第捨参話「試験と日常とワンワン」(中編2)
「__そこまでだ。筆記用具を机の上に置け」
東雲教官に言われた通り俺は持っていたシャーペンをカランと置いた。
そして答案用紙が回収される。
手応えははっきりしてないが、できるだけのことはやったつもりだ。
「さて、回答確認は次の授業の最中に行う。三木はいつも通りに授業に参加しろ」
「了解です」
そのまま俺は授業を受けた。
授業中、合格しているかどうかしか考えられずしばしばミスがあったが、仲間たちが大丈夫だと励ましてくれた。
そしてその時は来る。
その瞬間は油断していた。
「三木、160点、ギリギリ合格だ」
授業が終わった廊下ですれ違い様に言われた。
俺はえ?と2度見した。
「私は真面目な時に嘘はつかないぞ、ほれ、これが貴様の答案用紙だ」
手渡された答案用紙にでかでかと赤い文字で「よくやった!」と書かれていた。
小学生以来にそう書かれたものだから思わず吹き出してしまう。
「ぷっ、東雲教官、そんなに嬉しかったですか?」
「ば、馬鹿者ッ! 別にそんなわけではないぞッ!」
「そうですか、把握しましたー」
「にやにやするでない! とりあえず早くみんなに報告しろ!」
そう言うと東雲教官は駆け足で去っていった。
素直に嬉しいんだろうな。
とりあえず俺は合格したことを伝えに食堂に向かった。
「__おお! でかした! 三木! やっぱ俺のエナジードリンクが効いたんやな!?」
「失礼な、僕のガムに決まってるじゃないですか? そうだろうヒロ君」
「なんだと透! 俺とやるってのかーーー!!」
「落ち着け、二人とも。ここは私の漢方で手を打とうじゃないか」
「「それはダメ!!」」
どうやら報告した結果、誰があげたものが一番合格に近づいたか争いになってしまったらしい。
「まあまあ、全員の力があってからこそ、そして三木さんの努力があったからじゃないですか。ね、三木さん」
琴が上手く場を納めてくれた。
サンキュ__
「まあ、でも私の御守りが一番ですけどね!」
火に油を注ぐなーーー!!!
__みんなが昼食を食べ終わるごろには誰が一番論争は既に鎮火していた。
ふとここで気になることがあった。
「あれ? そういや小夜の姿が見えないがなんかあったのか?」
授業中はいたものの食堂にはずっといなかった。
「うーん、なんか用事があるって言ってたね」
琴がそう答える。
「なるほどな」
「そうだ! 三木さん!」
「ん? なんだ?」
「もし良かったら私とデートしませんか!」