第漆話「掟、法則、理」(前編)
「よくここまでやった、今日はこれにて授業を終える!敬礼!」
時計は7時をさす。
俺たちは食堂へ向かった。
食堂は他の訓練生や隊員で溢れかえってた。
「あちゃ〜これじゃあみんなじゃ座れないね...」
「そうだね...美月ちゃん、じゃあ今回は別々で座ろうか」
琴の言う通り俺たちは違う席で夕食をとることにした。
今日の夕飯はトンカツだった。
とは言っても合成肉なんだがな。
この世界で生きていくうえ二度と本物の肉が食べられないのは残念だ。
「おい、新入りソースとってくれ」
ふいに声がした。
向かい側の隣のとなりの人からだ。
「は、はい、どうぞ」
服装を見る限りヴィーバントの隊員だった。
歳は40をいってるだろうか。
髭を生やしている。
「まったく...最近のヴィーバントはどうしたんだ?女までも化け物と闘わせるなんて」
「そうだよなぁ...旦那、か弱い女が戦場に出るなんて1万年早いよな」
「旦那の言う通りだ、女は黙って部屋のすみにいればいいのさ!」
「「「ハハハッッ!!!」」」
周りに聞こえるほどの声量で盛り上がっている。
他の女性隊員の困っている様子を見るとこいつらに声をかけざるを得なかった。
「やめろよッ!ここにいるみんなはそれぞれ目的を持って所属したんだ!これ以上悪く言うんじゃねぇ!」
俺は立ち上がって叫ぶ。
途端にあたりは静まりかえる。
「なんだい兄ちゃん?訓練生のくせに変な口をきくねえ」
「俺たちはここじゃ一番偉いんだ、おめえは一体なんなんだ」
「旦那ぁ、ここは俺がしつけてやりますよ」
3人とも立ち上がりそのうちの1人がこちらに近づいてきた。
そして_
「うおらぁッッ!」
鈍い音ともに頬を殴られる。
口中を切り口の端からは赤い血が流れる。
そのままよろけながら後ろへと転倒する。
「くっ...」
ズキズキと痛む。
「へっ、根性なしがヴィーバントに入るんじゃねえよ」
くそっ、このままにしておくにはいかない...
そう思い立ち上がろうとしたときだ。
「無礼者!同胞を殴る者がどこにいる!」
その声は今宵だった。
「大丈夫か!?三木!」
彼女は駆け寄りこちらの方へと来る。
「あ、あぁ...大丈夫だ...って今宵!後ろ!」
今宵の後ろにはさっき俺を殴ったやつがたっていた。
今宵に向かって手を思い切り振りかぶろうとしていたのだ。
バシッッ
今宵はすぐさま振り向き両手で受け止めた。
「なっ!?白羽取りだと!!?」
「ふん、奇襲などレヴナントとのシミュレーション戦闘で慣れている」
今宵はそのまま腕を掴み、自身の背中と相手の体を密着するように体勢を変えたあと、勢いをつけて投げ飛ばす。
隊員は床に強く叩きつけられ気絶する。
「あの距離で背負い投げだと...!?この...クソアマッッ!」
もう一人が血眼になって殴りかかる。
「女、女、言うにはずいぶん本気でかかってくるんだな」
今宵は構える。
目前まで来た瞬間、フッと横にかわし殴りかかってきた隊員に足をかける。
そして隊員はバンっと大きな音ともに顔から床に倒れこんだ。
「くそう...こうなったら...!!」
旦那と味方から言われてた隊員はテーブルのナイフを掴む。
「_騒がしいと思えば、なにをしているんじゃ?お主ら?」
ふいに出口の方から声がした。
目をやると床に届きそうなほど髪を伸ばした1人の女性と付き添いの隊員が3人いた。
「ち、違うんです!明星軍部指令副長官!」
カランとナイフを床に落とし両手を上げる。
「ほう...さっきから見ていればお主が手をあげていたそうな...愛犬ら、あやつらを拘束しろ」
「「「ハッ」」」
彼女の後ろにたっていた3人は倒れこんでいる2人と両手をあげている隊員を押さえる。
「少年それと今宵、すまなかったな、うちの野良犬どもが牙を出してしまって」
「い、いえ...大丈夫です」
「助かりました、このご恩は一生忘れません」
今宵は明星軍部指令副長官に向かって敬礼する。
俺はそれを見てすぐに立ち上がり同じく敬礼する。
「ほほっ、相変わらず今宵は堅いな、じゃ、あとはゆっくりディナーを堪能しな」
彼女は隊員とともに去っていった。
そして食堂内はガヤガヤと日常に戻る。
「東雲さん...助かった、弱くてすまない」
「このぐらいなんてことない、ただ少々こちらも本気になりすぎたようだ」
今宵は手をパンパンと払う
模試があり時間遅れてしまって申し訳ないです...
土日7時は意外と多分きついかも