第拾話「切望」(中編3)
(ここはあれを使うしかないか...)
透はそう思うとスナイパーライフルをバックパックから取り出し組み立てる。
そしてスコープをつけバイポッドなしでコッキングを引いた。
その時には既に駆がレヴナントと応戦していた。
透は焦っていた。
しかしその手付きは冷静なものだった。
透は標準をレヴナントに合わせる。
「_うおおおおおおおお!!!」
駆は次々とレヴナントの猛攻を次々にかわしていく。
そして一体目をソニックブレードで刺し込んだ。
そのままブーストをかけて上へと斬り上げる。
血と肉が同時に吹き飛んだ。
だが_
バキンッッ
「!?」
その隙を狙ってかレヴナントの刃状の腕は駆のアーマードの足のすねを刺していた。
駆はこのままでは引きずり落とされると察知し自ら足のした部分を斬り落とす。
しかし斬り落としたことによってブーストが弱まり体勢を崩してしまった。
「くっ...このままじゃ...!」
その時、一つの弾丸がレヴナントに命中する。
また1つまた1つと更に命中していった。
ラストの1発がコアにヒットし砕かれた。
(行くしかないか...!)
透はヒットしたのを合図にMP67を持ってブーストをかけて前線に出た。
ブーストをかけ前に進みつつ真正面にいるレヴナントに弾丸を浴びせる。
MP67の1発1発の火力は小さい。
しかしその連射性能はあのフォルテですら上回るものだった。
弾丸を急所に何度ももらったレヴナントは倒れる。
さらにマガジンを付け替えリロードをし、次の敵へと標準を変える。
「はあああああ!!!」
駆は透が作ってくれたチャンスを見逃さなかった。
透にヘイトが移動した瞬間狙い、後ろからレヴナントの背中をソニックブレードで突き刺す。
そのブレードの振動によって肉という肉が裂かれていく。
そして残る敵は1体となった。
透はスティングナイフを展開しブーストをかける。
ガキン...!
ナイフがコアに直撃するがコアを貫通することはなかった。
「透ッ!もう1度ブーストだ!!」
「はいッ!」
透はブースターの出力を上げる。
「いっけえええええええ!!!」
しばらくしてコアからバキッという音が鳴る。
それと同時にナイフの先がレヴナントの背中を突き出し、大量の血が辺りに撒き散る。
透はレヴナントの動きが停止したのを確認しナイフを抜いた。
「はぁ...はぁ...やりましたね...」
「せやな...」
「...悪い、透。肩貸してくれるか?」
「ええ、いいですよ」
透は左足の下部分を失い歩けなくなった駆の機体を支える。
2人はゆっくりでありながらも合流地点へと向かっていった。
***
「......」
「......」
なんでこいつと一緒なんだろう。
索敵してる最中俺はずっと同じことを考えていた。
おまけにずっと無言状態が続いているし。
なんかこのままじゃ気まずいし少しぐらい話しかけようか。
「な、なぁ、如月_」
「今は任務中。私語は謹んで」
あっけなく断られてしまった。
これが美月とかなら普通に話し込んでいるんだろうと思うとちょっと悲しい。
さてどうしたものか。
ピーッ
_!?
新たな反応があったようだ。
「場所を確認。160の方向。距離は200m_」
「...り」
「り」ってなんだ!?
了解の「り」か!?
たった4音なのに略すな。
二人は特に一言すらなく目標地点に向かっていった。




