表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/121

第拾玖話「修羅」(前編)

「__ほらほら! 早く当ててみてよ!」


「くっ......」


短機関銃で連射しながらも一体の機体を狙い撃つ。

しかしその軽やかなアクロバットでかわされ続ける。

標準は合っている。

それなのにまるで役に立っていない。


(ちょこまかちょこまかと......! これじゃあらちが明かないッ!)


早苗はブーストをかけ、撃ちながら追いかけた。

それでもその身のこなしに命中することはなかった。

そして短機関銃MP67はついに弾切れを起こす。


「チッ......ここでかッ」


「おっと、もう終わりぃ?」


そのタイミングを見計らった優は、背中部分のロックを外し機関銃「フォルテ」を右手に装備する。

口元でにぃっと笑い、早苗に銃口を向けて撃ち放った。

即座にブースターを起動させて回避を試みるものの、脚部に弾丸が集中して着弾され動きが遅れてしまった。


「あちゃー、みすっちゃったか......次こそ狙ってやる!」


早苗には分かっていた。

今のはただのミスではなく故意であったことを。

そして彼、優は見た目の割には残酷な人物であることを。


早苗はMP67を地面に捨てた。

かわりにショットガンGS12を両手に持つ。


ある程度は読めていた。

彼は私の弾が切れるまで逃げ続け隙を見つけてから反撃をする。

そうすることで一方的に攻撃が可能になるというわけだ。

いわゆる『待ち』に徹底した戦闘スタイル。


だが私には奥の手がある。

当てれば一撃で相手を仕留めれられるショットガン。

近距離戦に持ち込んでこいつを使えば、どんなに硬い装甲ですら貫き通す。

ここで問題なのがいかに相手にノーダメージで接近すること。

今はとりあえず身を隠すしかない......!


早苗は一気に出力を上げて建物の裏まで移動しようとした。

しかし__



バゴォォォォォォンッッッッ


「何ッ!?」


その建物の壁がいきなり爆発。

砕け散ったガレキと爆風に飲まれてしまう。


「前がッ......」


衝撃に耐えたが黒煙が周囲の視野を奪う。

その時黒煙に穴が開き無数の弾丸の嵐を浴びせられる。

徐々に機体を貫通していった。

やがて身体の自由が効かなくなるほどにまで到達し、凄まじい轟音とともに早苗の機体は爆発を引き起こす。


撃破したのを確認し自身の隊に報告をいれる。


「こちら優、早苗とかいう女を倒しました。__あぁ、はい勿論いつも通りですよ。__え? 卑怯だって? 嫌だなぁ、僕にも__」


煙を上げ焼かれ立っているかつてアーマードだったものに背を向けて、次の標的を狙いに飛び去った。


優。

偵察担当でありながらも工作員としての顔を持つ。

弾切れまで敵機の攻撃をかわしていたのはただの囮。

本当の狙いはC4と呼ばれる設置型爆弾をあらゆる場所に取り付けること。

相手がそこに逃げるように誘導させ見事に罠にはめたのだった。




ピーーーーーー


機能停止の音声がシミュレーションボックス内に響き渡る。

黒くなった画面が視界を覆った。

早苗の手は震えていた。


その後仲間からの勝利、引き分けなどの通信が続々と入ってくる。

何か冷たいモノが頬をつたっていった。


「負け......た......」


「ワタシが......」


















「どう......して......?」



***


「どりゃあああああああああああッッ!!!」


「おらああああああああああああッッ!!!」


戦場に響く金属音と叫び声。

ところどころにぶつかった跡があるビルなどの建物。


二人には周りが何も見えていなかった。

いや見えなかったわけではない。

()()()()()()()()()()を見てるのが惜しかった。

互いは目の前にいる強者を逃すわけにはいかなかったのだ。

それはまるで血に飢えた獅子のごとく。


熱き決闘が申し込まれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