「死に戻り」(後編)
「__ここまでのようね、明日からは毎日7時前には教室に集合することになっているわ、筆記用具とノートを忘れずに、じゃ、またどこかで」
教授は手を振り、寮の入り口で別れをかわす。
俺はまっすぐ今日手渡されたカードキーについてる番号の部屋へと向かった。
「えーっと、確かここの角を右に曲がった先だっ__」
ドシン!
誰かとぶつかったようだ。
目を開けるとそこには中学生らしき女子が転んでいた。
「大丈夫か......?」
俺は慌てて手をさしのべる。
「いてて......あ、どうもありがと」
手を引っ張り彼女を立ち上がらせた。
「__えっと、どうしてこんなに小さい子がいるんだ?ここに入れるのは高校卒業見込み、卒業者だったって聞いたけど......」
「.........」
彼女は無言のまま顔を赤らめる。
「ん?今俺なんか変なこと言ったか?」
高校まで女性と話したことは何度かあるが、別に悪いことは言ってないはず。
「......えっと、私、18歳なんだけど」
え?ええ!?ええええ!?
「ええええ!?」
あ、心の声が漏れた。
そう声を出してしまったあと、彼女は機嫌を悪くしたのかふんっと言いながら過ぎ去って行った。
俺は何も見なかったように自分の部屋へとそそくさと行った。
カードキーをピッと反応させ扉が開く。
部屋の広さはおせじにも広いとは言えなかった。
しかし1人には十分だ。
トイレやお風呂が備わっており、アパートよりマシだと言ったところだ。
俺は真っ先にベッドへとダイブする。
うん、ふかふかで気持ちいい。
時計を見た。
__もう8時か。
今思えば本当に今日は色々あったなぁ。
異世界に来てしまったし、レヴナントに会ったし、アーマードに会ったし、死に戻りしたし、ヴィーバントに入れたし、アーマードの訓練生になれたし......
「俺がアーマードに......!」
そう妄想を続けるときりがなかった。
そうこうしているうちにいつの間にか寝てしまっていた。
おそらく新しいことの連続だからだったのだろう。
そして朝を迎えることになる。
ドンドンドンドン、ドンドンドンドン
「起きろ!もう朝だぞ!ミツギヒロ!」
必死にドアを叩く音が聞こえる。
「ふにゃ...あと5分...」
ドンドンドンドン、ドンドンドンドン、ドンドンドンドン
「起きてください!ミツギさん!もう時間過ぎちゃいますよ!」
妹までもが俺を呼ぶなんて......ひどい朝だ......
俺は時計を見る。
6時55分だった。
大学に出校するのは9時だ。
じゃあ大丈夫......
ん? 妹?
俺には妹なんて___
俺はガバッと布団を放り出して目覚める。
そうだ、この世界はこの世界じゃないんだ!
俺はすぐに訓練服に着替え、歯を磨き、筆記用具やノートを抱き上げ扉を開ける。
「悪い悪い、寝坊しちまった!」
しかし、そこには誰もいなかった。
時計は既に7時3分を指していた。
「どわああああああ、見捨てやがったあああああああ」
俺は無我夢中に教室目指して走り込む。
__1-B
やっと教室を見つける。
俺はガラガラと音を立てて入った。
「遅いぞ!ミツギ、5分の遅刻だ」
そう教卓にいた人物、
それはどこかで声を聞いたことがあり、どこかで見たことのある黒髪ロングで長身の女性だった。
そして二人は目が合う。
「__あ」
「!? あの時の......少年......?」
本日16時に次話投稿予定です!




