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9、激突!? 異災レース!

シーナ「『前回のあらすじ』です」



シーナ「前回、ボクが『悪魔の肉片』に関わるとして疑わしい会社を調査しました。そこでストーカー犯が現れましたけど、何とか無事終着しました」


トーン「そうだな。全くだぜ。探偵である僕を呼ばないなんて」


シーナ「誰ですか?」


トーン「二、三話後に登場 (予定) の名 (嘘) 探偵のトーンだぜ。以後お見知り置きを! さて、今回の話は異災警察の輩がレースをするらしいぞ。さあ、始まるぜ」



~9、激突!? 異災レース~

 滅多に買えることができないお菓子が後四つ。それを狙うは六人の男女。誰が手に入れるか。それは鍛練の意味を込めてレースで決めることになった。

 瞼に焼き付く艶やかさ。食べる姿を想像すれば唾液が止まらなくなる。

 絶対に手に入れたい。

 食欲が足にエンジンをかけていく。


 レースは東京にある異災警察本部から埼玉県のとある場所まで競走する。能力は使用可。信号もあるし人が通りにくい道を選んではいるもののいない訳ではない。そのような障害物で立ち止まることもある。

 不正競走防止に触れそうだがそこは警察の訓練であるので問題ない。

 審判は戦いから降りたカヤとシーナ。

 シーナがスタートの合図を送り、カヤがゴールで待つ。


 シーナは音を鳴らすピストルを空に向けた。

 右足を前に出すヒデ。

 リコーダーを取り出したミドリ。

 能力は使えないため特別に自転車で出場するルサ。

 強欲にももう一つ手に入れようとレースに参加する黒羽。

 余裕ぶるオパル。

 低重心になるダイ。


 スタートの銃は切って落とされた。



*



 へその緒が次元の穴へと変わりその中から魔の手が現れる。人間よりも一回り大きい腕。皮膚は異物な存在。黒っぽい土色の手が信号機の支柱を掴んだ。

 長く伸びる腕。その腕が次元の穴へと戻ろうとする。手は強く握って動かない。代わりに、次元の穴を開いているダイが手の方へと吸い込まれていくように進む。

 完全に戻す訳ではない。近づいたら手を離し次に掴める場所を掴む。

 掴んではそこに近づいて、そして離す。この繰り返しで空中を進んでいく。

 ビルの窓が太陽の日差しを跳ね返しながらダイの姿を映していた。


 その横に黒羽が登場した。

 空中に召喚した氷の結晶を踏んで空を跳んでいく。


「お先に失礼しよう」

 黒羽はダイを追い抜いて跳んでいこうとする。

 ダイはビルの屋上に魔の手をかけてターザンのように進む。負けじとスピードをあげていた。

「負ける気はないぞ」

 黒羽とダイは互いに目配せしながら速く速く進んでいく。

 そこにオパルが追いついた。

 ビルの側面や地面から(つる)を出してその蔓で自身の体を弾いたりバネにしたりして空中を跳ぶ。オパルは胡座(あぐら)をかけながら空中を速く漂っていた。

「俺のことも忘れないでよね~」

 ダイと黒羽、オパルが横並びになる。

「一位争奪戦は俺ら五期による勝負になりそうだよね。前にもあったよね、こういうレース」


 前にもレースをしたことがある。

 五期生達のレース。

 蔓で弾いて進むオパル。氷を蹴って進む黒羽。魔の手で掴んで進むダイ。そして、進む方向と真逆に向かって衝撃波を放ち空中を進む()()()()

 ゴール付近。

 イエローが最後に追いかけて一位に。オパルが二位を取り、続いてダイ、黒羽がゴールした。黒色の肌が輝かしく見えた。


「ああ、懐かしいな……」

 ダイはそう言った後、言葉を詰まらせた。

 思い出の記憶がかき消されていく。捻れた色を背景にアワルが現れる。脳裏の奥にこびりつく彼の不気味な笑み。

「あの事件さえ起きなければ」

 その言葉が思わず出てくる。

 それが悲しい思い出を呼び覚ますトリガーだった。

 オパルはムードの低下を抑えようとダイの嘆きを制止した。

「今は昔を懐かしむことも、アワルを憎むことも場違いだと思わない? 今は全力で決着つけようよ」

 その言葉が負の思考を切り替え勝負に集中させる。

「まっ、一位になるのは前回の結果から繰り上げで一位な俺だけどね」

 そう言ってオパルは先を急いだ。

 負けじとダイも黒羽も飛ばしていく。

「そう言ってられるのは今の内な!」

 激しい空中レースが始まっていた────



*



 ヒデは走る。ひたすら走る。

 背後に向かって放たれる砂埃が炎の煙と化している。焼かれた跡を地面につけながら猛スピードで走っていく。

 ミドリはニーちゃんを召喚した。ニーちゃんの腕がローラーブーツへと変化し、彼女の靴に装着される。ローラースケートを走らせて進む。

 靴の(くるぶし)についている発射口。そこから放たれる突風がスピードを増している。

 ヒデとミドリが互角の勝負を繰り広げる。

 炎と風が地面を(なび)かせる。

 二人の間を通る自転車。艶やかなボディ。スピードを出すために計算尽くされたボディ。電気自転車に乗るルサは二人を追い越した。

 電気の力と自転車のスピード、そこでさらに踏み込んでスピードを出す。

 ルサの姿はすぐに見えなくなった。



 ヒデはスピードを落とさずに走っていく。まだまだスタミナは残っている。

 ある程度進むとサイレン音が聞こえてきた。

 前方には人が戯れている。

 大木が倒れて道を塞いでいるのだ。

 事件か……。レース中だけど事件解決のために寄ることにした。後ろからミドリも同じくついてくる。

 例の大木の麓には……

「何でルサがいんのっ?」

 ルサが警官と話している。近くにある自転車の先端は少し歪んでいた。

「あっ、ヒデ……とミドリまで。実はさ、木にぶつかっちゃって、倒れちゃった。てへっ☆」

 てへっ、じゃないだろ。


 ってか、どうすりゃこんな状況になるんだ?

