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Ms.BLACK  作者: 弓塚晋助
一章
2/16

僕の夢は正義の味方

 正義の味方というのは多分、男子の誰もが一度は夢見る理想の職業だと思う。


 そういう僕も憧れていたんだ。 

 

 男が強いからという理由で世界最強を目指すのと同じだ。多分、きっとそうだと思う。


 色んな力を兼ね備えた超人。そんな正義の味方に僕は憧れを抱いていたんだ。


 優しい人になりたかったからという理由ではなく、カッコいいというありふれた理由だったと思う。


 困っている人は見過ごせないし、助けたいと思っていた。そのためには力が必要だ。


 力には色んな種類があって知識とか技術とか経験とか大まかに言えばこの三つだ。


 知識は本やネットから引き出して覚えた。


 技術は知識から引き出したものを実践して試しまくった。格闘術は思いつく限り一流の域まで鍛え、爆弾や銃は玩具を改造して作って試しまくった。   


 途中で実験をするお金がなくなってアルバイトを掛け持ちでしたり、悪いヤクザからお金を盗み出したりした。本物を目指すためにはお金がかかることを知ったキッカケだった。


 経験は知識と技術の両方が必要になるから、基本的には最後の工程になってしまう。本物の必須条件は敵と戦うことだ。

  

 そのためには敵を用意しなければならない。格闘技をするならば試合はあるだろうが、残念なことに金的や噛みつきなど実践ではとても役に立つ技術を使えば反則らしいから諦めた。


 では何処で蓄えた知識と技術を試せば良いのか。

 

 と、思っていた矢先に隣町の海の近くにある倉庫が夜に不良の溜まり場になっているらしいという噂を学校で聞いた。


「行くしかない!」


気分が高揚した僕は、これは行くしかないと思い、姿がバレないように変装し夜の倉庫に乗り込んだ。


「オラオラオラオラっ!!」


 結果的に言えば大成功だった。僕が常日頃から訓練している格闘術はなんの心得もない不良たちに対し絶大な効果を発揮した。


 火炎瓶を投げられた時は少しびっくりしたけど火炎瓶は使ったことがあるから対処も完璧だった。コツは優しくキャッチして投げ返すことだ。常識だよね。


 これを機に不良狩りを日課とした僕は、全国の不良たちをターゲットに定め修行に勤しんだ。


 でも、それも長くは続かなかった。


 大分時間が経って物足りないと感じるようになった。


 不良狩りは己を高める上で必要だったがそれは最初だけで、精々が金属バットや酒瓶を僕に打ち付ける人ばっかりだった。


 刺激が欲しい。誰か銃やスタンガンのような危険物極まるものを僕に躊躇なく向けてくれないかと思っていた。


 思ってみれば僕はおかしかったんだと今更ながら思った。普通は不良狩りなんかのために休日を過ごさないし、実験だからといって山奥に住んでいる熊を相手に空手着を着て挑まない。


 でも止まらないし、止めることなんてできない。今この夢を諦めたら、今までしてきたことが嘘になってしまう。僕はこの夢を本物したい。本物なりたい。


 そう思い切って僕は突っ走った。海外に旅に出た。


 なんで海外かというと、日本に住んでいる学生が日常では見ない銃がわんさかあって、デカくいスキンヘッドの外国人がいると考えたからだ。


 僕にとって海外は居心地が良かった。肩にぶつかったのを理由に襟を掴みにくる厳つい男たちが僕を舐めた眼で見てくる。しかも人気のない路地裏に連れ込むなんて!最高だ!


 喜びに震えた僕は自作のスタンガンをスキンヘッド1の腹にお見舞いした。


 驚いたスキンヘッド2と3は怒鳴って僕を殴りつけようとしたけど遅いから、肝臓の部分を思い切り体重を乗せて、角度をつけた正拳突き2回づつ2人に喰らわせた。


 悶絶してスキンヘッドの3人組は僕から逃げるように走っていった。これが海外の醍醐味だ。


 とは言っても、夏休みを利用してのなんちゃって海外旅行には期限がある。


 折角の海外なんだから、出来ることはしとかないと勿体無いだろう。海外製の銃を一目見ときたい。ほんの好奇心だ。持って帰って使いたいとは考えていない。……本当だよ?


