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第捌話「ただいま、さようなら」(後編)

「美月!?」

振り返るとそこには美月がいた。


「三ツ木ったらオーバーリアクションしすぎ、別に高校以来なんだからそこまで驚くの?」


高校以来ってことは美月とは同じ高校だったのか...?

思い出そうとはしたが高岩美月らしき人はいなかったはずだ。

俺が異世界転移したことで現実の世界でも何かが起こってるのか?

とりあえず話は合わせよう。


「わりぃ、考え事してるときにいきなりきたもんだから、つい」


「もぅ、高校生の時から鈍感なところ変わらないね」


「あはは...」


「で、なんだけどさ、久しぶりに一緒に帰らない?」


「...ああ、いいぜ」


俺、高校で美月と一緒に帰っていたのか。

美月と俺は一体どういう関係なんだ...?


歩いてる中俺はそのことを質問した。

「なあ、俺たちってどういう関係なんだ?」


「え?」


「あぁいや、軽くどういう感じだったかなって」


「うーん...お互い切磋琢磨しあう関係でいいのかな?成績はいつも同じぐらいで、体育でも競い合ってた仲だったよ」


「なるほどな...」


「ところでなんでそんなこと聞くの?」


「あ、いや〜どう思われたのかなって」



_そうこうしているうちに自分の家に着いた。

「じゃあな、また明日」


「うん!またね」


俺の明日はこの世界の明日じゃない。

そんなことぐらい分かっている。

今日でしばらくこの世界には戻れなくなるだろう。

俺はそのことを噛み締め玄関のドアを開けた。



_昨日と同じく夕飯と風呂を素早く済ませ、ゲームの画面の前に立つ。


何かできることはないか、俺は西南部防衛戦線のミッションを受けることにした。

このモードでは完全にNPCとプレイすることになる。

そして今までのモードと違って、今回はそのNPCの指揮を執りながら戦うモードになっている。

つまり自分が分隊長になるのだ。



_1時間後


「ぐっ、くそっ、また負けたか...」


はっきり言ってあまりにも難しすぎる。

目の前の敵を撃破しつつ味方に指示を出すのは苦行とも言える。

それに上手くいけたとしても、どうしてもあとちょっとのところで負けてしまう。


「何がダメなんだ...?」


ピロン

その時フレンド申請の通知が来た。

名前からすると東雲先輩だったため俺はフレンド申請を受けた。

ロビーで東雲先輩が話しかけてくる。


「三木だったな、観戦モードでずっと見ていたが仲間を守ろうと必死になっていなかったか?」


確かに俺は味方の数が減ると戦況が悪くなると思ってたため、味方が倒されないように指示を出していた。


「はい、そうですがそれがどうしたんですか?」


「バカ者、つまるところ貴様は仲間を信用していないということだ」


「仲間を信用していない...?」


「そう、言っておくが仲間はお前に心配されるようなほど弱くはないぞ、次はそこを注意すれば成功できるはずだ」


「は、はい、ご教授ありが_」


シュンッ

また何か言う前にロビーを退出してしまった。


「...よし、やってみるか」

早速俺はもう一度ミッションを受ける。

今度は東雲先輩に言われたことを意識して。



_それから20分後


『ミッションクリア、直ちに機体を回収します』


「よっしゃああああああ!!!」

俺は嬉しさあまりの声をあげる。

なるほど、味方を信用するということが大事なのか。

これはあの世界でも使えるな...


というより俺ってもしかしてあの世界で分隊長になるってことなのか...?

そう思うと体から何か熱いものが込み上げてきた。

多分今の自分の顔はニヤニヤしているだろう。


「さて、終わったことだしもう少し進め_」


そこから俺の記憶はない。

夜はもう遅く、大学の初講義やさっきゲームに集中していたこともあって疲れは出ていた。


俺は再び深い眠りについた。

もう1度あの世界へと想いながら。

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