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第弍拾玖話「オルゲンロートリッター」(中編)

「......オルゲンロート.......リッターシステム?」


何が起こっているのか分からない。

だが、その文字はどこか見たことのあるものだった。


アーマードのブースターが再点火し宙に浮く。

そのまま真上へまで上がっていき、アーマードの装甲の至るところに赤い線が走ったあとフレームが変形しだした。

そして一部の装甲が解除され辺りに飛び散っていく。


「これが......新機体の力......」


アーマードはさっきまでよりも身軽になり、ブースターが三つになったことにより更に機動性が上がった。



***


「近衛正嗣司令官殿ッ! 早くお逃げになさらないのですかッ!」


オペレーターが正嗣司令官に訴えかけるが、彼はそこから一歩も動こうとしなかった。


「......この戦い、人類の勝利になろうが敗北になろうが私にはここに残る義務がある。それに勇敢に戦っている者がいるというのに逃げるというのか」


オペレーター及び従業員は全員避難しようとしている。

オペレータールームには明星と正嗣だけとなった。



***


「うおおおおおおおおおおッッッ!!!」


大きく飛び上がった機体は二本のソニックブレードを天高く振り上げ、200m級レヴナントめがけて突き刺し斬り開く。

肉がえぐりとられ層が(あらわ)になった。


「ここにコアが......!」


何度も何度も層を突くがダメージは一向に入ろうとしない。

俺は今度こそはとおもい、三つのブースターの出力を最大にし追い打ちをかけた。


「はああああああああああッッッ!!!」


ガキィンッガキィンッと弾かれるが、一本のソニックブレードが僅かに層に突き刺さる。

一度剣を抜き、またその部分に強く突き刺した。

更に層の奥まで到達する。

やがて層全体にヒビが入った。


「これなら......!」


もう一本のソニックブレードでヒビの大きいところを突き刺す。

同じように何度も突き刺し、ついには層が貫かれる。

コア独特の硬い触感かソニックブレード越しに伝わった。


俺は層を剣で振り斬り、コアを表させる。

その時ソニックブレードは二本とも刃が折れた。


ドクンドクンと脈打つようにコアは大きく鼓動していた。

俺は無言のまま左袖からスティングナイフを展開させる。

そして高く振り上げコアに刺し込もうとする。

だが中々上手くいかず弾かれる。

200m級レヴナントは自身のコアが露呈しているのにも関わらず、拠点へと進行していく。

市街地は既に踏み荒らされ原型を留めていなかった。


「止まれッ! 止まれッ! 止まれッ! 止まれッ!」


そんな叫びも虚しいままだった。

しかし__


パキィッ.............


「ッ!?」


スティングナイフの先がコアに刺さり込み中へと入っていく。

そのままナイフをねじ込んだ。

そして左腕の全てが中に入った。

同時に高温の熱が左腕に襲いかかる。


「ぐッ......! なんのこれしきッ!」


右手でコアの外膜を破り自身の体ごとコアに入り込んだ。


200m級レヴナントは拠点へと足を踏み込む。

オペレータールームのモニターの上から足が進入する。

まだそこには二人がいた。

その二人のいるところを踏み潰そうとした時だ__


なんと一機のアーマードが200m級レヴナントの体を貫通し、体内から外へと出てきたのだ。

その機体は地面にゆっくりと降り立ち、その場で崩れるように倒れる。


夕焼けを背景とした200m級レヴナントは、コアから勢いよく黒い血しぶきを吹き出し動きを停止した。

200m級レヴナントがやられたせいなのか、その後レヴナントは湧いてこなかった。





__人類の歴史に語り継がれよう最大のレヴナントの侵略、西南部防衛作戦は人類の勝利で終わりを告げるのだった。

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