06 情報精査
モノカから聞いたのは、連休中に起きた特使活動、
アルセリアの悪党大貴族の陰謀阻止!
さすがモノカ、お休み中でも乙女を救出しちゃうんだね。
「『ふなずし』の反応が消失していたから、すっごく心配したんですよっ」
ノルシェさんの声に驚いたモノカが、マジックバッグからグレーの魔導具を取り出すと、
「あれ、操作しても反応が無い、って、壊れちゃってるよっ」
モノカ、すごく焦っちゃってます。
通信・索敵・ナビなどが出来る新型魔導具『ふなずし』こと複合型ナビゲーション随時接続式システム。
いろいろ操作していたモノカ、お手上げの表情。
「どうしよう、とりあえずアリシエラさんに見てもらおうかな」
モノカの困り声に、ノルシェさんがモノカ邸の『ふなずし』でアリシエラさんに連絡しております。
「ちょっと前に使った時は、何ともなかったのに」
モノカが首をひねっております。
「さっき『システマ』との待ち合わせ場所で変な視線を感じた時に『ふなずし』で調べようかと思ったんだけど、これじゃ無理だったね」
変な視線?
「敵意とかでは無かったから、またいつもみたいな熱烈なファンかなって『ふなずし』は使わなかったんだけど……」
駄目だよモノカ、女の子のひとり旅はもっと慎重にならなきゃ。
「ごめんなさい……」
でも、本当に無事で良かった。
「カミス……」
モノカ……
「えーと、お取り込み中のところ誠に申し訳ないのですが、問題の『ふなずし』を見せていただきたいのですが……」
うわっ、ごめんなさいアリシエラさん、お早いお着きで。
『ゲートルーム』で、アリシエラさんが来てくれましたよ。
……
アリシエラさんがモノカの故障『ふなずし』を調べてくれているあいだに、みんなで対策会議。
「その後、リシェルさんから詳しい情報は?」
ルシェリさん、心配そうに首を振るばかり。
「最初に情報を送ってくれたアルセリア城内の協力者と連絡が取れないそうで……」
うう、なんだかすごく嫌な展開だよ。
スパイ映画とかだと、そういう潜入協力者ってアレされちゃったりしちゃうんだよね。
「ただ、アルセリア城内は少し慌ただしいようですが、城下街の方は普段と変わらず平穏との情報が、司法官支部の連絡員から届いております」
ルシェリさんの表情、現地のリシェルさんが心配なんだろうな。
みんなの不安を少しでも和らげられるよう、僕にできること、やらなきゃ。
「少し情報を整理してみましょうか」
「最初に連絡をくれた協力者さんとはまだ会えていないけど、現在接触を試みているので、そちらは進展待ち」
「モノカと連絡が取れなかったのは『ふなずし』故障が原因だから、今回の件とは関係なし」
「モノカが感じた変な視線は、敵意なしだったそうなので、今のところは関係なし」
「アルセリア城内が少し慌ただしいのは、例の悪党大貴族関連の可能性もあるし、そちらは情報待ち」
「城下街が平穏だというのは、朗報ですよね」
「つまり今までの情報をまとめると、一番最初に協力者さんからきたアルセリア王都で不穏な動きありっていう緊急連絡以外は、今のところはほぼ問題なしってことですよね」
皆さん、思案中。
僕の言葉で少し不安が和らいだ、かな?
「モノカさん、もしかして『ふなずし』を水にドボンと落としちゃったりしませんでしたかっ」
故障『ふなずし』をひと通り調べ終わったアリシエラさんからの質問に、
「えーと、落ちちゃいました、お堀に……」
もしもしモノカ、"落とした"じゃなくて"落ちちゃった"って聞こえたんだけど。
「城下街のお堀に……」
モノカ、もじもじ。
「何やってるんですかっモノカッ」
「いくら連休中だからって、はしゃぎすぎにもほどがありますよっ」
ノルシェさん、ご立腹。
確かに、いつものモノカらしくないよね。
「本当にごめんなさい……」
でも、モノカが無事で良かった、かな。
「すみません皆さん、『ふなずし』は雨に濡れるくらいなら平気なのですが、さすがに水中での使用は想定外なのですっ」
アリシエラさん、せっかくの新作魔導具をこんなにしちゃってごめんなさいです。
「いえいえ、皆さんのハードな任務に対応させなかった開発側の甘さに問題アリ、なのですっ」
「すぐに『ふなずし』改良に取り掛かりますねっ」
「向こうで待機している私たちのチームは応援準備万端ですので、何かありましたらいつでも連絡願いますっ」
故障『ふなずし』を抱えたアリシエラさんが、急いで『ゲートルーム』へ。
アリシエラさん、本当にありがとうございました。
みんなは相変わらず思案中だけど、表情は少し柔らかくなった、かな。
モノカだけ、ちょっとへこんじゃってます。
それにしても、どうしてお堀なんかに落ちちゃったんだろ。
「お母さん、おかえりっ」
いきなりモノカに抱きついたのは、
マクラちゃん。
と、それをにこにこ見ているハルシャちゃんとシスカ。




