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16 本性


 どうやら、アリシエラさんが完全熟睡モードに入っちゃったみたいです。


 いつお目覚めか分からないようなので、今日はどうしますかとアシュトさんたちに聞くと、


 出来ればこちらにお泊まりで、とのこと。



 よろしいですとも。


 現在欠員によりやや戦力を欠いた状態ではありますが、


 今のチームカミスの全力をもっておもてなしいたしましょう。



 などとビッグマウスしちゃいましたが、


 さて、ご家族三人がお泊まり出来る部屋、どうしましょうか。


 今、僕が使っている一階の事務室的な部屋、少々狭いんですよね。


 現在任務中のシェルカとクリスの部屋、乙女の留守中に掃除以外での無断侵入はNG、でしょう。


 改装案にあったように、スマキ3号を一階の空きスペースに持って来られれば良いのですが、


 残念ながら店舗玄関を幌馬車が通り抜けるのは不可。



 もちろんモノカたちにヘルプをお願いすれば、様々な追加選択肢を得られるのですが、


 今回のアシュトさんご家族歓待は、可能な限り僕たちの手でやりたいなっていう、


 カミス家主人なりの意地と言いますか、小さなわがまま、ですかね。



 女性たちは全員、夕食の準備に奮闘中。


 僕は我が家のそばにある空き地にて、スマキ3号を眺めながら思案中。


 たまたま空いた近くの空き地を、スマキ3号と来客用の駐幌馬車場として借りているのです。



 いろいろと思案・妄想しております。


 どうせ後からアリシエラさんに入り口を広げてもらうんだったら、


 いま通れるようにぶっ壊しても何も問題ないんじゃね、などなど、


 さまざまな考えが、消えては浮かび、浮かんでは消え……



「カミスさん、もしかしてお悩みですか」


 すみませんアシュトさん、実は……



 僕の幌馬車スマキ3号は幌の内に素敵な居住『空間』完備、


 ぜひそちらにお泊まりしていただきたいので、


 アレを我が家の一階に持って行く手段を検討中なのです、


 と、ついに暴露。


 我ながら、行き当たりばったりすぎて、情けなし。



「こちらこそ申し訳ないです。 突然泊まりたいなどと」


 いえいえ、僕の家がすでに手狭なことは以前から分かっていたことなので、マルミさんに住み込みのお仕事をお願いする前に、もっと早くから増員対策をしておくべきだったのです。



「よかったら、アイデア、聞いてもらえませんか」


 アシュトさんが、さらりと出してくれたナイスアイデア。


 アシュトさん所有の大きなマジックバッグは、幌馬車収納だって余裕の大容量開放型。


 それを使ってスマキ3号を運ぶことに。



 本当にすみません。


 やっぱり僕はまだまだ一家の主人の器じゃないみたいですね。



「そんなことないですって」

「大事なのは、みんなのためにいろいろ考えて動くこと」

「カミスさんは会ったばかりの俺たちのために真剣に悩んでくれたじゃないですか」

「それって、おっきな器の証しだって思いますよ」


 本当にありがとうございます、アシュトさん。



「ふたりとも、いつまでそんなお芝居を続けるんですか」


 って、マルミさん!


 いつからそこに。



「エルミナさんたちから聞きましたよ」

「カミスさんが無理して大人な主人を演じているから、おかしなことにならないか心配、だそうですよ」


 えーと、バレバレ?



「アシュトさんも、いつまでもよそ行きのおすましお父さんのままでいると、マリモがずっと緊張したままになってしまいますよ」


「あーごめんマルミさん、ホントだよな、せっかくハルシャちゃんと仲良くなれたのに、俺がこうだとマリモも困っちゃうよな」


 えーと、アシュトさん?



「ごめんねカミスさん、俺、ホントはこんな感じなの、しゃべり方」

「せっかくマルミさんが良い仕事につけそうだったから、イケてる旦那しちゃおうかな、なんて」


 僕の方こそすみませんでした。


 オトナな一家の主人っぽく見えるよう、柄にもなく背伸びしちゃいまして。



「じゃ、スマキ3号ちゃんを運んだら、あらためて本性丸出し自己紹介でも」


 お手柔らかに、ですよ。



 スマキ3号をアシュトさんのマジックバッグへと『収納』しまして、


 にこにこマルミさんといっしょに、みんなでにこにこと我が家へ。



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