第肆話「起動」(中編3)
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東雲「_では次にブーストを行う。ブーストと言うのは体の重心を前に落とし、つま先部分に力を入れることでブースターを起動させ移動するというものだ、速く動けるという利点があるが、制御が難しく最初は誰もが苦難を強いられる、ではブーストをして元の白線まで戻ってこい!」
皆はそれぞれ試行錯誤しながらブースターを起動させようとする。
そういえば俺自身もかつてブースターの起動と制御に30分くらい時間を掛けたなぁ...
できたとしても瞬時にブーストをできるようにしないと敵の攻撃を回避できないから、その練習にもかなりの時間掛けたっけ。
そう物思いにふけっていた時だ。
? 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!いったぜぇぇぇぇぇ!!!」
猛スピードで大地を駆ける者_宇崎駆の姿があった。
だがこれだと_
駆 「うぉぉぉぁぁぁぁぁッッッ!?!?」
だんだんと前のめりになっていきドシャンっと思いっきり転倒した。
あー...言わんこっちゃない...
ブーストのかけすぎ、初心者がよくやるミスだ。
ゲームのチュートリアルでの戦闘の時、5人ぐらいが初っぱな壁に激突したり海に落ちたりですぐに脱落してたっけな....
東雲「ばかもの!そんなスピードで制御できるやつがおるか!できたとしても推進剤がすぐに切れてしまうだろうが!」
でも練習し始めてからこの早さでブースターを起動させたのは、ある意味上出来だろう。
俺は周りの様子を見る。
まぁ、俺はいつでもできるから皆ができるまで待ってやろ_
その時、一つの機体が颯爽と駆けゆく。
...!?まだ練習開始から5分も経ってないぞ...!?
その正体は近衛小夜だった。
まるで自分の体のように操縦しこなす。
琴 「さっすが軍部指令長官の孫だね!」
あぁ...やっぱりあの子、そうだったのか...
今宵「うむうむ、これまでの筆記テストも満点、流石天才といったところだな」
ぐぬぬぬ...
俺だってあれ以上に操縦できるのに....
...もう、やるしかねぇ!
「まてぇぇぇ!!」
俺はブースターを起動し彼女を追いかける。
だが_
「何...!?」
さらにその上をいく速さで俺との距離を離す。
今までずっと無表情の彼女だったが、モニター越しから見えた顔は少し笑っていた...ような気がした。
いつまで経っても追い付けることができないままだった。
あと少しってところで急旋回されかわされる。
ダメだ...こいつ...鬼ごっこの中で成長している...確実に...!
そんな中、ついに東雲教官の目についてしまう。
東雲「コラーッ!アーマードは遊び道具ではない!今すぐ止まれッ!このばかものがッ!」
く、あともうちょっとだったのに...