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異世界でワーホリ~旅行ガイドブックを作りたい~  作者: 小西あまね
文献等(小説ではありません)
57/58

参考文献

 本作をお読みくださりありがとうございました。


 ここでは小説ではなく、本作の参考文献等について書かせていただきます。

 そういうものは読みたくない方は、回れ右推奨です。



◇◆◇◆◇◆


「ヴィクトリア朝英国人の日常生活 貴族から労働者階級まで」上下巻

 ルース・グッドマン 著 小林由果 訳(2017年発行)


 この本と出会わなければ本作は全く違う作風になっていただろう、という位お世話になった本。頭が上がりませんm(_ _)m

 労働者階級を中心に日常や社会背景が実に詳細に生き生きと書かれています。資料や研究としても充実していますが、ユーモアにあふれ読み物としても楽しいのでおすすめの本です。

 ルース・グッドマン氏は歴史学者の女性で、BBCの歴史ドキュメンタリー番組「Victorian farm」「Victorian pharmacy」等で、英国の昔の服や設備や素材を忠実に再現し当時の暮らしを解説するプレゼンターを務めています。これら番組も参考にさせていただきました(日本語字幕付きがなかったので、英語字幕で一時停止しまくりで見ました……)。



「図説 ヴィクトリア朝の女性と暮らし ワーキングクラスの人びと」

 川端有子 著(2019年発行)


 写真や当時の絵画など視覚的資料が膨大です。また、女性著者且つ最近発行の本という条件もあってか、男性や上流・中流階級の視点に偏った従来の研究にない指摘や資料が多数あり、参考になりました。

 女性は結婚して家庭に入るもの、というのは所詮イデオロギーに過ぎず、人口の3/4を占めた労働者階級の女性は皆仕事を持っていたし、中流階級で独身で幸せに人生全うした人もいたりと実態は様々なこと、職種も針子や家事使用人など定型イメージに限らず炭鉱婦や編集者など無数の職業に分布していたことを示す当時の統計データなど興味深かったです。

 著者は日本女子大学の教授で、英国でPh D(博士号)を取得された方。



「図説 ヴィクトリア朝の暮らし ビートン夫人に学ぶ英国流ライフスタイル」

 Cha Tea紅茶教室 著(2015年発行)


 ヴィクトリア朝の大ベストセラー『ビートン家の家政書』に沿って当時の中産階級の女性の暮らしを解説した本。

 当時の出版事情やカラー図版の普及度合いなどの資料としても参考にさせて頂きました。

 「ビートン家の家政本」は大量のレシピや裏技、家事全般、使用人の雇用、家庭招待会、医療、法律まで情報を満載したマニュアル本。編集者イザベラ自身は新米主婦で家政に詳しくなく、自分がマニュアルがほしいと思ったからこの本を作ったそうで、著者でなくあくまで編集者。海外留学も経験した先進的女性で、20代で高い編集能力と知性を発揮しこの本を出版したイザベラは、同年代の女性の憧れでもあったとか。

 「異世界でワーホリ」のイザベラ・ギブソン夫人のファーストネームは彼女から貰いました。



 その他多数の文献・論文・サイトにお世話になりました。心より感謝申し上げます。


 私は執筆時点19世紀ヨーロッパ舞台の創作作品を殆ど読んだことがなかったので、無自覚パクリもないと思いますが……もとなおこ先生の漫画「コルセットに翼」は、1900年前後を舞台に女性や子供への抑圧と解放、男性自身の支配欲の克服をテーマに描いた名作ですのでお勧めです。

 て、今書いていて初めて気付きましたが、テーマは少し掠めていますね。話は全く違います。


 作品世界は英語風言語圏且つ19世紀位の文化背景ですが、架空の国であり、英国ヴィクトリア朝(1837~1901)ではありません。

 なのに資料が英国(ヴィクトリア朝)に偏っているのは、何せ英国黄金期で人気ある時代なので資料が膨大にあり、それに比較し同時期の他国の日本語資料が十分手に入らなかったからです……力不足です。


 作中でハナが自分の世界の19世紀ではこうだった、等話す場合、必ず根拠資料があって書いています。

 但し、私が集めた資料だけでも矛盾する2つの資料があることがありましたし、古い研究の誤謬が新しい研究で正される例もあります。作中では言葉足らずなこと、私の解釈ミスの可能性も否定できません。

 また、特定を避けるためあえて19世紀の前半と後半、複数国を混ぜた作品世界としています。中世等と違い19世紀は正確性が高い資料や研究が膨大にあるのでどこまで嘘をつくか毎度大変悩みながら書きました。


 本作に限らず全ての創作作品に言えることですが、歴史的事実については信頼性が十分担保された文献を直接ご確認ください。

 他国の歴史や文化に敬意を払いつつ、その奥深さを楽しんだり、創作を楽しんだりしていけたらいいですね。

 本作が、そんな入口になりましたら幸いです。

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