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第弍拾陸話「抗戦」(中編)

「あ、あいつ、一人で行くつもりか!?」


「どうするか......あの速さじゃ目で追えないぞ」


「撤退の命令が出てるんだ、早く逃げ__」


パァァッッンッッッ


話し合っている最中、弾丸が乾いた音ともに発射される。

スコープを覗いていたのは透だった。


「......何やってるんですかッ! ここを守らないと僕達は負けますよ!?」


辺りは静かになる。

透はそんなことも気にせずに狙い撃った。

味方は互いの顔を見合わせ、コクンと頷きスナイパーライフルを取り出し展開させた。

そして皆のスコープにはレヴナントの姿が映る。



「はああああああああああッッッ!!!」


偏差を読んで進行しているレヴナントに、上からブーストをかけてソニックブレードを突き刺す。

コアのある部分に入り込み、レヴナントは少し痙攣したあと倒れ込んだ。

狙撃部隊のいる所まであと1kmを切ってしまった。

今宵は続けざまに他のレヴナントを狙う。

三体目のレヴナントに立ち向かった時のことだった。


『BoostError』


「......何ッ!?」


画面の中央に現れた文字、それはブースターの異常を指し示すものだった。

ブースターから光が消え、かわりに白い煙が出てくる。

その直後勢いをなくしたように今宵の機体は地面へと落下していく。


「くっ......こんなところで負けるわけには......!」


今宵が立ち上がろうとした時、目を開けるとそこには10m級レヴナントの足の裏が見えた。

今宵はその瞬間声を失った。

その時だ__


パァァッッンッッッ


今宵を踏み潰そうとしたレヴナントは真横に倒れ込む。

右半身から煙が立ち上がっていた。

様子を見るにスナイパーライフルでコアを撃ち抜かれていたようだった。


「何が......起きたのだ......!?」


方向的に狙撃部隊からの発砲ではなかった。

何か気配を感じ、上空を見上げるとそこには二機の機体が見えた。


「ほっ......良かった。うちが間に合ってなかったらまずかったわ」


「今のは高精度な狙撃でしたよ。千歳さん」


その二人というのは純と千歳だった。


「そこの機体は今宵さんでしょうか。純君、うちが彼女を救出するからあとの狙撃頼みます」


「了解」


千歳は今宵の元に降り立ち彼女を持ち上げた。


「......すまないな、ブースターがエラーを起こすなんて」


「まだ試作機段階ですからね、無理もありません。そういや噂によると新機体、つまり幻月の正統進化機体が来るそうですよ」


「......そうなのか、それは楽しみだな。だがこの状況では来れないかもな」


「フフ、それはどうですかね」


機体を持ち上げたあとゆっくり上空に上がっていった。

そのまま拠点へと運んでいく。



戦場はいっそう激しくなる。


「10m級に着弾ッ! 行動停止確認ッ!」


「こちら同じく着弾確認ッ!」


「いけるぞッ、まだ手を休めるなッッ!!!」


乾いた銃声が何度も鳴り響く。

10m級レヴナントの至るところに弾丸が突き刺さり、動きが鈍くなったところをコアに狙い撃つ。

やがて数は減っていき、部隊がいるところの手前で残りの一体が倒れる。


「......よし、10m級撃破完了ッ」


「皆、よくやった。あとは雑魚共を片付けるだけだ」


__その時オペレーターから通信が入る。


「B部隊が突破されました。C部隊はA部隊と合流してください」


皆は耳を疑ったが、直に分かった。

通常B部隊はC部隊の後方へと配置されている。

なぜそこが先に突破されるのか。

それはレヴナントが他のルートから進行していたからであった。


そう、つまりあの10m級レヴナントはただの囮だったのだ。

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