第陸話「レベル10」(前編)
__シミュレーションルーム
「ここではレベル0から10まで設定されてある、もちろん数字が上がるごとに敵は強くなる、まずは敵が一切動かないレベル0から始めてもらおう」
俺たちは指示に従いシミュレーションボックスに入る。
そして、コントロールグリップハンド、ヘッドギアを装着し、専用のブーツを履く。
次に機体選択。とは言ってもまだ幻月しか選べないが。
その次に武器設定画面、当然フォルテとK48だ。
最後にレベル0を選択して、出撃...!
ってこれゲームと同じやつじゃねーか。
確かVRゲームは発達してないって長谷教授は言ってたが...
まあ、確かにこの世界でのこれは「ゲーム」じゃないっていう認識だと思うと納得できる。
そんなことはさておき、目の前に2m級のレヴナントが現れる。
俺はK48を構え、ブーストを切って突撃する。
そして銃口をコアまで当てる位置に着き、即座にトリガーを引いた。
ガガガガ、ガガガガと鈍い音が鳴り響きいた後、コアから液体が飛び出し破裂する。
早くアサルトライフルで倒すならこの方法が手っ取り早い。
中距離で撃ち続けても火力は出ず、今回はなかったがレヴナントの腕の攻撃をもろに受けてしまう。
突撃したのも危険だと思われるが、レヴナントの行動には一瞬のラグが生まれる。
そこを狙った、というわけだ。
_レベル0をクリアした感想。
これってゲームの体験版でやったやつだ。
ゲームが発売される2ヶ月前にその体験版が実装された。
その時はレベル5までしかクリアできなかったっけ。
「貴様らレベル0は無事にクリアしたようだな、次は好きなレベルを選んでくれ、言っておくがレベル6からは想定外のケースの戦闘である、とりあえず今日中にレベル3をクリアできたら上出来だ」
レベル設定はこうだ。
0 敵が一切動かない 3 腕のみ通常の速度で動く
1 腕のみ0.5倍の速度で動く 4 通常(足も動く)
2 腕のみ0.8倍の速度で動く 5 市街地で探すところから始まる
なるほどレベル3か...
確かに腕の攻撃を避けれるようになったら普通に戦えるようになるだろう。
でもそれぐらいは俺はできている。
だからレベル5を押そうとした時だ。
誤って腕の一部がとあるタッチパネルに触れてしまう。
ピピッ
「ん?」
_レベル10に移行します_
開いた口が塞がらなかった。
_レベル10
それは一気に10体の敵が出てくる最難関のモードだ。
待つ余裕もなくフィールドが展開され、機体が大地に降り立つ。
「くそ、中断はできないか...」
ゲームであった中断ボタンは見当たらなかった。
「やるしかない...のか...」
俺は決心しK48を構える。
...!上か...!?
なにやら気配がし上空を見渡す。
丁度同じタイミングでマンションの屋上からレヴナントが襲い降ってくる。
すぐさまブーストをかけ繰り出される攻撃をかわした。
そして左袖のスティングナイフを展開し、そのままマンションの壁までコアを突き刺す。
コアは液体を吹き出し砕け散る。
撃破したもつかの間、いきなりレヴナントが姿を現す。
数でいうと4体。
「くっ、聞いてねえぞ...」
この数ではアサルトライフルだと対応できないため、すぐにK48を捨てロックを外しフォルテに両手に持ちかえる。
両手で持つことによって反動がかなり減少するのだ。
「うおおおおおおおおッッッッ!!!!」
襲いかかるレヴナントどもに対して乱れ撃つ。
次々とレヴナントの身体から肉片が飛び散り、10秒かからずとも蜂の巣になり倒れこんだ。
「...あと5体か、全然行けるもんだな」
俺は次の敵襲に備えてマガジンを付け換える。
この調子なら楽勝、思ったその時だ。
また新たにレヴナントが現れる。
しかしその姿は今まで交戦した奴らとは違うものだった。
「...!?変異...体...だと...!?」




