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01 流され

『リヴァイス 35 特使勇者と前向き乙女たちの進路』の続きで、


『若旦那』カミスのお話しです。


 お楽しみいただければ幸いです。



 こんにちは、カミスです。


 流され異世界生活も、いい感じにスイスイ、じゃないな、ぷかぷかと順調なのです。


 流れに抗うんじゃなくて、浮き輪にしがみついて身を任せちゃう、みたいな感じで。



 浮き輪に例えちゃってごめんなさいなのですが、


 僕のまわりにいるみんなは、しがみつきたくなっちゃうくらいに、本当に頼りになるのです。


 でも、頼ってばかりじゃ、僕が成長出来ません。


 自分に足りないところがあると分かったのなら、そこをなんとかするために努力しなきゃ、です。


 問題は、自分には過分すぎて困っちゃうことをなんとかしなくちゃいけないっていう方向の努力なのです。



 なんだか分かりづらい表現でしたね。


 ようするに、この異世界に来てから僕のまわりに女の子がいっぱい集まってきちゃう問題を、なんとかせねば、なのです。



 つまりは、そんな僕だからこそ、少しでもみんなから頼られる存在になれるよう努力する日々、なのですよ。




「カミスの今日の予定は」


 えーと、お昼前にアルセリア王都東門前で待ち合わせしているモノカを『システマ』で迎えに行く、かな。


 シェルカが毎朝僕の予定を確認しに来るのは、出会った頃からずっと欠かさない大切な決まりごと。


 本当に真面目なのです。



「モノカに、長旅でのみやげ話を楽しみにしていると、伝えてください」


 了解です、シェルカ。


 でも、シェルカは久々のクルゼスへの里帰りだけど、本当にひとりで大丈夫?



「心配御無用、私とカミスを引き裂こうとする無粋な連中など、馬に蹴られた方がマシだったと後悔する様な目に遭わせてやりますとも」


 自信満々のようだけど、無茶だけはしないでね。



「ありがとう、カミス。 それでは」



 ぎゅっ



 えーと、毎朝の予定確認の後は、必ずじっくりとハグ。


 シェルカにとっては大事なことだって分かってるけど、なんて言いますか、シェルカのハグは攻撃力が高すぎるのですよ。



「補給完了、では、行ってきます」


 出発したシェルカ、とても満足げな良いお顔でした。


 そりゃあ僕だって良い気持ちなんだけどさ、なんと言いますか、過充電? みたいな……




「シェルカ、気合十分なお顔でしたね」


 そうだね、エルミナ。


 久々の里帰り、楽しんできてくれるといいな。



「里帰り……」


 ごめんエルミナ、僕、無神経だった。



 エルミナはエルシニア王国の元王女さま。


 エルシニアで召喚された僕と一緒に国を抜け出してきちゃったから、里帰りしたくてもできないんだよ。


 あの国っていろいろアレな問題があるんだけど、やっぱり故郷は大切だよね。



「もう、カミスにそんな心配そうな顔をさせるようなら、あんな国なんていりません」

「それに、私もシスカも、すでにこのエルサニアの民なのですよ」


 エルミナ、怒っちゃったよ。


 でも、ほっぺた膨らませているエルミナも可愛いな。



「もう、そんなに見つめるなんて……」


 残念、後ろを向いちゃったよ。


 えーと、こういう時は『若旦那』としてはどうすればいいのかなっ。


 気の利いたセリフ……なんてすぐには出てこないよ。


 後ろからそっと抱きしめ……られるわけないだろ。



 いかんぞ、ハナシロ カミス、今日も朝から大ピンチ!



「朝から、らぶらぶっ」

「不覚、お目目をふさぐのが間に合わなかったか」


 ハルシャちゃんとシスカ!



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