第弍拾陸話「抗戦」(後編)
「__狙撃部隊が突破、ホントバカバカしい」
早苗は一人呟く。
その直後レヴナントが向こうからやって来る。
現在の場所は市街地、ついにそこまで到達してしまっていた。
短機関銃MP67で動きを制限させながら接近していく。
「これでも食らいなッ」
ショットガンの銃口をレヴナントに突きつけ、引き金を引いた。
瞬間12ゲージの散弾が撃ち放たれ、レヴナントは蜂の巣のように風穴が空く。
返り血にまみれたショットガンで次々とレヴナントを倒していった。
「__こんなものか、大したことないな」
そうため息をついていると、いきなり地面が揺れる。
「......ッ!?」
揺れが発生した方面に顔を向けると、そこには50m級のレヴナントがいた。
すかさず味方に通信を入れる。
「こちら如月早苗、50m級を確認した。応戦を願いますッ」
しかし味方からの返事は一切なかった。
おそらく他のレヴナントと交戦しているのだろう。
早苗はショットガンのリロードを行った。
立ち向かおうとしたが何故か足が動かない。
「なんでッ、なんで動かないのッ!?」
自分だけ孤立した状況でいるというのが己に足枷をつける。
無理やりつま先に力を入れてなんとか一歩ずつ前に進んだ。
「私がッ、怯えてるなんてッッ!!!」
そう叫ぶとブースターが起動しだした。
そのまま50m級レヴナントへ真っ直ぐ突っ込む。
「はああああああああああッッッ!!!」
ショットガンGS12、10発装填の連射式の散弾銃。
レヴナントの胸部に向かって何度も何度も撃ち放つ。
だが鋼鉄のような胸部の外皮に弾かれる。
「くそッ、2m級と見た目はさほど変わらないのにッ!」
弾を全て撃ってしまい、早苗はその場で硬直してしまう。
そこを狙いレヴナントは、その巨体から思えないほどの速度で早苗の機体を強く横からはたいた。
「......がッッッ!」
機体が地面に叩きつけられ後方へと吹っ飛んでいく。
ショットガンを持っていた右手が直角に曲がってしまい、もう使い物にはならない。
機体の装甲の一部が剥げてしまい、肌が露出してしまう。
その肌には瓦礫の破片が突き刺さり血が流れ出ている。
叩きつけられた衝撃が強かったせいで、そんな痛みなどは麻痺して感じなかった。
『機体損傷率75%到達』
そう画面に赤い文字で映る。
機体の各所でエラーが起き、立ち上がるのでやっとだった。
「負けたく......ない......負けたく......ないッ」
MP67を左手で持ち標準を合わせようとする。
しかしその直後、画面が赤く染まる。
早苗は口から吐血していた。
「もう......無理かも......ごめん......みんな」
__ズダダダダダダダダダダダダダ
「......!?」
遠くからであるがなにやら銃声が聞こえてくる。
そしてその銃声は段々とこちらの方に近づいてきた。
その時通信が入る。
「聞こえる? まだブースターを起動できるなら後ろに下がってくれないか」
「その声.......優......先輩......!?」
言われた通りブーストをかけて一度後ろまで下がった。
レヴナントはこちらへと迫り来る。
「......優先輩、このままじゃ奴が市街地を突破しますよッ!?」
「いいんだ、アイツがあそこまで来れば......!」
そのあそこと指をさされた地点までレヴナントが踏みしめると、ピーーーという音がどこからともかく鳴り響く。
その直後激しい爆発がし、爆風が横を通り過ぎる。
巨体は脚部が融解し崩れ落ちた。
「__電磁式熱反応地雷、熱反応を検知すると、同時に中で溜まっていた電気が高熱を引き起こし爆発。うん、気持ちがいいね」
「......助けていただきありがとうございます」
「どうも、ま、お疲れ様。とりあえず早く戻ることだね。あとは任せて」
早苗はブーストをかけて拠点へと戻るのだった。




