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第肆話「起動」(中編1)



てかどうしようこのノート(これ)

まあ、とりあえずメモるのだけは早く終わらせよう。


俺は教室のドアを開ける。

教室には3人しかいなかった。


「なあ、悪い、他の人たちは今どこに...?」

俺は机を挟んで談笑している二人にうちの一人_如月早苗に声をかける。


「なに?話しかけないでくれる?このえこひいき」

え?


その時向かいに座っているもう1人の女子_高岩美月が口を開く。

「あ、ごめん、うちの早苗ちゃん人見知りなの、うんとね、琴ちゃんと小夜ちゃんのちびっ子ペアーズは犬の散歩に行っててね、透くんは図書館で本を読みに行ってて、今宵さんは自主練で校庭にいるかな」


「...なるほど、つまり今の時間は休み時間的なものなのか?」


「うん、そんなかんじ!あ、授業は9時から始まるからそれまでだね」

7時5分から9時までの約2時間か...

朝にプライベートの時間をくれるなんてなんていい学校なんだろう


とりあえずこの2時間、メモを必死に頑張るか。


俺は自分の席に付き、筆記用具を取り出しノートを開く。

そしてシャーペンを持ち、手をひたすら動かす。


しばらくしてとあることに気が付く。


...?これってどこかで見たことあるような...

そう思いながらパラパラとノートのページをめくる。


「...あっ、これマニュアルでやったところだ!」


俺は自他ともに認める取り扱い説明書、マニュアル大好き人間だ。

だからだ、内容がスラスラと頭に入ってくるのは。

いつも新作ゲームを始める前に熟読し、完璧に操作方法などを覚えた状態でプレイするように心がけている。

そうでもしないと体がムズムズし、不安になるからだ。

VRゲーム「ARMORED」のマニュアルはかなりの量があり、敵に有利な戦い方、陣形の組み方、アーマードやレヴナントの設定などの情報がより詳細に書かれてあった。

完読するのには4、5時間かかった。


その内容がこのノートに詰まっているのだ。

俺は得意になり手が速くなる。

ついでにそのノートに足りない部分を付箋に書き込み貼り付ける。

その作業を続けること1時間が経過した。


前で机に突っ伏して寝ていた1人の男子_宇崎駆が目を覚ます。

そして、目をこすりながらカリッ、カリッというシャーペンの音に反応しこちらを振り向いた。

しばらくこちらを見つめていると、いきなり席を立ち、物珍しそうに近づいてきた。


「ミツギやっけ?何しとるんや?」

俺は手を止めシャーペンを置く。

ちょうど手が疲れてきたところだった。


「あぁ、3ヶ月分の内容を1週間で覚えろ...って東雲教官に言われたんだ」

そう言って、手本のノートと今自分が書いてるノートを見せる


「ほぉ...あの鬼教官のやりそうなことやな!」

駆は笑みを見せる。

確かに言われてみれば鬼といえば鬼だな...

彼につられて俺もフッと笑う。


「_ん?なんやこれ?」

ピロピロっと貼り付けられた付箋を触る。


「なんか足りないところがあったから、付箋に書いて補ったんだ」


「ほーん、そうなんや...ん?これ、授業で習ったっけ?」

そう言って指先をとある1つの付箋に置く。


その内容は「長時間のプレイは目に悪影響を及ぼす」だった。

しまった、ゲームの知識()が、


「...あぁ...うん...これはだな、勉強のやりすぎ、つまり勉強のプレイは目に悪いっていう意味だ...そう、この手本ノートを書いた人は長時間勉強の詰め込みすぎだ...!」

俺は謎の自信を持って応える。


「...そのノート書いたの俺なんやけど」


「え」


「あと授業でやったところだけやから、そこまではやってないような...?」


「え」


そうこうしているうちにまた1時間が過ぎた。

俺は早々とトイレを済ませ、授業が始まる5分前には着席した。

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