中にあった包丁であり、エリザベス氏の指紋しか検出されていない。何も盗まれておらず、家の中の物も壊されていないことから、犯人の動機は不明。娘の証言によれば、男が家の中に侵入し、両親を襲ったとのこと。エドワード氏の傷は腹部に深く、エリザベス氏の傷は首元にあった。警察は、犯人が包丁の指紋を拭き取り、母親の犯行に見せかけた可能性を示唆している。犯人は未だ捕まっておらず、事件は迷宮入りのままである。」
エミリアは記事を読み終え、震える手で新聞を閉じた。彼女の心には、当時の記憶が鮮明に蘇ってきた。家の中に侵入してきた男の姿、父と母の叫び声、そして血まみれの光景…。
「やっぱり、あの男が犯人だ…」エミリアは小さく呟いた。父と母の亡骸を思い出し、涙がこぼれ落ちた。彼女は深い悲しみと恐怖に包まれ、心が張り裂けそうになった。
しかし、同時に彼女の心には疑問も浮かび上がった。なぜあの男は何もせずに自分を放置しているのだろう？もしかして、彼は私が恐怖に震えるのを見て楽しんでいるのではないか？
エミリアは恐怖に打ち震えながらも、真実を突き止めたいという強い思いが沸き起こるのを感じた。彼女は図書館を後にし、再び屋敷へと戻った。
屋敷に戻ると、夜の静寂が再びエミリアを包み込んだ。彼女は自分の部屋に向かい、事件が起こった夜のことを思い出しながら、その場に立ち尽くした。
「私はあの時、何もできなかった…でも、必ず犯人を捕まえてみせる…」エミリアは決意を込めて呟いた。
