第弍拾話「模擬戦を終えて」(中編2)
「__これで全部だな。ご苦労だった。あとは休んでくれ」
無事に東雲教官にレポートを渡すことができた。
さて、あとはゆっくり昼食でもとろう。
そう思い食堂までやってきた。
先にみんなは昼食をとっていたので一人で食べることにした。
しばらくした後、誰かがこっちに向かってくる。
「あれ、透? もう食べ終わったんじゃないのか?」
「実はヒロ君に言いたいことがあってですね」
そう言うと透は向かい側に座る。
そして顔を寄せて口を開く。
「__今回の模擬戦、あれは本格的な対人戦に向けてのものでした。」
「......つまりどういうことだ?」
「えぇ......そうですね__」
透が言うには、おそらく本物の対人戦がこのあと控えているのではないかということ。
時期は分からないが確定事項らしい。
今回の模擬戦を通して対人戦用のアーマードを開発する予定で、他国の軍との戦争になるというかんじだ。
「__大体分かったが......それはどこ情報なんだ?」
透は視線を窓にやる。
「聞いちゃったんですよ。太田さんの隊の純さんと千歳さんという人物がそういうことを話してました」
なるほど、あの二人か。
確かに模擬戦で人間同士が戦う理由なんてあるわけがない。
だがもし相手がレヴナントではなく人間だとしたら......
まあ、あり得る話だな。
「にわかに信じたい話だが、一応頭の片隅に入れておく。他の人には内緒にしたほうがいいか?」
「そうですね。ついでにその二人にむやみに接触するのもやめましょう」
「__誰が接触するのもやめようだって?」
ふと顔をあげるとそこには純と千歳がいた。
よりによってこの二人か。
「あ、いや別にそういうわけじゃ......」
「確かに零士は接触しない方がいい。あいつと関わるとろくでもないんですよね」
なんだ、そこまでは聞いてなかったか。
だが少しは詮索させてもらおう。
「.......今日の模擬戦どうでしたか?」
二人は少し考えたあとこう話す。
「そうですね、僕は想定の範囲外をとられて正直驚いたな。でも楽しかったですよ」
「うちもおんなじかんじかな。楽しかったです。今日はありがとうございました」
「えぇ、こちらこそありがとうございました」
俺はお礼をし返す。
本当にこいつらが何か裏があるのか......?
まぁただのポーカーフェイスなのだろう。
別れの挨拶を告げて二人はその場から離れた。
透にアイコンタクトを送り俺らは解散した。
俺はそのあと次の授業に備え自室へと戻った。
ドアを開けて入り、ふとデスクに視線を落とすと1枚の紙切れが置いてあった。
拾い上げて見てみるとこう書いてあった。
今日の夜9時、図書室にて待つ。
一体誰なのだろうか。
透はさっき会ったばっかだから違うし、駆だったら直接部屋に来るだろう。
いや、そもそも俺に話があるのならみんな直接部屋に来るはずだ。
じゃあ本当に誰なんだ......?
とりあえずその紙切れをポッケにしまいこむ。
モヤモヤした感情を抑えきれないながらも次の授業まで時間を潰した。




