第拾玖話「修羅」(中編2)
__刹那、衝撃で激しい旋風が吹く。
ソニックブレードが空の機体を貫いていた。
螺旋大回転斬りをしてる最中で一瞬の隙を狙い、駆はソニックブレードを突き刺していたのだった。
駆はソニックブレードを引き抜く。
同時に空の機体は仰向けになって倒れた。
「俺が......負けた......」
「悪いなパイセン、勝っちまった」
「......お前に伝授しよう『螺旋大回転斬り』を」
「本気.....なんですか......?」
「あぁ」
駆は機体の元に駆け寄る。
そして片足の膝をついてしゃがんだ。
「『螺旋大回転斬り』、それはどんな攻撃をもなぎはらい、相手を切り裂く必殺の奥義。体勢を少し低くしブーストで自身の身体を回すことで発揮することができる......ぐっ」
「師匠!?」
「どうやら俺も限界のようだ.....」
「そんな......」
「強く生きよ、駆」
稼働音とセンサーアイの光が消える。
駆は空高く声を上げた。
「ししょぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッ!!!」
***
「うん、いい話ですね......」
「そうだな、琴、師匠が弟子に奥義を伝授するというのは目頭が熱くなる」
今宵は目元に流れる涙を拭う。
「__あのバカ、他人にあんな非実用的な技を教えてどうするんだ」
純は拳を固く握りしめていた。
千歳が慌てて止めに入る。
「ま、まぁ、あんな技は流石にすぐ忘れるでしょうし大丈夫ですよ__」
そんな中、シミュレーションボックスから楽しそうにモニタールームに入ってくる二人組の姿があった。
「いやぁ、生きてて良かったっすよ!」
「はっはっは、なんせ師匠だからな!」
「「わっはっはっは!!」」
そして二人はウォーターサーバーから水を取ってきて、ソファーに対面で座り込む。
「ところで若僧よ」
「ん? なんでしょうか?」
「どうして駆斬りなのに__」
「はい」
「突きだったのだ?」
「............」
この時純は思った。
うちの隊だけのバカだと思ってたのに、似たようなやつがいるとはこの組織は大丈夫なのかと。
***
「__あんた、いい腕してんな」
「そいつはどうもッ」
上空で銃撃戦が繰り広げられる。
同じ武装、同じ機体。
この戦いは中の人のスキルが試されるものだった。
「おらぁッ!」
「くっ......!」
即座にブーストを切って射撃による攻撃をひたすらかわす。
その後すぐにこちらもトリガーを引き相手の機体を狙う。
だが同じくブーストでかわされる。
ん......?
瞬間俺は何かを思い出す。
この動き、やはりあの時戦った時と同じだ.....!
完全に一緒だった。
かわし方、撃ち方その全てが見たことのあるやつだった。
俺は全てを見切りそれに合わせて攻撃する。
見事射撃が命中した。
「何......!?」
どうやら動揺しているみたいだ。
俺は続けて攻撃を仕掛ける。
この戦い、意外と余裕か......?
俺は少し笑みをこぼした。
その時__
バキュオンッッッ
自身の装甲に弾丸を受ける。
俺はそれにも関わらず銃撃を仕掛けた。
太田は建物の上に降り立つ。
そして三木に対し通信を入れる。
「お前、なんで俺の攻撃が分かるんだ.......!?」




