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33、炎と風の幕間

ミドリ「せっかく韓国に行ったのに、国内の問題に巻き込まれて楽しめなかったァぁぁ」ガクシ


マリン「あら、そうですの? わたくしは買い物を楽しみましたけど」


 購入された服。購入したデザートを食べている写真。観光地で撮った写真。


ミドリ「いつの間に……ちゃっかりと、観光を楽しんでるなんて」


マリン「楽しかったですわね、韓国旅行」


ミドリ「…………」


~33、炎と風の幕間~

 画面に触れる。

 その上でコマーシャルが流れる。三十秒程度流れるようだ。十秒流れた所でスキップボタンが現れる。そのボタンを押して見たい映像を流していく。

 画面の向こう側で優しい笑顔を見せる一人の男。

『るんるんるるんっ。どうもぉ。あわるんるん★チャンネル! ですっ!』

 家の窓から眺める外の景色は雨で見るに堪えない。一方、向こう側は日差しが強く運動日和だ。

 野球スタンドの上に立っているアワル。

『今日はっ。異災能力の風の力を真似した超速ぇボールを打ってみたいと思います!』

 ピッチャースタンドに置かれた装置。その装置について説明されていく。その装置からボールが放たれるという。

 試しにピンポン球を入れて放っていた。

 その球が準備されたコンクリートに当たる。その瞬間をスローモーションで確認すると……

 跳ね返った球は波打ち、紙のようにペラペラに見える。

 それを見るだけで危険なものであると分かった。

『じゃあ、そのボールを打ってみたいと思いまぁす! まあ最初をそのまま打ってみます』

 マウンドに立ってバットを持つ。

 集中してバットを振ろうと構えるが、目に見えない速さで進んだ球はアワルをビビらせた。

 バットを捨て去り、オーバーリアクションで驚く。

 その姿を見ているだけで、こっちも笑顔になっていた。

『やっべ。恐ぇ。死ぬかと思った……』

 カメラに近づいてふざけ笑いを浮かべている。

『次はアワルも異災能力に見立てた力を使って打ちたいと思いまァす。その能力はその時のお楽しみ』

 再びマウンドに立ってバットを構える。

 放たれる剛速球。目には見えないボール。音だけがその恐ろしさを伝えていた。

 画面越しから見ても、その姿は見えない。残像すら見えなかった。

 急に現れる球。いつの間にかアワルのすぐ横にふわふわと浮いていた。

 そのボールを見て思わず唾を口から吐いてしまった。もし牛乳なんて飲んでいた途中ならば、その液体を吹いていたところだ。

『そうです。こちら側の能力はボールを止める力です。ボールの中にですねぇ、磁石を入れて地面にも磁石を入れてるんですよ。その磁石もただの磁石ではなく……』

 磁石の説明が始まる。ただの磁石ではない。それはボールを止める程の磁力があることと浮いていることを見れば分かる。

 説明が終わり、彼はバットを振り始めた。

 そのバットが漂う球を確実に捉えていた。

 ボールに当たるバット。

 バットはアワルの手から離れた後ろへと飛んでいく。その勢いに身を委ねてしまった彼は思わず転げ落ちてしまった。

 一人静かに見ているスマホ。外の雨音にも負けないぐらい大きな声を出して爆笑していた。

「ははは、そりゃそうじゃん。最強の球を止める磁力に勝てる訳ないじゃんっ」

 興奮が覚めない内にそれは終わりを告げた。

 一万回再生の視聴率に一つ点数を加えた。

 ユーチューブを閉じて、さっきの笑いを頭の中で繰り返していた。


 あわるんるん★チャンネル!

