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   「この世界」(中編1)

「なん......だと......!?」

 そこに表示された反応の数は6体だった。

 俺は今まで2体以上と戦ったことがない。


 そんなことはお構いなしにこちらを囲むように迫ってくる。

 逃げようにも逃げることはできない。

 あと500mで確実に接敵するといったところか。


 俺はそんな危機的状況に耐えられず、再びオペレーターに問い合わせる。

「......ッ! 確か緊急脱出コールができるんだったよな。それを頼めるか?」


「現在確認中......エラー発生、緊急脱出コールに失敗しました」

 くそッ、こういう状況だってのに不具合かよ。


 やるしかないのか......? 一回の戦闘で6体を......


 俺は迫ってくるまでのタイムリミット_約一分間、マニュアルをひたすら確認する。

 だがどこにも対処法は記述されていなかった。

 当たり前と言えば当たり前だ。

 このままだと敗北が決定するだろう。


 そうこうしているときに目視できるところまで化け物が近づいてきた。

 俺は恐怖で手が震えていた。


 やるしかない。やるしかない。やるしかない。

 自分にひたすら言い続けた。


「行くぞッ!!」

 冷静さを取り戻しブーストをかける。

 同時に前方にいる2体が一気に襲いかかる。


「うおおおおおおおおおッッッ!!!!」

 9mm短機関銃を撃ち込みながら接近する。

 片方のコアに当たりが良かったのか貫通し、そのまま後方へと倒れ込む。

 その後ナイフへと変形しもう片方に飛びかかった。


 見事コアへと命中。

 そのまま斬り上げコアを両断し砕く。

 相変わらず返り血は激しい。


 __残るはあと4体。

 いけるかもしれない。そう思ったときだ。


「装甲貫通、ダメージ120%到達、内部損傷」

 いきなりメッセージウィンドが現れた。


 驚いて下を向くと後ろからレヴナントの腕が腹部を貫いていた。


 四方八方と囲まれているのだ。

 一つの隙が命取りとなる。


 そして画面右上に出血ゲージが出始めた。

_2:59

_2:58

_2:57


 カウントは止まることを知らない。

 手汗があふれるように流れているのが分かる。


_2:52

_2:51


 いや、ここで突っ立っている余裕なんてどこにもない。

 俺はすぐさま後ろへ振り向き、敵のいる場所へと無我夢中にブーストをかける。

 推進剤はもう残り僅かだ。

 推進剤が切れる前に、そして出血ゲージが0になる前に。

 俺は化け物を倒さなければならない。


 背部にある武装のロックを外す。

 そしてこれこそが俺の、幻月の、メインウェポン。

 その名も7.62mm機関銃M112、通称「フォルテ」。

 高い火力を発揮する上、連射性、機動性に長けている。

 機関銃というものは普通、人は片手で持てないし、連射するとなるとかなりのブレが生じる。

 だがそれをアーマードの強化された腕がカバーしてくれるのだ。


「これでも......食らえぇぇぇッッッ!」

 前方には2m級レヴナントが3体。

 センターポイントに目標を入れそれぞれ約30発ずつ撃ち込み、敵の腕の猛攻をかわしながら近づく。

 2体は蜂の巣となり撃破したが、もう1体は反動によるブレで倒すには足りなかった。


 機関銃を投げ捨て左袖部分に仕込まれたスティングナイフを展開する。

 タックルをしかけビルの壁へと押さえ込む。

 身動きが取れなくなったところをナイフで刺しては裂く。

 そしてコアを掴みとり思いっきり突き刺した。


 __これで残るはあとは1体となった。

 投げ捨てた機関銃を拾いに戻りマガジンをセットする。


 残る反応がある場所はこのビルの向こう側にあるスクランブル交差点のようだ。

 警戒を解かず一歩ずつゆっくりと反応のあった場所へと進む。


 現在の武装は7.62mm試作機関銃_120発。可変型9mm短機関銃剣_残弾は0、ナイフとして使う。

 最後は隠し武器......だがこれを使うのはよほどのことがない限りだ。


 ズシン......ズシン......と一歩ずつ目的地へと近づいていく。

 ビルの影に隠れてスクランブル交差点を見渡した。

 そこに見えた光景は想像を絶するものだった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 鬼気迫る描写で面白いっス
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