第11話, スラキーの仲間たち登場! もしかして、帰れる?
とりあえず、どうしたら良いか聞かないとな。
スマホの充電も心配になりながら、藁にも縋る気持ちで、運営に聞くことにした。
「俺はこれからどうしたら良いのですか? スマホの充電ももう30%を切りました」
「そうですね、こちらとしても優さんの動向は気になりますので、緊急配布用充電器をお渡しします。アイテムボックスは開けますか?」
充電器! 助かった! これで、連絡は取れるぞ!
「はい! アイテムボックスは開けます!」
「それでは、緊急配布用充電器を今からアイテムボックスに送信します。ですので、こちらと連絡が途絶えないように常に電源は入れておいて下さい。勿論、配信をされてもかまいません」
「分かりました! ありがとうございます!」
アイテムボックスを開けてみる。すると、緊急配布用充電器が15個入っていた。
「無事送信、確認完了できた様ですね。こちらからのアイテム送付は週に15個までになりますので、次にまたアイテムをお渡しできるのは来週になりますが、充電器は足りると思われます。来週までに何か他にもアイテムで必要なものがございましたら、ご連絡下さい。無事にご帰還できますように、願っております」
そうコメントがあった後、運営さんとの通信が切れた。
良かったー! とりあえず連絡は出来るし、また来週になればアイテムくれるって言うし、これで丈夫かな。
ほっと胸をなでおろし、早速充電器を付けて後ろを振り向くと、スラキーの他にスライムが11匹もいた。
「は?」
え? 何でこんなにスライムが居るの!? いつの間に!?
「スラキー、どういうこと? 何でこんなにいっぱい……」
話しかけると、スラキーはため息交じりの声で言ってきた。
「やっと、配信終わったか。みんな、待ってたぞ?」
え? 待ってたってどういうことだ?
「何で、何を待ってたの?」
すると、スラキーは意気揚々に満足気に答える。
「俺の仲間を紹介したくてさ。これから、ユウを助けて、ユウと協力してくれる俺の仲間だ!」
いや、あの……付いていけないんですが?
良くわからないままスラキーの様子を見ていると、スラキーの他に11 匹居るスライムの中のピンクのスライムがこっちに来て、俺に向かってお辞儀をする。
「こんにちは、ユウさん。また、お会いしましたね」
ん? この子前にも会ったっけ?
「えと、あの……」
良く分からず見ていると、ピンクのスライムちゃんは、ちょっと困った顔で話しだした。
「私はスラキーの幼馴染みのリナキーです。以前、ユウさんがスラキーを連れて行こうとした時に、スラキーを止めていたスライムです」
それを聞いて思い出した。
「ああ! あの時のピンクのスライムちゃんか! リナキーちゃんっていうんだ。よろしくね! スラキーの幼馴染み? 恋人じゃないの?」
すると、リナキーは顔を真っ赤にして怒る。
「もう! 何を言ってるんですか! わ、私とスラキーはただの幼馴染みであって……」
そんなリナキーを見て、スラキーは少し切なそうな顔をして呟いていた。
「リナキー……」
多分、両思いだろうな。良いなー、そんな関係。……って、ちょっと待て? 何でこんな所に居るんだ?
ほんわかな気持ちでスラキーとリナキーを見てたが、疑問が急に出てきて、リナキーに話しかける。
「リナキーちゃん? 君たちは通常の一階層に居たはずだよね? どうしてここに居るの?」
リナキーはしっかりと俺を見つめて、話してくれた。
「そうです。私たちは通常、ダンジョンの一階層にいます。けれど、ユウさんが0階層に来られた事で、空間に変化が起き、私たちも直ぐにスラキーの所に来れたのです」
一階層から直ぐにって事は、逆も有りだよな? ということは、俺も帰れるかも!?
期待が一気に膨らむ。
「直ぐスラキーの所に来れたって、スラキーに呼ばれたの? 後、どうやったら通常一階層に行けるか教えてくれないか?」
「いえ、スラキーに呼ばれた訳ではないのですが、スラキーが心配だったので、0階層に通じる通路が現れた時に、スラキー、そしてユウさんの力になる為、皆で来ました。それと、すいません。一階層に行く方法は分からないんです」
何で分からないんだ? 一階層から来たのに?
「どうして!? 俺、戻りたいんだ。勿体ぶらずに教えてくれよ!」
リナキーは凄く気まずそうだ。
「ユウさん、ごめんなさい。先程も言いましたが、私達が来られたのは空間の変化です。その現れた通路も一方通行で、私達がこちらについて暫くしたら、通路は消えたんです」
そ、そんな……せっかく、戻る方法があったと思ったのに。
「通路、消えたのか? 本当に? 実は探せば近くにあるとかじゃない?」
焦っている俺に、リナキーは冷静に答える。
「ユウさん、気持ちは分かります。が、無いものはどうしようもありません。それに、ユウさんは王の資格があると聞きました。だから、わたしたちも付いていこうと。ですから、しっかりして下さい!」
俺だって好きで王になろうとしたわけじゃないのに。覚悟は確かにしたけどさ? 何だかな? こんな風に言わなくても良いのに。
「リナキー、俺だって好きで王になろうとしたわけじゃないんだよ!」
急に大声を出したので、リナキーは少し涙目だ。スラキーが、リナキーと俺の間に入る。
「ユウ! 気持ちは分かるけどさ、リナキーだって、期待を込めて言っただけなんだ! だから、そんなに怒るなよ!」
スラキー、リナキーが心配なんだろうな。
「リナキー、急に大きな声出してごめんね。スラキーもごめん」
リナキーは涙をグッと飲み込み、ゆっくり話す。
「いいえ、ごめんなさい。ユウさんも不安なのに、期待ばかりしてしまって」
「良いよ、気にしないで。俺も帰れずに気が立ってた」
リナキーに頑張って微笑みかけようとするが、ぎこちなくなってしまう。それに気付いてか、スラキーはニカッと笑い、力強く言う。
「ユウ、俺達は味方だからな」
「ありがとう! 俺、頑張って帰る方法探してみるよ!」
「え? 帰る……方法?」
え? スラキー?
「えっ?」
「あ。否、何でもないよ? 帰る方法見つかると良いな!」
「う、うん」
スラキーの予想外の返事に疑問を抱きつつ、また、帰る方法を探しに、ダンジョン内を進むのであった――――。
更新が不定期にもかかわらず、ご覧いただき、本当にありがとうございます!
―――――
スラキーはやっぱり、少し変ですね? まるで、ユウが帰る事を望んでいないような?
――「え? 帰る……方法?」――




