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第捌話「ただいま、さようなら」(中編3)

「あら、レディーのプライベート空間に何の用かしら」

部屋の構図はあの世界のB5資料室と一緒だった。

違うところと言えばレヴナントについての書類がないということぐらいだ。


「あの、長谷教授、異世界って信じますか!?」


「何よ、いきなり、まあ信じてないことはないけどそれがどうしたの?」

やっぱりこの世界でも異世界のことについて研究してるのか。


「まあ夢物語だって結論は出るのが確定してるからそろそろ潮時かもね...」

教授は近くにあった書類をくしゃくしゃにしてゴミ箱に投げ捨てる。


「いえ、そんなことはありません、なぜなら俺自身が異世界転移したんですから」


「......」


「俺がここに来たのもあの世界で貴女が異世界のことを研究をしていたので、もしかして元の世界でも同じく研究してるのではないかと思ったからです」


「ふふ...」

教授は笑みを浮かべる。


「!?何がおかしいんですか?」


「あらあら、やけにならないでちょうだい、ちゃんと信じてるわ」


「そ、そうですか....」


「もう少し、話してくれるかしら」


俺は今まであったことを全て話した。

目が覚めたらゲームと同じ世界にいたこと。

それもこの世界と酷似した世界。

そこで出会った人たちがこの世界にもいたこと。

死に戻りも体験したこと。

そしてまた目が覚めたら元の世界に戻っていたこと。

次の日になっても異世界転移しなかったこと。


「_ということです」


「なるほど、つまりあなたはレヴナントとアーマードってのがいる並行世界とこの世界を行き来したってことになるわね」


「並行世界...?ってなんですか?」


「ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界のことよ、パラレルワールドとも呼ばれるわ」


「なるほど...」


「...であなたはあの世界に行きたいの?」


「いえ、あんな化け物の住む世界に行くのはもういいです」

俺は首を横に振った。


「...でもあなたが転移されたってことはあの世界があなたを必要としてるんじゃないの?」


俺はハッとなる。

確かにそうなんじゃないのか?

あの世界を救ってほしいってことが。


「強い想いが人を引き付けるって言うわ、あくまで私が出した異世界についての研究だけど」


俺は教授の言葉を聞きしばらく考えた後、答えを出す。

「...俺、もう1度あの世界に行ってみます」


「うん、いい表情ね、男はやっぱそうでなきゃ」


「で、その前の問題で転移したいんですが、どうすればまた転移できるのでしょうか...」


「あら?簡単にはいかないものなのね、確か寝たら転移したとは言ってたけど...ちょっと待っててね」

そう言って長谷教授は壁に画鋲で刺された用紙を何枚か剥がし、こちらに持ってきた。


その用紙は数式で埋め尽くされていた。

そして一番最後の用紙に結果が書いてあった。


「偶然と偶然が重なり合う時に必然となる...?なんだか抽象的にしか思えません...」


「これに関してはさっきも言ったことだけど、あの世界があなたを求めてるとき、あなたがあの世界を求めてるときの2つの偶然が合ったときにあの世界に行けるってことね」


俺があの世界を求めた...?

俺はを転移する前のことを思い出したとき目を見開く。

そうだ、俺はあのとき願ったんだ、ゲーム世界だったらいいなって。


「どう、なにか思い当たる節がある?」


「...はい、俺、やってみます」



_午後の講義が全て終わり帰るとき、玄関先で誰かが俺の肩を軽く叩いてきた


「久しぶり、三ツ木、元気してた?」




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