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Ms.BLACK  作者: 弓塚晋助
一章
7/16

天才キャラはクールキャラと噛み合うのか?

 いや〜良かった、かなり良かった。魔力で作った黒い蝶を渦巻かせて登場とかミステリアスな感じが出ていてとても良かった。やっぱり演出って大事ってことがわかるよね。


「後は来てくれるかだけど、心配はいらないか」


 クールキャラの弟子として太鼓判を押しても良いと思うぐらいにプルルは冷静な性格をしていると短い間の会話だったけど、そう感じた。


(でも、僕の勘って当てにならないし。来てくれるのは運かな。)


 プルルは見た感じ若いし、態々(わざわざ)旅に出る必要もないだろう。両親を説得できるぐらいの力があるのなら出来ることも沢山あるだろうしな。


「だがしかし、奴は来る、そういう予感がある」


 そう言って、僕は木の上で寝た。



           ////////



 私は必要なものをリュックを入れて、港に向かった。メビウスさんの言った通りにもう一回、両親に相談したけど変わらず”いいよ”と言ってくれて安心した。

  

 まぁ、お父さんは終始反対だったけど。一回目も二回目もお母さんの援護射撃がなければ弟子入りと旅の件は却下されていたことは目に見えていた。


 でも最後は私の気持ちを尊重してくれたのだろう。旅に必要なお金とリュックを持たせてくれたのが嬉しかった。


 この島から出るには早朝の船に乗っていくしかない。なので、私は朝早くから起きて準備をしていた。外はまだ夜で日の出も見えない。


 私は坂を降りながら港を目指すために歩いていた。このまま順調にいけば船の出発の5分前には着くと予想できる。


 (魔法使い…か。)


 魔法使い。世界に8人しか存在しない魔術を超越した魔法を使えるもの。人類の技術の到達点を超えた人間。様々な呼び方あれど、魔術師なら畏怖と尊敬を込めて呼ぶ魔法使いたちの中で有名なのは3つだ。


 『二の魔法』の魔法使いはクリフ王国の王が代々継承している。


 『三の魔法』の魔法使いは様々な魔術を開発し、世に広めた魔術院の長として現在も存命している。


 『四の魔法』の魔法使いは治癒魔術や復元魔術の祖と言われている。


(『一の魔法』は他の魔法使い達が”確かに実在する”と断言しているけど、世界に魔力が広まってから一度も魔法使いとして世間に晒していないから、存在すら怪しいと言われているけど…)


 まさか私の前に現れるなんて、と驚きの感情を心の底に押し留めた。今でも信じられないが、魔法使いの一人が私が住んでいる島に来るなんて誰が想像できよう。


「港が見えてきたな」


 港の入り口には黒い服に身を包んだ女性が立っていた。港には誰もいなくて私とメビウスさんしかいない。


「やあ、来たんだね」


「はい」


 緊張はない。やはり、慣らし親しんだ土地を離れるのは抵抗があったが、3年の約束で家を出たんだ。その3年間の時間を大切にしていこう。


「じゃあ行こうか。もうすぐ出発するから急いで」


「わかりました」


 私は急いで船に乗り、生まれ育った島を離れた。次帰ってくるのは3年後だ。それまでは自由にさせていただきます。



            ////////

 


 船に乗り、島を出たのを確認すると僕はプルルに話しかけた。


 「プルル、君を弟子にすると言ったからには僕は君を弟子として見る。初めに僕のことは先生と呼びなさい」


 クールキャラは先生としての属性も持っている。だから先生って呼ばせたい。


「わかりました、よろしくお願いします先生」


「よし、では初めにこれを渡すから読んでおいて」


 渡したのは昨日僕が書いたお手製の魔術書だ。この魔術書には簡単に僕の魔法を自己分析して、なるべくわかりやすく綴った魔術が書いてある。

  

 自分の趣味を入れた魔術書だから初めは難解なものかもしれない。


 しかし、わかってほしいのはクールキャラは長々と説明はしない。


 重要なことはパパッと説明するのが筋だと僕は考えている。長い説明は僕以外の誰かがやってくれる筈だ、多分。


「何かわからないことがあったら、質問して」

  

 それまで僕は本読んでるから、と言って僕はトランクケースから本を取り出して読み始めた。


 厳密には読み始めたが、眠くなったのでクールキャラを演じる上で習得した技術である”凛々しい目つきのまま眠る”を使って誰にも気づかれることなく寝ることが出来た。


 だが、30分ぐらいすると起こされた。他ならぬプルルの手によって。


「先生、読み終わりました。本に書いてあった魔術はなんとなくですけど出来るようになりました。次は何をすればいいですか?」


 僕はマジか、と思った。


 まだ本を渡して1時間も経ってないのに使えるようになったのか。


 あの趣味を出して書いたお手製の魔術書を。


(プルルって天才なのか)


「出来たんだ」


「はい」


「難しかった?」


「まぁまぁですかね。本に書いてあった時間を早める魔術は今のところ、自分の身体の行動を早めるぐらいしか出来ませんけど」


「へぇー、凄いね」


(これは、マズかも)


 あの島から出る必要あったのかってぐらいの才能。


 あの島にいても何かデカいことできたのではないかってぐらいの器ではないだろうか。プルルは天才キャラだったか。


(でも、クールキャラの隣にいる天才キャラも有り)


 クールキャラは幅が広いのが特徴だ。色んなカッコ良さを体現出来るのが良い。


「君って天才かもね」


「えっ!そうですか。嬉しいですね」


「うんうん、天才天才」


 取り敢えず褒めて、頭を撫でておく。


 すりすりすり、さすさすさす


 頭を撫でられるのが恥ずかしいのか、顔を下に向けている。プルルは天才キャラかもしれないが恥ずかしがりの天才キャラだったか。


 そうしているとクリフ王国の港が見えてきた。初めの目的地だ。


「王国の港が見えてきたな……行くよ、プルル」


「はい、先生」


 そう言って僕たちは船から降りる準備をした。

 


 

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