第拾壱話「絶望」(前編)
_ついに目的の場所へと着く。
「如月、準備はいいか?」
俺は早苗に確認する。
「言わなくても分かってる」
早苗はジャコッとショットガンの装填を行った。
同時に俺自身も自動小銃K48のマガジンを取り付ける。
まだレヴナントは目視できていない。
俺たちはマンションが建ち並んだ場所にいる。
反応からするとおそらく奴らはこの先の河川時期にある公園にいるだろう。
「あと5秒で行くぞ」
そう言ったが、
「なんであんたの指示に従わないといけないの。私は自分で行くから」
そう返されて先に行かれた。
仕方なく続けて俺もブースターを起動させて後を追う。
ピーッ
俺たちは目標を発見した。
敵は2体、これなら一人一体で済む。
「目標、認識しました」
「同じく目標、認識しました」
まずは早苗がショットガンを構え接近した。
レヴナントはそれに気付き伸縮自在の腕を使って突き刺そうとする。
早苗はその攻撃かわそうとした。
しかし肩のアーマーをかすめる。
それでも早苗はそんなことなど気にも止めず、あっという間にレヴナントの体とショットガンの銃口を密着させていた。
引き金が即座に引かれた。
一度に発射された9発の弾が全てコアに鈍い音とともに直撃する。
勢いよく黒い血が吹き出しレヴナントは吹っ飛ばされた。
流石ショットガンだ。
近距離の火力は他の銃と比べられないほどのものだ。
そんな早苗の戦うところを確認しながらも、もう1体のレヴナントに向かって俺も接近する。
同時に標準を合わせてK48のトリガーを引く。
敵の攻撃はブーストで全て回避し、ひたすら弾を打ち込めた。
「いっけええええええ!!!」
ついにコアを撃ち砕き、レヴナントを倒した。
初めて本物のレヴナントと戦ったがシュミレーションやゲームと一緒だった。
なんだ、案外この世界でも生きていけるんじゃないか、俺はそう笑みを浮かべた。
早速、倒し終わったことを早苗に伝えよう。
とは言ってもどうせ「それぐらい見れば分かる」って言ってくるに決まってるだろう。
「_如月、こっちはもう終わったぞ」
「......」
返事はなかった。
...はぁ、今度は無視ですか。
まあ、確かに嫌われてるもんな。
というか、同じチームなんだから少しぐらいは空気を読んで社交辞令的なかんじで一言ぐらい話せばいいのに。
これからこいつとはどう関わればいいのか。
いや、関わるまでもないのか?
まあ、そんなことはどうでもいいか。
早く合流地点に向かうとしよう。
「如月、俺たちも向かお...向かいませんか?」
おっと危ない、また指示をしてしまうかんじになるところだった。
「......」
けれども返事はなかった。
流石に俺はキレそうになった。
「あのなぁ!少しぐらいは返事したらどう_」
俺は振り向きながらそう言った。
早苗は宙に浮いていた。
ブーストはかけてない状態で。
腹の部分から黒い刃状の腕が突き出ていた。
その後ろにはレヴナントがいた。
「...ミ...ミツ...ギ...」
「......」
俺は思わず声を失った。
スティングナイフを左袖から展開する。
「この...化け物ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」