表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/121

第捨肆話「VS小夜」(前編)

「__ハァ......ハァ......ポチと琴は一体どこに行ったんだ?」


あれからずっと走り続けたが、途中でスタミナが切れ完全に見失ってしまった。

授業まであと30分、それまでに見つけて戻らなければならない。

だが行く宛てがない。

俺は頭を抱えてしまう。


「完全に困ったな......こうなれば助けを求めるか......?」


そう言って携帯を取り出したが少し考えた後、ポケットに戻した。

そういや充電するの忘れてた。

まさかの失態だ。

さて、どうしたものか......


そんな中、街中に一人の叫び声が響き渡る。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


この声は......琴......!?

結構近くから聞こえたな。

急いで向かおう。


俺は琴の叫び声がした場所の方向へと走った。

案の定すぐ近くにポチを抱いた琴がいた。


「琴! 無事だったか!」


「三木さん......!!」


俺は良かったと胸をなでおろした。

だが琴が信じられないことを言い出す。



「早く私から離れてくださいッ!!!」


「え?」


「じゃないとアイツが___」


事の後ろの十字路から左折してきたのは黒くて大きな化け物だった。


「レ、レヴナント......!?」


「まだこの街に残ってたやつみたいです」


俺は琴を庇うように前に出た。

そして護身用に持たされたピストルを構える。


「来るなら、来い......! いくらアーマードがなくてもお前なんか怖くない......!」


コアに狙いを定める。

しかし、手の震えがそれを邪魔した。


「こうならやけだ! 当たれ!」

俺は不安定な状態でトリガーを引いた。


カツン


しかし、銃口から発砲されることはなく代わりに乾いた音がした。


「あ、それあくまで脅し用であって本物じゃ......ないんです......」


琴が丁寧に説明してくれる。

それを早く言ってくれ......


レヴナントはウヨウヨと自身の腕を伸ばす。

まずい、この動きは攻撃態勢に入るものだ。

俺は琴の方を振り向きこう言った。


「ここは俺がなんとかする。琴は誰でもいいから助けを求めてくれ」


「でも、それだと三木さんが......」


「俺のことはいい。早く行かないと俺らもろともここで犬死にだぞ!?」


琴はコクりとうなずき、ポチを抱えて全速力でこの場所から離れていった。


頼んだぞ、琴......!


さて、本日2回目のどうしたものか。

レヴナントまで少しの距離がある。

だが、逃げようにもこのくらいだとすぐに追い付かれるだろう。


俺は一か八かの思いで近くの家にあった2m程の鉄パイプを拝借した。

なにも持たないよりはまだマシだろう。

だからと言って勝てる見込みなど一つすらないが。


レヴナントは刄状の腕を上から振り下ろそうとした状態でこちらに襲いかかってきた。

それと同時に鉄パイプを横に薙ぎ払った。

レヴナントの腕とぶつかり攻撃を無効にしたとはいかなかったが、軌道を変えることができた。

ギリギリのところでレヴナントの腕の攻撃をかすめさせる。


次にレヴナントは腕で突き刺そうと少し身を引いた。

その一瞬の隙を狙い、俺は鉄パイプ両手にレヴナントめがけ走った。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


レヴナントは俺の腹を狙って突き刺そうとしたが、とっさの行動により攻撃を外された。

その直後俺はコアに向けて鉄パイプを突き刺した。

しかし奥まで入らず、一度引っ張り抜きもう一度突き刺した。


「いっっけええええええええ!!!!」


バキンと音がしたと思うとコアからドス黒い血が溢れる。


勝った。

いやそれは違った。

レヴナントの血は強力な酸性で人間の皮膚なら余裕でドロドロに溶かせる。

そう習ったのを思い出した。

もし今あの血がこちらに向かって吹き飛んだら......


「__間に合ええええええええええ!!!!」


その時一つの黒い機体がレヴナントに体当たりして後方へと吹っ飛ばした。

レヴナントは血を吹き出しながら倒れた。


アーマードはゆっくりと起き上がりこちらを振り向く。

そしてマスク越しに声がした。


「馬鹿者ッ! なぜ生身でレヴナントに立ち向かうのだ!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