 最近目につくようになった人気上昇中のユーチューブチャンネル。

 その多くは異災能力の使えないアワル(達)が道具を使って異災能力を模倣する。

 あたしは思った。彼は非能力者の希望だと。



*



 紗里(さり)はパソコンに向かっていた。

「チャンネル登録数がまた増えてるよ」

「そうか」

 それを聞いてニヤける。

 全てが順風満帆(じゅんぷうまんぱん)に進む。

 最終的な目標を達成するために、踏み込んだ作戦があった。

「そういやさ」

「何?」

「目標は異災能力の使えない非能力者達が能力者の上に立つ社会を作ることだろ」

「そうね。そのために悪魔の肉片を流通させて資金を貯めたり、馬鹿なカップルを別れさせて駒も手に入れた」

「ああ。次は……」

 ソファに腰を下ろし、体を倒す。真っ暗闇の中で天井を見上げている。

「仲間に()()()を加えようと思う」

 その言葉に驚きを隠せない。

 今まで非能力者のために動いてきた。全ては能力者優遇のこの世界に対抗するため。

 だが、敵対するはずの能力者が仲間に入ると言ったのだ。

「どうしてっ?」

「その話をする前に、一つ世間話をしよう」



 それは悪魔について、だった。


 ある日、大災害が襲った。その災害を七つに分けて封印することにした。封印される七つの災害はとてつもないエネルギーを秘めていた。だが、封印には誰かエネルギーを注ぐための器が必要だった。

 そのために被検体となった七つの存在。

 機械。二匹の動物。植物。化学生物。天使。人間。それぞれにエネルギーが注がれて、封印された。

 封印するためのそれぞれの装置。中央に構える大きな装置と、大きな装置を支えるいくつかの小さな装置。大きな装置は天使で管理し、小さな装置は国に任せている。日本では、小さな装置を企業などに委託している。


 それは雨が降り頻る日。

 天使アスタロトと封印されていたバベルが行方不明となった。その封印が解かれた理由の解明が急がれる。

 そして、小さな装置から作られてきた悪魔の肉片。作製中の際に、支障をきたしたのであると解明された。小さな装置から流れるように大きな装置にも支障をきたしたのだと考えられたのだ。小さな装置から大きな装置に連鎖する。

