第弍拾参話「VS明星副司令」(中編2)
専用の機体......だと......!?
そんなものがあるのか。
明月といった機体は背部から1つの大剣を取り出す。
その大きさはアーマードと変わらないくらいだ。
ソニックブレードとは違う不稼働の近接武器だ。
こちらはソニックブレードを装備する。
「行くぞお主ッ!」
「はいッ!」
互いにブーストをかけ戦闘を仕掛ける。
あいまみえた瞬間剣と剣が混じりあい、弾けあう。
大剣である分、パワーは相手が上。
若干であるが押されぎみになってしまう。
「ほう、中々やるな。だがこれは受け止めきれるかな!?」
明月は大剣を天にかざし思いっきり叩きつけようとする。
重量のある大剣だから動作は遅くなるはずだがその速度は尋常になく速かった。
「くっ......!」
俺はすかさず当たる直前で右半身を引いてかわした。
少しでも遅ければ今頃真っ二つになっていただろう。
俺はすぐに距離をとる。
「なんだ......あの速度......まさか......!?」
俺は明月の腕部ユニットに何か違和感があるのを覚えた。
よく見てみると自分、幻月の腕部ユニットと比べ少し装甲が大きい。
「なるほど、腕部ユニットを通常の機体、幻月よりも強化しているってことですか」
「ほほ! 当たりじゃ。観察力が高いのお。けれどもだからと言って勝ったつもりになるなよ......!」
明月は大剣を片手にかつぎこちらへ迫ってくる。
俺は自動小銃K48に持ち替え撃ち放った。
予想だと装甲を分厚くした分、全体的な動きは遅くなるはず。
だから一転集中して射撃を行えば楽勝だ。
だが俺の期待は外れた。
「!?」
なんと全ての弾を明月がかわしているからである。
そして真っ正面まで近づかされ大剣を薙ぎ払われる。
「がっ......!」
ソニックブレードで受け止めるものの遠心力による増大した威力には歯が立たない。
ソニックブレードにヒビが入り徐々に砕ける音がする。
このままではまずいと思いすぐさまブーストをかけ地面に降り立った。
かわしやすいが上空にいれば推進剤が減ってしまう。
ましてやあの威力となると機体を支えるために減りがもっと早くなってしまうのだ。
「どういうことだ......なぜかわしきれる......!?」
明月はゆっくりと地面に降り立った。
「簡単な話じゃ。装甲を増やした分装甲を薄くしたのじゃ」
「それは一体どういうことなのでしょうか......?」
「要約すれば胸部の装甲をほぼ0にしたかんじに近い、かの」
「装甲を0.....!?」
確かに見てみると幻月の胸部装甲よりとても薄い。
あれだと少しでも貫かれたらおしまいではないかというほどだ。
「防御を攻撃に回した機体、それこそがこの明月である」
明月は大剣を構える。
同じくしてこちらもぼろぼろではあるがソニックブレードを構えた。
「まだ試合は1回の表(野球用語で前半のこと)、こちらからいかせてもらうぞ」
明月は突きの構えで突進する。
俺は相手が攻撃してきた瞬間を狙って後ろに向かってブーストをした。
向いてる方向は明月の方。
K48で応戦しながら下がっていく。
俺には考えがあった。
そしてその時が来る。
後ろに建物があるのをレーダーで確認しぶつかる直前で出力最大のブーストで右にかわした。
「な、なに!?」
大剣は建物に深く突き刺さる。
これが狙いだったのだ。
あの距離からのブーストで突き刺さったもので更に重量もあるものだからそう簡単には抜けないだろう。
俺は勝ちを確信し一歩一歩と近づいていく。
だがその期待も外れる。
「__なーんてな」
大剣は二つに分かれ、1つ1つが軽くなったことでズバッと簡単に抜けた。
「......!?」
「まあ驚くのも無理がない。言っただろう1つの太陽でありながら二つの月であると......」
大剣は長い双剣と化す。
「これぞ新武装、デュアルナヘリオス」