第肆話「起動」(中編2)
_9:00
ガラッとドアが開き、鬼教官...じゃなくて東雲教官が入ってくる。
「これから1時限目を始めるッ!起立ッ!敬礼ッ!」
俺たちは揃って教官に敬礼する。
良かった、今度の敬礼は間に合っ_
「そこッ!ミツギッ!手が違う!私はまだ死んでないぞ!」
え?
俺だけ左手で敬礼していた。
左手で敬礼するのは亡くなった人に対してするものだ。
俺は慌てて右手で敬礼し直した。
「着席ッ!...まったく、平和ボケしたやつだ...これが特待生だと?信じられん」
東雲長官は大きなため息をつく。
「まあ...気を取り直してだ、今日からはアーマードを装着する実践授業を行う」
「うっしゃ!待ちに待ったアーマードの装着や!」
そう歓喜の声を上げたのは駆だった。
「落ち着け、宇崎、アーマードといえどそう簡単には操縦できないぞ」
東雲今宵、彼女が彼に待ったをかける。
「えー?でも、そういう今宵さんもホントは楽しみにしてたんだよねー?」
そう言ったのは美月だった。
「べっ、別にそういうわけでは_」
「静かにしろッ!貴様らッ!」
ドンと教卓が叩きつけられ、教室はシーンと静かになる。
「今宵の言う通り、最初はそう上手くいかない、気を引き締めろ」
_第2アーマード演習格納庫
「貴様らが今回操縦するのは、幻月RA_つまり軽装甲のバージョンだ、まずはここから始める」
俺たちは各自指定された装着場へと移動する。
そして機器を背にして足部分が固定される
「ミツギくんだよね...操縦経験があるって聞いたけど、どんなかんじなの?」
隣りにいた男子_大宮透がボソッと話しかける。
俺は少し考えて答えた。
「最初は誰でも失敗するよ、でも自分の手足のように動かせるようになると楽しい...かな」
「そっか、一緒に頑張ろう...!」
「あぁ!」
「_それでは装着開始ッ!」
合図とともに自動でアーマードのパーツを持った機器が一斉に動き出す。
そして下半身から上半身へ、次々と装着されていく。
最後に体に密着するように圧縮され、真っ暗だったモニターが起動しあたりを見回せるようになる。
東雲「貴様ら聞こえるか?これからはこのマルチ回線を使って通信を行う」
モニターの右画面に東雲教官が映る。
ゲームと同じ画面の配列だ。
東雲「それでは1番から8番まで一列になり、私の後ろについて来い」
やっと動くことができる。
そして動いてみて分かることがある。
そう、操作方法がゲームと同じなのだ。
違うところといえば質感があるといったところか。
俺たちは1列になり格納庫の外へ出る。
「まず始めに100m歩行を行ってもらう、各自白線につくように」
俺たちは1本の白線へと並ぶ。
「それでは始めッ!」
みんなが一斉になれない足つきで前へと進む。
そんな中俺は_
キィィィィィィン
ブースターが起動する音がし、1つの機体が大地を駆ける。
それはまるで疾風がの如く。
東雲「...って、ばかやろうッ!歩行だと言ったはずだッ!聞こえなかったのかッ!」
教官からの怒号が飛ぶ。
「す、すみません!」
俺はブーストを停止させた。
その時クラスメイトからの通信が入る。
駆 「すごいな!俺なんて全然歩けないわ」
透 「すごいよヒロくん、操縦経験があるのはだてじゃないね!」
美月「いいなー、私も速く移動したいよー」
東雲「コラッ!私的に回線を使うな!口より足を動かせ!」
そして約2分が経ち皆が100mを歩き終える。




