第弍拾伍話「西南部防衛戦線」(後編)
「駆ッ! 足を狙えッ! あの巨体なら行動不能にできるはずだ」
「はいッッ!!!」
駆はレヴナントの足目掛けてソニックブレードで突き刺そうとする。
だがキンッッと弾かれ体勢を崩してしまう。
「かっ、硬い......!?」
関節部分は基本的肉質が柔らかい。
しかしそれはあくまでも動物での話であってレヴナントは違った。
異常に発達した外骨格により頑丈になっていた。
駆はその後も斬り掛かるものの意味はなかった。
その様子を視認した空はチッと舌打ちし二つのソニックブレードりを構える。
そしてコアがある部分目掛けて勢いをつけてブーストした。
足を軸とし体ごと回転する。
「螺旋......大回転斬りッッ!!!」
レヴナントの胸部を何度も何度も斬りつけるが、ほんの僅かでしか傷痕はつかなかった。
「くっ、やるな......」
一旦駆と空は下がることにし攻略法を立てることにした。
「__関節部分も胸部も効かない......だとすると答えは一つだな」
「アレ......ですね」
「あぁ、もう......突っ込むしかねぇッッ!!!」
二人は息ぴったりだった。
目でコンタクトを取り、うんと頷いた。
二人なブースターを最大出力まで上げ、ソニックブレードを構え突っ込む。
そして剣が外皮まで到達するとそのまま突き刺さる。
計三本のソニックブレードが刃の半分まで入り込んだ。
「うおおおおおおおおッッ!!!」
「でやああああああああッッ!!!」
徐々に徐々にと入っていき最終的には刃が全て入った。
だがレヴナントは進むのをやめない。
その巨体で次々と兵器を踏み潰していく。
「くッ......このままじゃマズイッ、駆、アレをやるぞッッ!!!」
「はいッッ!!!」
二人はソニックブレードの持ち方を変える。
ブースターは最大出力のまま腕に力を入れた。
「「螺旋......」」
「「大回転斬りッッッ!!!!」」
ギギギ......ギギギ......とソニックブレードが動き出す。 そしてそのまま横になぎ払い黒い血と共に剣が外へと出る。
その次に体を回転させもう一度刃をレヴナントに当てる。
回転した遠心力で威力が更に増し、今度は前よりも体に刺さりやすかった。
レヴナントの傷口から黒い血が溢れ流れてくる。
だが動きはまだ止まらない。
「......駆、短い間だったがありがとな」
空が隣にいる駆にそう呟く。
「......どういうことなんですか、師匠」
「今に見てろ......これが師匠の最後だ」
空はブースターの出力を下げず、レヴナントにソニックを突きの構えで迫った。
そのまま突き刺さりゆっくりと体に刺し込んでいく。
「......ッ、そんなことをしたらッッ」
「黙って見ていろ......はあああああああああああッッッ!!!」
そしてレヴナントの肉が引き裂かれコアに直撃しそのまま貫いた。
同時に勢いよく黒い血が噴き出す。
「ぐッッ」
駆は手で目の部分を覆いかぶさり血しぶきを避けたが、手をよけた際にはそこには空の機体の姿はなかった。
かわりにブースターの推進剤が切れ墜落していく彼がいた。
駆からはゆっくりと堕ちていくように見えた。
ハッと気が付きブーストをかけて助けようとしたがもう遅かった。
機体はレヴナントの大群へと吸い込まれていった。
やがて機体を視認できなくなってしまう。
「ああああああああああああああああああ」
そんな叫び声も虚しいまま。
何も出来なかった。
駆はただ1人宙に浮いたままだった。
戦いは残酷にもまだ始まったばかりだった。