 でも銃なんて、いくら海外ではありふれたものだとしても、容易には見せてくれないかもしれないし、撃てないのかもしれない。 

 

 でももしかしたら買える場所見つけさえすれば、買って今すぐ試せるのかもしれない。


 そのためにはお金が必要だ。よくは知らないが海外からでもお金は引き出せるのだろうか?今まで海外に行ったことがないから仕様が分からない。


「お金下ろさなかったら、お金を入れる箱を置いて見せ物としてリアルすぎるパントマイムでもやろうかなー」


 そんなことを思って僕は銀行に足を運んだ。椅子に座ってから何分かしてから、穴の空いたニット帽を頭に被った銃を持った集団が銀行に押しかけてきて、バン!と、上に向けて発砲した。


「キャアアアーー!!」


「何だ!発砲したの誰だ!」


「おいおい、死んだかもしれん自分」


 皆様々な反応を見せる中僕は思った。

 

 なんてことだ。僕は身体を震わせた。銀行強盗だ!どんな確率で銀行強盗に会うんだ。銀行にいた人たちは突然の訪問に驚き恐怖していた。ニィと笑った僕を除いて。


「シュッ!」

 

 気づいた時には僕は駆け出していた。狙うは一点。銀行強盗集団のリーダー的な立ち位置の人が英語か何かで叫ぶ前に、その腹に回し蹴りを打ち込んだ。


 吹っ飛ぶリーダーを横目に残りの銀行強盗は唖然としていた。その僅かな隙を僕は見逃さなかった。


 リュックからから唐辛子を塗りたくった小型の木刀を2人の銀行強盗のニット帽の空いた目の部分に打ち込み、すかさずスタンガンを当てる。   


 スタンガンで気絶した人を盾に残りの銀行強盗に走って近づいた。


 僕に向けて発砲したが無駄だ。何故なら弾を受けるのは僕ではなく、名前も知らない銀行強盗だから。


 これなら安全だ。 バンバンバン! 3発打ち込まれたのを確認してから、木刀を投げ強盗の目に命中させ、スタンガンを決める。


 残り2人だ。だが、油断は禁物だ。相手は銃を持っているんだから、時間をかけ過ぎると殺られる可能性が上がる。アレをやるしかない。


 リュックからもう一個のスタンガンを取り出して、短距離走だったら、間違いなく全国出場クラスの速さで全力疾走し、残りの2人に突進し倒れさせ何度もスタンガンをドカッドカッと叩きつけるように喰らわせる。


 (必殺、ダブルスタンガン連打突き!)


 心の中でそう呟き、銀行強盗を全員倒した僕は一仕事を終えた気持ちになって、ホッと、息を吐いた。


 瞬間。


 初めに吹っ飛ばしたリーダーがマシンガンを構えて銀行に居た小さい女の子を狙っていたのが目線と殺意でわかった。


 正確には僕に銃口を向けていたが、その射線上に偶々その女の子がいたんだ。


(危ない!)


 僕は急いで女の子の前に立ち。


 バババババババババンッッッ!!!


 そんなデカい音と共に一斉に弾が発射され、マシンガンは静かに鳴り止んだ。僕の身体を穴だらけにして。


 滅茶苦茶痛い。倒れてしまいたかった。でもまだ正義の味方的に銀行強盗なんて言う危なそうな響きの人がいるなら、退治しないといけないよな。


 そう思った僕の行動は今までで一番早かったと思う。マシンガンの弾を全て受けきった僕に対しての驚愕か、恐ろしさか。何でもいいけど銀行強盗のリーダーの動きが止まった。


「ラッシャャャーー!!」


 僕は思い切りリーダーの顔面の中心を射抜くように拳を打ち切った。


 その衝撃で後ろに飛ばされて壁に激突し気絶する銀行強盗。


 そして僕は自分が倒れたのを感じた。


 もう意識が曖昧で、もう死ぬのが本能で理解した。

 

 最後の最後で女の子を守るなんて正義の味方っぽいじゃないか。これで死んでも悔いはないな。


 最後の最後までそんな子供じみたくだらないことを考えて、僕はゆっくりと目を閉じた。


 

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