第8話,スラキーの姿の理由と王の資格
立ち上がり、差し出された手を握る。が、今までのスラキーとは違うから緊張する。
「よ、よろしくお願いします」
「どうしたんだ? ユウ、もしかして緊張してるのか?」
だ、駄目だ。いきなりだったし慣れない。しかも、成人してるって? 俺よりも年上?
「は、はい。年上って言ってますし」
「ごめん、そういうつもりで言ったわけじゃないんだけど。今までみたいに話してくれないか?」
あ。スラキー困ってる。そうだよな、急に敬語とかで話されると寂しい感じもするよな。
「スラキー、こっちこそごめん。人型になったからって、スラキーはスラキーなのにな」
「いや、いきなり年上なんて、大人なんて言われたらそうなるよな」
そう言いながらスラキーは、さっき俺が座っていた所に座り、横をポンポンしてる。座れって事かな。
スラキーの横に座り、問いかける。
「うん、まあ……えと、あの聞いても良いか?」
「ん? 良いよ。何だ?」
「スラキーは、今までは何でスライムの姿だったんだ? 『この姿を見せるつもりは無かったんだ』って言ってたのは何で? 後、メタモルが使えなくなった後の俺の言葉を理解してた?」
スラキーは俺の顔を見つめながら、ゆっくりと話しだした。
「そう、だな……何から話そうか? うん、ユウの言葉は理解してたよ。けどスライムの姿じゃ、ユウがメタモルフォーゼ使ってないと話せないけどな」
「じゃあ、何でスライムのままの姿で? 俺がメタモル使えなくなった時に、今の姿になることは出来なかったの?」
俺の言っていた事は分かっていたんだな。けど、何でだろう……
「この姿になることは出来たよ。けどそれは、さっき言った通りだ。この姿を見せるつもりは無かった。否、本当は見せてはいけない姿なんだ」
「見せてはいけない? その理由を聞いても良い?」
スラキーはゆっくり頷き、話してくれた。
「俺はな、スライムの中では特別なんだ。人の姿になれるスライムも限られてる。人間界では聖職者みたいなものかな? 神聖力も使えるんだ。けれど、それは自分や魔物を護る為ではなく、『王』の為に」
「王の為? さっきみつけた巻物と関係が?」
巻物を広げてみる。
「そう。さっきユウが見付けたこの巻物に関係ある事で、選ばれし者とはユウ、君の事だ。古の遺跡はこのダンジョン、『道は開けるであろう』は言い換えれば、宝を見付けないとこの遺跡から出れないっていう事なんだ」
何で? 何で、俺なんだ? 俺はただ、皆と同じ様にダンジョンに来てて……それだけなのに……
「俺が選ばれし者? どうして俺が? 何で? スラキー、何でなんだよ! 俺、帰れないの?」
叫んで涙目になっている俺の背中を、スラキーはゆっくりと優しく撫でる。
「ユウ、良く聞いて? 古の遺跡は限られた者しか入れない。入れたって事は十分その資格があるってことなんだ。ダンジョンループもそうだ。もう気付いてるかもしれないけれど、ユウがループしたダンジョンも通常ではないよ」
そんな事言われても、信じられない。通常ダンジョンでないことは、薄々気が付いていたけれど。
「俺に王の資格が? 何かの間違いじゃなくて?」
「間違いじゃないよ。それに、王の資格があるかもしれないユウの前だから、この姿を見せたんだからな」
「ん? どういうこと?」
「さっきも言ったけれど、俺のこの姿は『王』を助ける為。要するに、『王』の前以外ではこの姿になってはならないって事なんだ」
そう、なんだ。けど、俺が宝を見付けられなかったらどうなる? スラキーも大丈夫なのかな?
自分の事も不安だけど、これでスラキーまで巻き込んでしまったらと思うとな。それに、俺なんかよりもっと王に相応しい人なんていっぱいいる様な……
「スラキーはそれで良かったのか? 俺がもし、王の資格……宝を見付けられなかったらどうするんだ? その時は大丈夫なのか?」
すると、スラキーはフフッと笑い、
「宝を見付けられず、王になれない、か。んー、その時はその時だ。考えてもない。ユウは優しいな、大丈夫だから自分の事を考えな?」
そんな、いい加減な……否、違うよな。スラキーは俺の事考えて言ってくれてるんだよな……
「うん、分かった。ねぇ、スラキー、これからはずっとその姿のまま居てくれる? また、スライムになって話せないとかは寂しいから嫌なんだ。まだ、メタモルも使えないみたいだし」
「ごめん、悪いけどそれは無理なんだ。二人の時は良いけれど、ユウはまた配信するだろう? 他の人には絶対に見せられない」
そんな、やっとスラキーと話せるようになったのに。
「二人の時……だけ? どうしても?」
寂しそうに言うと、スラキーは仕方ないなという顔をしながら、シルバーに青の宝石が装飾された腕輪を渡してきた。
「ユウ、これ持ってて。これを持っていれば、メタモル使えなくても、俺がスライムの姿のままでも、話せるから」
腕輪を嵌めてみる。綺麗だ……
「スラキー、ありがとう。俺、我儘だよな?」
「大丈夫だよ。理由も分からず、ダンジョンから出れなくなって、ユウも不安だろうから」
にっこりと笑うスラキーに、安心した俺は何だか眠くなってきた。
「どうしよう……眠くなってきちゃった。ココで寝たら危ないよね?」
「ユウ、大変だっただろうし少し寝な? 何かあったら直ぐ起こしてやるから」
そう言うと、スラキーは膝の上をポンポンしている。
何だか恥ずかしいな……と、思いながら眠気には勝てそうに無く、スラキーに甘えることにして、眠りについた――――
ご覧いただきありがとうございます。
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実はちょっと寂しがりやの優。スラキーの事を、頼りがいのあるお兄ちゃんみたいに思えてきてます(*´ω`*)




