第弍拾参話「VS明星副司令」(後編)
デュアルナヘリオス、その白銀の刃は太陽に照らされて地面に反射する。
「さて、2戦目といこうかのッ!」
明月はブーストをしかけこちらに迫り来る。
K48を投げ捨てソニックブレードで応戦した。
キィンキィンと金属音が鳴り響き火花が飛び散る。
だがそれも防戦一方、相手の攻撃から身を守ることしかできない。
このままだと最終的に押されてしまうだろう。
もし相手を仕留めるならば一発でしかチャンスはない。
そう思った俺は上空へと向かってブーストをかけた。
「ほう、そろそろ終わらせるつもりじゃな?」
既に相手にはこちらのやることがバレている。
ためらっている余裕などない。
俺は上空から地面にいる明月めがけてもう一度最大出力のブーストで急接近する。
そしてソニックブレードで胸部の装甲を狙い突き刺そうとした。
しかし__
「何......!?」
デュアルナヘリオスが行く手をはばむ。
ソニックブレードを挟み込み受け止めきられ、あと少しのところで届かない。
「お主のやるこはが分かってる。装甲が薄いと言えばそこを狙ってくる。簡単なことじゃ」
身を引こうとしても、向こう側から尋常じゃないほどの力がデュアルナヘリオスに入っており引くことができなかった。
「......お主、名はまだ聞いていなかったな。名を上げよ」
「三木......祥......ですッ!」
「この戦いよくぞ引き受けた。戦えて私は嬉しい、感謝するぞッ三木祥ッッ!!!」
バキィィンンッッッッ......
そのままソニックブレードがデュアルナヘリオスによってへし折られ、刃先は地面に突き刺さる。
だが俺は諦めなかった。
「うぉぉぉぉぉッッ!!!」
左袖からスティングナイフをすぐさま展開させ攻撃を行う。
しかし左腕を突き出した瞬間、その腕が宙に舞った。
俺はその光景に気を止めることなく即座に引いた。
もう残っている武装はない。
俺は潔くその場に突っ立った。
いっそのことなら全身全霊を持って受けようと思ったからだ。
「ほう、お主がその気なら斬らせてもらおう」
明月はデュアルナヘリオスを構え最後のブーストをかける。
「はぁぁぁぁぁッッッッ!!!」
__しかし何も起こらなかった。
「......?」
俺は困惑しつつも目を開ける。
そこには息苦しそうに自身の胸を押さえている明月の姿があった。
戦闘は強制的に終了する。
俺は機器を素早く取り外し、明星副司令の元へ駆け寄った。
シミュレーションボックスを開けて中に入る。
明星副司令はまだ機器を身につけ立っていた。
口からは血が流れ、その下には血を吐いた跡があった。
「明星副司令ッ!」
俺は急いで機器を外してやり彼女を両手に抱えた。
側近の人と共に医務室へと運び医療用ベッドに寝かせる。
あとのことは医療従事者に任せて部屋から出た。
歩き始めようとするとドアの隣に立っていた東雲教官に呼び止められる。
「貴様、明星副司令のことについて知っているか?」
「い、いえ......」
「そうか......なら話しておこう。英雄、明星を__」
明星副司令、元はアーマードの装着員の一人だった。
しかしレヴナントとの交戦中、自らを犠牲に仲間を逃した結果、身体中を突き刺され内蔵のほとんどが機能不能に陥ったそうだ。
そのため現在は人工の内蔵で代用している。
そしてその後、功績が称えられ副司令として着任した。
「__ということはあの体調不良はまさか......」
「そのまさかだ。おそらく人工の内蔵を用いているからだろう。体にあれだけの負担をかけてしまっては無理がある」
「.............」
「安心しろ。貴様のせいではない」
「はい......」
俺は無言のままその場から立ち去った。




