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第捨捌話「模擬戦開始」(中編2)

ハッチから一斉に出撃した機体は「く」の字を描いたようなフォーメーションをとる。

エリアはいつものビルが建ち並ぶ街。

このエリアはよく戦い慣れたところだ。

索敵及び戦闘面では不利はないだろう。



「__発見しました。前方200m、敵機散らばって待機しています!」


「了解、ありがとな琴。全体ッ! 一対一になるように散開! みんな、健闘を祈る!」


散らばる直前1つの弾丸が横を切る。

その弾丸は琴の機体の急所を撃ち貫いた。


「きゃあああああああああああああああああああ」


「な、何!?」


機体はもの凄い速度で墜落していく。

どうやらこれ以上起動することができないようだ。

くそっ、まだ戦隊ヒーローの変身が終わってない時に攻撃する卑怯な悪役かよ。

ここで一機を失ったのはかなりの痛手だ。

俺は指示を変えて小夜に二人分を任せるように頼む。


「__了解。ではあの中距離の二人を狙います」



***


「ナイスですね。千歳さん。ここで一機落としたのはでかいです」


「あ、ありがとう、純君。次もまた狙い撃ち頑張るから......!」


千歳はスナイパーライフルを片付け、他の建物の屋上へ移動する。


「お前ら、相手が訓練生だからって舐めるなよ。あの小夜ってやつはかなりヤバイからな」


「「「「「「「了解」」」」」」」



(それにしてもあの三木ってやつがエースなのか......小夜が選ばれないってことはそれ相応の実力があるのか?)


この時はこの隊の誰もが三木をマークしていなかった。

その油断が後の勝敗を左右するのだった。



***


「__これじゃあ二対二ですね。今宵さん」


透はバイポッドを立て、スナイパーライフルに着ける作業しながら話しかける。


「うむ、まあ相手の狙撃担当が二人いるのだからしょうがない」


今宵も作業をしながら返事をする。

そして二人とも撃てるところまで準備をし終えた。

建物の看板に身を潜めながら相手の位置を把握しようとした時だ。


__パァッンッッッッ


「!?」


顔を出そうとした直後、乾いた音ともに弾丸が前を突っ切った。

透はいきなりの出来事に尻もちをついてしまう。


「大丈夫か、透。部が悪いなら私がいこう」


「いや、なんてことはないさ。ただやっぱ相手の方がこっちを探すのが上手(うわて)だったか......これはまずいな。」


「うむ、そうだな......」


「......僕に考えがあります。少しお時間いいですか」





「__分かった、それでいこう。だが私がやられたらどうするつもりだ。」


「そこまでは考えちゃだめですよ。とりあえず成功だけを考えてください」


「......御意」


そう言うと今宵は相手にばれないように建物の下へと降りていった。

透は特に顔を出さず()()()まで待機する。



***


「__純君、相手出ないね。どうする? 前......出た方がいいかな?」


「はい、そうしましょう」


純と千歳は撃たれないように順番に前に移動しようとした。

だがその時__


「はあああああああああああああ!!!!」


地上から一体の機体が二人めがけて急接近する。

出力を最大に上げたブーストによって気づかれることはなかった。

そして今宵は横からソニックブレードを大きくなぎはらう。


しかし__


ガキィィィィィィィンンンン


刃と刃が交じりあい、けたたましい金属音とともに火花が飛び散る。

純が刃渡り1mほどの武装『ブレードダガー』で応戦していたのだった。


「真正面では渡り合えないから後ろからとは......中々考えましたね。()()()()()を」


「ふっ、なんとでも言え。さりとて勝たねばならんのだ......!」


今宵は引き下がり突きの構えで襲いかかる。

それに合わせ純は左手で押さえ込む。

左手のひらを貫通したソニックブレードは抜くことができず、今宵は動きを封じられる。


「くっ、なんだと......!?」


「悪いが俺が一歩上でした。ではさようなら」


純はブレードダガーを機体の腹部に思いっきり刺し込んだ。


「うぐっ......」


今宵の機体は徐々に機能を停止していく。

そんな中、今宵は独り言を呟いた。


「あとは頼んだぞ......透殿......」


その瞬間、千歳の機体が後ろから撃ち抜かれる。

彼女は純と今宵の戦いに意識がいってしまい、その隙を狙われたのだった。

機体は音を立てて倒れ込んだ。


「まさか......!?」


純が驚いて後ろを振り向く。

そこにはスナイパーライフルを構えた一体の機体の姿があった。


「がら空きですよ、純さん......!」


透は狙いを定め引き金を引いたのだった。

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