 その日から悪魔の肉片を作ることが世界的に禁止されるようになった。


 続いて、中国で天使イフディエルが殺された。さらに、封印されていたルシファーが解き放たれた。

 ルシファーによる大虐殺。

 巨大な蛇が人々を蹴散らし、毒が巡りめく。

 その惨劇(さんげき)をもってして、封印されたものは悪魔と呼ばれるようになった。

 ルシファーは封印される前、聖人と呼ばれる程の存在だったため、何故この行為に出たのか疑問が残る。

 その疑問を解決するべく、人々はこう答えを出した。

 "封じられし脳と強力すぎるエネルギーが彼らを悪にする"、と。


 その時から悪魔は人々から()み嫌われる存在となったのであった。



「それがどうしたの……?」

「この話は少し間違っている」

「どういうこと?」

 アワルは手を組んでいた。

 唇は少し緩み、悪巧みの笑みを浮かべていた。



*



 少し暖かい。

 木の葉が舞う。緑色の葉が白い羽に絡まっていた。


 その葉を連れながら大きな建物に入った。

 真っ白な中、話を進めるが……

「それで。ウリエルにどうしろと」

「だから、速く悪魔の肉片を増産している人々を捜して止めないと」

「さっきから言ってるけど、勝手にやればいいじゃん」

 話は進まない。もどかしい気持ちが心を焦らせる。

 緑色の葉っぱが床に落ちた。

 決裂し、解散となった。その建物を後にする。

「ほんとに。何なの……」

 太陽はまだ登り始めている。

 話し合いは本題に入る前、導入の部分で終わったためこんなにも速く終わってしまった。

 ホテルに泊まるには速すぎる。

 仕方なく観光でもすることにした。


 観光途中で知り合いが声をかける。

「まさか、お前も来てたんだな」

「あら、ガブリエルじゃない?」

「天使はよく目立つからな。観光地にいれば目立ちまくる。お陰ですぐに情報を得ることができた」

 彼は話しながら観光地内を横切っていく。

 食べ歩きしながら観光を楽しんだ。

 「そろそろ」と彼は言う。本題に入りたいようだ。

 ここで話すのは目立ちすぎる。内容も丸聞こえだ。そのため別の場所に移動することにした。

 羽を広げて羽ばたかせる。

 メタトロンとガブリエルは自然豊かな閑寂(かんじゃく)の中へと降り立った。


「話って何かしら」

 木漏れ日を受ける。

 木の椅子に座りながら、紅茶を啜る。木の机を挟んで彼は話し始めた。

「それなんだけど。悪魔について知って欲しいことがあるんだ」

「悪魔について?」

「そう。一般的に知られてる悪魔について。途中から真実とは違っているんだ」


 封印された七つの悪魔。

 その中でバベルが消えた。また、その砦となっていた天使アスタロトも消えた。

 まずバベルは殺された。アスタロトによって……

 悪魔が殺されるとどうなるか。

 答えは元々の悪魔が持っていたエネルギーが外に出される。長く放置すると封印していたはずの災害が起きる可能性がある。その一方で、誰かがそのエネルギーを吸収した場合、被検体がその吸収した人物に移る。


「待って、どういうこと?」

「つまり、バベルの代わりにアスタロトが悪魔となったってことだ」


 アスタロトは悪魔の力を手に入れた。

 彼女は身を隠し、企みを実行しようとしていた。

 それは"ルシファー"の封印を解くこと。


 封印を守る砦である天使イフディエルを殺害し、ルシファーの封印を解いた。さらに、能力を使って中国を滅ぼした。


「……。信じられない、と思ったけど辻褄(つじつま)は合うわね。彼は【毒】の能力ではなく【地】の能力。最初(はな)から彼ではないことは分かってたけど、まさか彼女の方だったとは。あ、大蛇が国を滅ぼしたっていうのも彼女が犯人なら頷けるわね」

「ほんとに気づいてなかったことに驚いたわ。話には聞いてたけどここまで鈍感だったとは……な」

「何よ。嫌み?」

「違う違う」

「あ、もしかして滅ぼされた国や地域って確か」

「その確か。ルシファーの封印を推薦した天使達の縄張り」


 はまらなかったピースが埋まっていく。

 悪魔の肉片なんて関係なかった。

 小さな装置から大きな装置に連鎖する。それを深く考えると、意味が分からなくなる。一般論の方が間違っていたのだから、当たり前だった。


「はぁ、悪魔の肉片を防ぐ必要はなかったのね。だからウリエルさんはあしらうように取り持ってくれなかったのも……」

「いや、あるだろ。悪魔の復活に関係なくても、獄魚の件もあるだろ」

「あ……」


 話している途中で二人に近づく足音。

 天使型の影が写る。しかし、その人物は天使ではなかった。


「久しぶりだね。メタトロンさん────」


 話を止める。

 影の方向を見ると、そこには……


 ルシファーがいた。

物語紹介


── ラウンディーズ ROUNDies ──


物語:悪魔の復活。その予言を聞いた棘の魔法を使える主人公は仲間を集めて悪魔の復活を食い止めることを決意し、旅に出るストーリー。

設定:全5章+1章。

1章-主人公ライチと旅で出会った女の子は奴隷と変わらない待遇を受けている村人達に出会う。村人達を助けるために奴隷みたいに扱う会社に喧嘩をしかけて……

2章-突如現れた謎の男。必ず占いで主人公達の仲間である女の子は彼の敵となると出たため、彼は女の子を誘拐。主人公は彼を追いかけて……

3章-突然通った学校で少しの間学校生活を送ることになった主人公。だが、クラスメイトに悩みを抱えている女の子がいて……

4章-主人公のライバル兼仲間である一人の故郷。しかし、その故郷は廃れていて。その故郷で巨悪とされる刀と銃を操る男。その男に仲間がついていって……。主人公の雷の棘と彼の炎の手刀が今にもぶつかりそうだ

5章-新たに仲間になった女性。その故郷は凶悪な魚に襲われていて

使用:物語のほとんどを使用。

1章-虎眼編

4章-韓国編

人物:ヒデ、マリン、ガーズ、ウリエル、獄魚など

秘話:とりあえず何かの歌を聞いて、感銘を受けて思いついたのをまとめて作った。ルナ(の作品)の中ではクオリティは低いかも

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