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第捨肆話「VS小夜」(後編)

「もらったぁッッ!!」


しかし、その時予想外のことが起きる。


ガキンッッッッ......

「!?」


なんと小夜は即座に左袖のスティングナイフを展開させガードしたのだ。


「__超反応は貴方だけのものではありませんよ」


「くっ......!」


火花が飛び散る。

そのまま刃が当たった時にかかる遠心力やブレードの重量でナイフごと破壊することができるが、小夜はそうさせないようにナイフをソニックブレードの側面側で受け止めていたのだった。

恐ろしすぎる反応速度、そして僅かな時間での発想による対処。

流石天才、もはやAIレベルだと言っても過言ではない。


小夜は完全に攻撃を受け止めきり、空中で一回転したかと思うとなんとそこから回し蹴りに派生した。


!?

この土壇場で回し蹴りだと......!?


あまりにもの速さに俺は受け止める余裕などなく、あっという間に頭部にヒットする。

もろに食らった俺は地面に叩き落とされた。

手から離れたソニックブレードも地面に突き刺さる。


俺は何とかして立ち上がった。

だが立ち上がった先には小夜がハンドガンを構えて立っていた。

あのハンドガンはおそらくどこかに隠し持っていたのだろう。


「サレンダー(降参)したらどうですか?」


俺には残った武装はもうない。

相手はハンドガン1本だが急所である装甲が薄い繋ぎ目の部分、つまり首をを撃ち抜かれたら俺の負けだ。

仕方ない、ここは__


「サレンダーは許サレンダーってなッ! はぁぁぁぁッ!」


俺は手をあげて降参するそぶりをしようとする直前で、ブースターを起動させた。

そしてそのまま小夜の機体に拳を引いて飛び掛かる。

小夜は寸の遅れがあったがハンドガンを撃ち放つ。

しかし頑丈な胸部の装甲に当たり弾き返された。


俺はまず始めに右拳で頭部を狙った。

それに対し小夜は突きだした拳を左手で受け止める。

だが間髪入れず左拳を握り頭部の横からパンチを入れた。

しかしその攻撃も見切ったのか小夜は右手で受け止めた。


「やるな___がッッッ!?」


一気に目の前が暗くなったと思うと、機体が後ろに沿って倒れようとしていた。

小夜は拳での攻撃を受け止めた直後にブーストを使って膝蹴りを食らわせたのだった。

俺は体勢を戻しながらも一旦引く。


「なんだ? あの運動神経......あのちんちくりんからあんな動きができんのかよ__って!?」


小夜はスティングナイフを展開させブーストをかけてこちらに迫る。

そして一気に接近するとそのナイフで攻撃を繰り出した。

俺は右半身を後ろに引く。

その時ナイフは下から上へと宙に弧を描いた。


「くっ......!」


引いていなかったらナイフの先がどこかの装甲を貫いていただろう。

俺もスティングナイフを左袖から展開させる。

これでもゲームが発売するまでに実装された体験版をレベル1から5までナイフ縛りでクリアしたことがある。

自信はあった。


すかさず俺はナイフで胴を狙う。

小夜はそれに合わせバック回転すると両足で俺の頭部を蹴りあげた。

頭部の装甲は硬い、しかしダメージが入るのは事実だ。


小夜は一回転したあとブーストをかけたままナイフを構え特攻してきた。

狙いは腹部。

それぐらい分かっていた。

だが俺はそれをかわすことはなかった。


スティングナイフが俺の腹部を貫く。


『腹部装甲損傷、人体ダメージあり』


「勝負ありましたね」


「__いや、まだだ。やっと捕まえたぜ! 小夜!」


「......?」


俺は突き刺された状態で小夜の機体の頭部を右手で押さえた。

そしてスティングナイフを突き刺そうとする。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


刺さる直前でサレンダーとYOU WINの文字が画面に現れた。

2機の機体は活動を停止する。


「はぁ......はぁ......勝った......のか......?」


俺はヘッドギアと固定装置を急いで外しシミュレーションボックスから出て、小夜が入ってるボックスにまで駆け足で向かった。


小夜は悔しがる顔一つとなくいつもの無表情の顔でシミュレーションボックスから出てくる。


「わりいな、俺、勝っちまったよ」


俺は笑顔とともにVと右手で作った。

しかし小夜はそんな俺の言葉などスルーしどこかへ立ち去ろうとしていた。


「ちょちょっと待ってくださいよ!!」


俺は慌てて追いかける。

が、追いかける直前で転んでしまった。

どうやら足がつってしまったようだ。

いつも以上にブーストを使ったものだからこうなるのは仕方ない。


小夜はそんな俺の様子をちらっと見てはこう言い捨て去った。


「自らダメージを負ってまで攻撃に繋げようとするのは私の脳では考えられませんでした。参考にしておきます」


俺は手をつきながらも手すりを使って起き上がる。


「リベンジ、いつでも受け付けるぜ」


小夜は無言だった。

だがその後ろ姿には次は負けないという意思があるかのように思えた。


初めての小夜との勝負はギリギリで三木の勝ちとなった。

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