 自転車でぶつかっても普通は折れないよ。木!


「ったく、何やってるんだよ」

 ヒデは炎の日本刀で大木を木っ端微塵(こっぱみじん)にする。そこにミドリの出す風で廃材を一つにまとめた。

 ルサは「異災警察の方に請求しておいて下さい。後はお願いします。失礼します」と言って自転車に乗り直しレースに戻った。

 負けてはいられない。

 立ち会わせた二人もレースに戻っていった。



*



 ゴールではカヤが立っていた。

 近くのポールに紐を結びゴール紐を作っている。

 そこに向かって進む三つの影。

「「優勝は 俺/俺/黒羽 だっ!」」

 残り数メートル。最後の力を振り絞って進む。

 二つの蔓を重ねて強いバネにして自身を吹き飛ばす。後は真っ直ぐ紐を突き抜けるだけ。

 結晶を次々と繰り出して連続で踏み跳んでいく。さらに速く動いていく。

 魔の手を足に絡ませた。足に負荷がかかりすぎるため何日かに一回しか使うことのできない技。代わりに、人間離れしたスピードで一直線に進む。

 穏やかな風に衝突することで轟音が鳴り響く。

 紐を最初に切ったのは……


 目に見えない速さで進むダイだった。

 足を地面につける。スピードを止めるために強く地面に差し込む。強い砂煙が前方に吹き飛んだ。

 続いてオパルが線を越す。

 その後に黒羽が越していった。

 ダイ、オパル、黒羽がお菓子を得ることになった。残るは後一人。


 三人がゴールしてから一時間ぐらいが経った。

 ヒデが炎の砂煙を上げながら進み、ミドリが豪風を吹きながら進む。どちらが先に線を越すのか……


 すぐ後から猛スピードで進む自転車。

 そのスピードが二人を追い越し線を越す。最後の一人はギリギリの所でルサだった。

 勢い余った自転車はそのまま木に衝突し粉砕する。木の藻屑(もくず)が風に吹かれて飛んでいった。


「木が粉々に砕けるなんて……あるっ!?」


 脱力していく体。疲れた体から一気に活力が失われていく。

 ヒデは先にゴールしたルサを見た。

 ルサの近くに立っている自転車。色の落ちたボディ。曲がりくねったボディ。自転車は原型を留めていなかった。


 それでどうやって漕いだの────?

 その自転車で漕いでくることが不可能に近いと感じられた。そもそも……


「どうしたらそんな(ふう)になんの!?」


 自転車がそのような形になること自体が不自然であった。

 ただ、それを吹き飛ばす程の賑やかさがヒデの言葉を紡がせた。



*



 コラールは紙を見ながら絶句していた。

「今回は全員の意向で行った訓練だから目を瞑るが、何なんだこの請求書は!」

 異災警察に渡ってきた請求書。

 その額は相当なものだった。そしてそれは、全てルサ一人で増やしていったものでもあった。

 ヤバイ、と緊張感に押し殺されながらルサは黙々と下を向いていた。絶対に目線を合わせられない……

「次やったら、全員それなりの責任をとって貰うからな。相当の罰があることは覚えておけよ」

 緊張感が襲っていた。



 無言の部屋内で声が響いた。

「黒羽はただ(いくさ)に参戦したかったまでだ。その菓子は遠慮しておこう」


 黒羽は単純にレースに参加したかっただけで、景品のお菓子が欲しい訳ではなかった。

 残ったお菓子は誰のものになるか。

 ルサの次に線を越したのはミドリだった。ヒデは最後の最後で最下位になっていたのだ。

 ミドリは繰り上げしてお菓子を手に入れた。


 ヒデはお菓子を食べている皆を横目に(よだれ)を飲み込んだ。

 ルサはお菓子を何等分かに分ける。一気に食べずに少しずつ食べていくようだ。そして、最後の一つになると食べるのをやめて物思いに(ふけ)っていった。

 襲う食欲と魔の囁き。

 思わず欲に負けて手が分けられたお菓子に向かう。

 最後の一つを掴んで口の中に頬張る。罪悪感と満腹感が同時に広がっていって。

 ついでに言い訳を放った。

 唖然と口を広げるルサな向かって言う。


「いやぁ、最後の一ついらないから残してたんだろ? 俺がありがたく貰っておいたぜ!」


 怒りの鉄拳を握る。

 目の前で小さなドヤ顔を決めるヒデに向かって鉄拳を振るった。

 ルサの攻撃がヒデをボコボコにしていったのであった。


 賑やかな日常が今日もまた続いている────

キャラ紹介

《ニンフ》


(愛称):ニーちゃん

身長:30cm

性別:メス

特徴:丸っこい体で風の集合体。二本の腕が浮いている。話し方は関西風。

戦闘:腕を変形させて様々な風の攻撃を繰り広げる。また、サポートにも活用できる。

秘話:シル君&ニーちゃんの前、ミドリの召喚して操るのは"クローバー"だった。体力のクローバーを地面や壁に生やしてリコーダーで増殖と動きを操る。しかし、マスコットキャラを作りたくてこのようになった。


次は13:00

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