第捨参話「試験と日常とワンワン」(中編1)
スー......スー......
窓辺から明るい光が射す。
そういえば昨日は勉強に熱中しすぎて、カーテンを閉めることすら忘れていたのか。
ムクッと俺は起き上がる。
そしてフワァとあくびし腕を伸ばした。
って今何時だ!?
俺は慌てて時計を確認する。
時計の針はきっかり7時を差していた。
「どわああああああああああああ!?!?」
こんな時間に起きるなどここの世界に来た最初の日以来のことだ。
俺は急いで支度をし、教室へと走って向かった。
「__すみません! 遅れました!」
教室には既にみんなが揃っていた。
すぐに着席するも、あの時みたいに東雲教官から怒鳴られることはなかった。
おかしいなと思ったらそもそも東雲教官はいなかった。
ははーん、さては寝坊だなと思った矢先。
「あ、おはよう、三木君。そういえば東雲教官、朝に用が入ったみたいでちょっと遅れるって」
そう美月が教えてくれた。
「な、なるほど」
__5分後
東雲教官は慌ただしい足取りで教室に入ってきた。
片手には1冊の問題用紙がある。
おそらくあれが今日受ける試験なんだろうな。
「貴様ら、よく聞いてほしいが明日、他の部隊と模擬戦をすることになった。詳細はまだ明らかにはなってないが、各自今日の実習を怠るなよ!」
「「「はい!」」」
なんだと? 模擬戦だって......!?
まさかそんな......
「ところで模擬戦ってなんでしょうか......?」
俺はピシッと手をあげた。
なにか質問があるときは手をしっかりあげろと東雲教官から言われた。
「あ、私も知らないや」
「知ってるか? 透?」
「うーん、おいしい食べ物でしょうか......」
「貴様らぁ!!!!」
教卓がドンッと勢いよく叩かれる。
それに反応しみんながビクッとなった。
「......コホン、今から説明するからかっぽじって聞け」
__模擬戦とは
それは各部隊が共に戦いあうことである。
ただし戦うのはレヴナントではなくアーマード。
実際の機体で戦わなくシミュレーションルームにて戦うことになる。
8対8のタイムフリーの試合。
敵機を全て倒した部隊が勝ちになる。
「__と、いうかんじだ。何か質問とかはあるか?」
「はい」
手をあげたのは早苗だった。
「どうしてアーマード同士が戦わなければいけないんですか? 人類の敵はレヴナントなのに何故でしょうか?」
確かにそうだ。
普通にレヴナントと戦うシミュレーションをやった方がマシだろう。
なんでこんな意味のないことをやるのだろうか。
「......なるほどな。だが残念ながらそれすらも明らかになってないんだ。自分なりの考察ではあるが、おそらくアーマード同士で戦うことで互いを切磋琢磨しあう、のではないだろうか」
「分かりました」
早苗の様子を見ると何か疑問に思っているような顔つきだった。
何が疑問か後で聞きたいところだがあいにくそこまで好感度は良くない。
まあ、聞かなくても大丈夫なはずだ。
「さて貴様ら、ここから2時間休みが入るがこの教室には入るなよ。言いたいことは分かるよな」
そう、俺の追試験だ。
休み時間にやるということは終わればそのまま実習だ。
俺は気を引き締めた。
ホームルームを締める礼が終わり、教室は俺と東雲教官の二人だけになる。
「トイレは済ませたか」
「はい」
「シャーペンの芯はしっかり入ってるか」
「はい」
「今までしっかり勉強してきたか」
「はい!」
「よし、準備はいいな。それでは始めッ!」
ピッとタイマーが鳴る。
それと同時に俺はシャーペンを手に持つ。
たった3日の期間だが30点上げる努力なら十分にしてきた。
いけないはずがない。
春風が差し込む。
俺は答案用紙に書き連ね続ける。
やがてそれは1枚の完成されたものに姿を変えるのであった。