第拾話「切望」(中編2)
「_小夜、敵はどこへ行った?」
「58の方向、まだ私達には気づいていません」
「分かった、なら早いうちに仕留める」
「了解しました」
二人は市街地のマンションの屋上にいた。
今宵はスナイパーライフルのバイポッドと呼ばれる固定する足を地面につけた。
そしてスコープを取り付ける。
「標準よし、弾道距離よし、偏差よし」
コッキングをガチャンと引く。
「...さらばだ、化け物よ」
今宵はトリガーを引いた。
それと同時に鈍い音が響き、銃口からは弾が発射される。
空気抵抗を物ともしないフォルムの弾は真っ直ぐと進みレヴナントの胸部に命中する。
分厚い肉をえぐりとりコアへと侵入しやがて貫く。
貫いたときにはレヴナントはうつ伏せの状態で倒れ込み、動くことはなかった。
「目標、活動停止確認しました」
「うむ、そのようだな」
今宵はスナイパーライフルを片付けバックパックにしまい込む。
「_あとは下にいる連中だけだな」
そう言いながら肩に装着されたソニックブレードを解除し装備する。
「目標認識しました。数は約30体です」
今宵たちがいるマンションの下にはレヴナントがウジャウジャといた。
マンションの上にいるアーマードを見つけると登ろうと自身の腕で這い上がろうとしている。
「...私からするとこの量は初めてだ。申し訳ないが何か策はないのか」
「私は空から殲滅します。私の範囲から外れている敵を今宵さん、あなたが対処してください」
「御意」
二人はマンションの壁を背にして一斉に降りていく。
「今宵さんはこの降り方も初めてですよね」
「そうだな」
「では私の合図に合わせてブーストをかけてください」
「分かった、助かるぞ小夜」
二人は段々と地面に近づいていく。
「_合図いきます」
「了解した」
「3」
「2」
「1」
「0」
0のタイミングで二人はブーストをかけた。
レヴナントがいるところに着地するまでギリギリのところだった。
そして今宵は少し離れたところで降り立つ。
今宵はソニックブレードを両手にブーストをかけレヴナントを薙ぎ払っていく。
肉は裂けコアごと真っ二つになった。
余韻に浸らず次のレヴナントに目標を移し斬りかかっていく。
「はあああああああああ!!!」
ガキン
「弾かれたか!?」
とっさの腕によるガードで攻撃が防がれる。
だが_
「そんなことぐらい読めて...いる...!」
防がれたと同時に回避する。
そして今度は突きの構えで迫っていった。
レヴナントは己を守る暇などなく胸部を突かれる。
「はあッ!」
今宵は更にねじ込み貫通させる。
コアからは血が吹き出しレヴナントは絶命する。
「ターゲットロックオン...」
2つのフォルテを手にすべての敵に標準がばらまかれる。
「...ファイア」
ズダダダダダダダダダダダダ
ズダダダダダダダダダダダダ
フォルテから弾幕が張られる。
だがそれはただの弾幕ではない。
その全てがレヴナントに全弾命中しているのだ。
弾の嵐を浴びたレヴナントは次々に倒れていく。
弾が無くなる頃には辺りには黒い血肉が散乱していた。
まだ動いてるレヴナントを見つけては、小夜は左袖のスティングナイフを展開させ突き刺した。
「_こっちは全て片付いたぞ」
「こちらも完了しました」
「そうか、なら合流地点に向かうとするか」
「はい」
***
「うおおおおおおおお!!!!」
自動小銃K48と共にブーストをかけながら特攻していく。
弾丸を打ち込まれたレヴナントはよろけ、K48をほおり投げソニックブレードを装備したアーマードによってコアごと斬られる。
そのまま崩れるように倒れた。
「どうだ!透!今の戦闘スタイルは!!」
「...駆君、今の戦い方はナンセンスですよ」
「うぇ!?どうしてだ...?」
「おそらくヒロ君の戦い方を真似したように思えますが、あの戦い方はヒロ君にしかできないやり方です。一連の動作がなってないように見えました」
「ぐっ...」
「駆君には駆君らしい戦い方があるはずです。だから_」
ピーッ
新たな反応が入る。
「_っと。雑談してる場合じゃないか。駆君、行きますよ」
「おう!」
二人は反応がある場所に向かった。
「...!レヴナントが5体!?まだそこのレベルまで到達してないのに...」
「僕もまだですね、ここは一旦様子でも見ましょ__」
「いける」
その言葉と共に駆のアーマードのブースターが起動する。
「駆君...?」
「これくらい....いけるんだよおおおおおおお!!!!」
駆はソニックブレード一本でレヴナントたちに斬りかかっていった。
(まずい...駆君がパニックに...)
「駆君落ち着いて!早く下がって!!」
しかしそんな叫びは虚しくも駆には通じなかった。
死と死が隣り合わせの戦いが今始まる。




