第漆話「掟、規則、理」(中編2)
「この世界の話...ですか...」
「この前、貴方がやっていたゲームとこの世界がリンクしていると話したわよね」
「は、はい、アーマードとレヴナントのことですね」
「じゃあ過去のことを知ってる?」
_過去のことか。
ゲームだからかなのかそこまでの設定は描かれてなかった。
ストーリーはあるものの、レヴナントは突然現れたものでそれらをアーマードで駆逐していくだけだった。
「いえ、特には...」
「分かったわ、これから説明していくわね_」
_1980年、ちょうど今から30年前のことだ。
12月24日、それは最悪のクリスマスプレゼントとなった。
宇宙の彼方より直径約100kmの隕石が南極大陸に落下。
それだけで済めば良かったのだ。
しばらくして隕石の内部から黒い生き物が突き破り、這い出てきた。
黒い生き物は口がなくまるで生きた屍のように見えたことから「Revenant」と呼ばれた。
最初に発見されたレヴナントは蛇のように手足がなく、体長も1mなかったことから特に危険視されずアメリカ軍により火炎放射で焼き払われた。
はずだった。
30分も経たないうちに人型や変異型が隕石の穴から出現。
同時に襲われる新聞記者やテレビ報道記者。
テレビに写ったのは地獄そのものだった。
これを機に世界政府は核の使用を決定した。
南極大陸に核が落とされたのはそれから3ヶ月後の3月17日だった。
この核でレヴナントが全滅し終わったかのように見えたのもつかの間。
隕石は無傷でさらにそこからレヴナントが湧いてきた。
_それから10年の月日が流れた。
この10年間レヴナントは南極大陸を埋め尽くすほどまで増殖した。
「_でどうなったと思う?」
「どうなったって言っても...それで海を通して他の大陸まで移動した、で合ってるんですよね」
そう、レヴナントは海を歩くことができた。
おそらく呼吸気管がないのだろう。
最初に到達したのは南アメリカ大陸。
逃げまどう民、交戦する戦闘員など物ともせずに襲いかかる。
そんな中現れたのが_
「アーマード、当時の機体はヘルストライカーと呼ばれたわ」
「あれ?幻月ではないんですか?」
「幻月はあくまでも日本製のものよ、アメリカから仕入れたヘルストライカーを元に幻月が造られたってかんじね」
ヘルストライカー、地獄の中で生まれたレヴナントを殲滅する一手という意味が込められている。
そして20機の機体が前線に投入された。
アーマードによって一気に戦況がひっくり返った。
とはいかなかった。
結論から言うと殲滅されたのはこちらの方である。
たとえ2m級を倒せたとしても、10m級を倒せるほどアーマードは高いスペックではなかったのだ。
こうして南アメリカ大陸はレヴナントの手に落ちてしまった。
現在北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の境界では激しい攻防が行われている。
戦いが長引けば長引くほど勝機はなくなると分かっていながらも。
「_こんなかんじね、一旦コーヒーでも入れるわ」
「ありがとうございます、砂糖はなしでお願いします」
「分かったわ、で、今日はどうだった?」
「はい、今日はアーマードを装着する授業とシミュレーション戦でした、前の世界でのゲームと操作方法が似ている感じでいい結果を出せました」
「なるほどね、それは良かったわ、はいコーヒーよ」
長谷教授は湯気だったコーヒーを差し出してきた。
俺は頷き受け取る。
「そういえばどうやってレヴナントは日本にまで上陸してきたんですか?」
俺はコーヒーをすすりながら問う。
「確かにそれ言い忘れてたわね、簡潔に話すとね」
「西では誰も戦おうとしなかった」




