第拾弍話「如月早苗という人物は」(後編)
コンコン
俺はB5資料室のドアにノックをする。
中から長谷教授の返事がし、俺はドアを開けて入っていった。
「久しぶり、かしらね」
「大体一週間ぶりですね。元気してましたか?」
「まあ.......ボチボチ? けど研究はそこそこ進んだわよ」
やはりセリフも一緒なのか。
とりあえずあのことを話すか。
「いきなりで悪いですけど、俺、未来を変えました」
長谷教授はキョトンとなる。
流石にいきなりすぎたし説明しないとダメか。
「えーっと、死に戻りしてきたんです。未来を変えるために」
そのあと俺は事細かく事情を説明した。
「_っということなんですが......どうですかね、信用してくれますかね?」
おそるおそる聞いてみる。
「別に私は貴方を疑わないわよ。で、要約すると死んだ仲間を助けるために死に戻りでその人を救ったということね」
「はい、そうです」
「じゃあ最後の確認だけど、勿論私が死に戻りに対して言いたいことは分かるわよね?」
「誰にも言わないこと、むやみに改変しないこと、自分を大切にすること、ですよね」
「合格ね、じゃあ報酬としてコーヒーでも入れてあげるわ」
そう言うと長谷教授はコーヒーを淹れた。
「あ、ミルク多めでお願いします。気持ちが落ち着くらしいので」
「あら、よく知ってるじゃない」
_こうして二人でコーヒーを嗜んだ。
自分の事を理解してくれる人がいると思うとなんだか安心する。
長谷教授がいないと今頃どうなってたのか。
この人には感謝しても感謝しきれない。
「_色々とありがとうございました。またいつかですね」
俺は長谷教授に向かって軽く会釈をする。
「ええ、またなんかあったら言って頂戴な」
「はい!」
俺はまっすぐ自分の部屋に戻った。
さて明日はどうしようか。
時刻は11時。
考えようにも眠気が襲ってくる。
そういえば実質2回もレヴナントと交戦したことになるのか。
精神的な疲れだけは死に戻りしてもリセットされない。
あと転移もリセットされず疲労が溜まる。
あまり能力?を使うのは緊急事態だけにしよう。
とりあえず明日は早く行って事情を説明して____
そこで意識は途切れる。
「わあああああああああ!!?? 6時半だああああああ!!??」
6時半、つまりみんなが既に教室に揃っている時間だ。
本当は6時に起きたかったが、昨日は眠すぎて目覚ましのアラームをかけ忘れていた。
すぐさま支度をし、教室へと駆け込んだ。
遅かった。
もうみんなは揃っていて、1つの机に輪になって何やら話し込んでいた。
ああ、終わった......
って、ん? なんで早苗は輪から外れて端っこにいるんだ?
俺の予想だとみんなにバラして愚痴を言ってるかと思ったのに。
俺が教室に入ったとき駆がニヤニヤしながらこちらを振り向いた。
「三木~聞いたで~」
「な、何をだよ!」
「三木君、早苗ちゃんのこと好きだったんだね! 私応援してるから!」
美月が目を輝かせる。
何を言ってるんだ。
予想では俺はみんなにバカにされてるはずなんだが......
「み、三木さん、しゅ、しゅきって本当なんですか!! わ、私も応援しましゅよ!!」
落ち着け琴。
「ほう......まさかこうなるとは......見物だな」
なんですか、今宵さん。そんな意味深なこと言わないでください。
で、肝心な早苗は......
チラッと確認してみる。
早苗もこちらを見ていたが目が合うとフンッとそっぽを向かれてしまった。
「あ、ヒロくん今早苗さんのこと見なかった?」
「三木! お前ならいけるで!!」
「いや、俺は別に__」
「_ホームルームだ! 私語を慎まんか貴様ら!!」
ドンッと勢いよく開けられたドアには血相を変えた東雲教官がいた。
「今日は少しハードにしてやるからな。覚悟しとけよ貴様ら」
なんだか丸く?おさまったようです。




