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Ms.BLACK  作者: 弓塚晋助
一章
16/16

全部魔力のせいだ

 大きな地響きと共に近づいてくる。


 そいつは真っ直ぐに王都を目指している。


 それを初めに発見したのは巡回中の騎士だった。


 初めは小さかったそれは時間を過ぎていくごとに大きく、存在感を増していった。


 不安を感じた騎士は仲介を通して、王城に連絡させた。


 その連絡は訓練の賜物。

 

 ものの数分で魔術院と合同で捜査している騎士団を除いた騎士達が集まった。


「なんだあれは」


「幻獣なのは間違いない筈です」


「作戦を立てるぞ。皆集まってくれ」


 集まった騎士団は戦力の分析と作戦を立てると迅速に行動を開始した。


 隊長の騎士が目標のターゲットを見る。


 首と峰が八つ。


 八尾八峰の巨大な蛇。


 騎士として様々な任務に就いた。


 人間も幻獣とも戦った。


 それでもあれは、とびきりだ。


 心して掛からなければ。


 作戦は対象が城壁に来る前に仕留める。


 化け物の目前まで近づく。

 

 すると化け物が口から何かを吐き出した。


「散開」


 隊長の指示により、一斉に散らばる騎士達。


 化け物が吐き出した液体を避けながら、各々目的の位置に着く。


 化け物が雄叫びを上げた。


 それを取り囲むように広がった騎士達。


 いつでも剣を抜ける姿勢を取る。


 慢心はない。


 汗が頬を伝わり、地面に落ちた。


 それが開戦の狼煙だった。


 集められた騎士達は誰もかれもが一流だ。


 学園でトップクラスの成績を取り続けた者たちが殆どで構成された騎士。


 その者達を見れば、鍛錬を欠かさずにしてきたと一眼見て分かるだろう。


 魔力が世界に広がってから、それまでの常識は常識でなくなった。


 戦争の概念は変わり、数による戦略も意味をなさない。


 そうなった原因は一つしかない。


 全部魔力のせい。


 魔力で強化した身体は馬より早く走り、鳥よりも俊敏に動く。


 数の時代が終わり、質の時代になった。


 誰もがそう考えた。


 そして今。


 精鋭の騎士達が揃って剣を振っている。


 一人が雄叫びを上げ振りかざす。


 もう一人が平突きの構えで突く。


 精鋭の騎士達が必死の形相で剣を振り続ける。   


 その行為は必至の一言に尽きた。


 暗い雲の下。


 いつ終わるのかも知れない。


 その戦いは長期戦を予感させた。



           ////////


 

 いや〜。プルルの言っていた妄想としか思えない話が実は本当だったなんて。


 王都崩壊なんてビッグワード出されては好奇心が勝ってしまうってもんだ。


 心をくすぐられた。


 プルル良いセンスだ。


 逸材と言っても過言ではないと思っているよ。


 昼に凄く興味を惹くワードを連発されて、僕は嬉しくなった。


 君は最高だッ……NICE妄想!


 そう思って僕はこの後に続く展開を予想した。

 

 全てを信じていた訳じゃなかったから、夜まで待って軽く付き合ってあげよう思ってたんだけど。


 騎士達は騒ぐ。


 民衆は混乱中。

  

 阿鼻叫喚。


 僕の直感が言っている。


 これは本物だ。


 本当の王都崩壊案件だ。


 屋根の上を走っていてる最中、下を見る。


 下ではまだ避難していない民衆が沢山いる。


 訳も分からず歩く人の波。


 迷子になっている人もいるようだ。


 あれでは騎士団は避難誘導だけで時間を浪費する。


 つまり。


 何をしても良い。


「プルル急ぐよ。ついてこれる?」


「はいッ……行けます」


 僕達は更にギアを上げて、スピードを出す。


 並々と並んでる民家を駆けながら、城壁に到着した。


 城壁に登り、辺りを見渡す。


「騒ぎの元は……」


 首を回して確認する。


 今夜は月明かりで良く見える。


 丁度、満月の刻だ。


 大きい影が見えた。


 そこでは騎士達が揃って化け物を囲んでいた。


 おお。凄く頑張ってる。


 見ると負傷者を庇いながら、戦っている。


 魔術院の人は……いないか。


 騎士達を見て、僕は騎士が対峙しているそれに眼を向ける。


 その時。


 驚愕が走った。


 身体に小刻みな震えが起きる。


 そんな馬鹿な。


 口元に変化が起きる。


 実在したのか。


 僕は自分の心の変化を全て呑み込み。


 確信した気持ちで、


「ヤマタノオロチ……」


 笑みを浮かべて言い放った。


 

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