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25、サイキック

マリン「『前回のあらすじ』ですわ」



ヒデ「前回は正直すぐに進めるとこ終わっちゃったから、ついでに恋愛要素を進めたって感じだよね」


マリン「そう言えば、あの後ルサさんはどうなったんですの?」


ヒデ「ん? ああ、あの後、家まで送ったぜ。普通に家で寝たんじゃないか?」


マリン「ヒデはその後は?」


ヒデ「そのまま帰ったけど」


マリン「泊まらかなかったのですか?」


ヒデ「そりゃあそうでしょ」


マリン「えっ?」


ヒデ「えっ?」



~25、メリーゴーランドとサイキック~

 楽しげな声が響く。暖色系の色が(にじ)んでいた。

 その中で二人の男女が怪しい男達と話していた。

「嘘言葉だったのですか。なので、怒りのままに……죽이──」

 優しい色のキャンパスに流れ落ちていく真っ赤な絵の具。悲鳴とともに寒色系の色が滲み始めていた。



 異災警察の中に響くアナウンス。遊園地で殺人犯が現れたようだ。

 身を空けていたヒデとマリンがそこに行くことになった。

 パトカーを通り過ぎていく。

「おい、パトカーはここだぞ。どこ行くんだよ」

「白バイで行く」

「はぁ?」

 バイクのエンジンをかけていく。

「そもそも、俺、免許持ってねぇから乗れねぇし」

「安心しろ、後ろに乗れ」

 親指を立てて背中を指さす。少しずつ口調やトーンが変わっていた。

「いや、一人乗りだろ? それ」

「もちろん、特注品の二人乗りだ。コラール氏に無理言って発注して貰った」

 空いた口が塞がらない。

 マリンが急かす。そこでようやく我に返った。

「お、おう……」

 サポーターやヘルメットを被って後部座席に乗る。

「飛ばすぜ! ちゃんと支えておきな」

「えっ?」

 思いっきりバイクを走らせていった。マリンの体を強く抱きしめて風に負けないように耐える。スピードがとても速い。

 バイクを走らせて行く途中で進路が変わる。その方向には堤防が(そび)えている。このまま進むとぶつかって……死ぬ!

「兄貴。ちゃんと掴まっときな」

「ちょっ、何すんのっ? ぶつかるっ」

 ハンドルから手を離して両手を広げている。

 バイクの進路は真っ直ぐ。目の前には(ねずみ)色の壁が広がっている。

 衝突する。

 目を瞑って何事も起きないことを願った。

 バイクが上向きに飛ぶ。氷の坂を登って塀の上へと進路変更したのだ。

 すぐに体を倒して横に曲がる。

 急カーブ。肘が塀の上に当たるぐらいまで倒していた。

 堤防の上を走るバイク。

 この状況に恐怖心が勝っていく。多分、目的地についても一定時間は動けなそうだ。

 長い距離堤防の上を走る。

 遠くには目的地の遊園地が見える。埋立地に造られたテーマパーク。車の混雑が凄まじい。

「兄貴、もう少し辛抱だぜ。今からハイドロプレーニング現象で進んでいくから、強く掴んどきな」

「えっ、何。ハイドロプ……何とか現象?」

「そうっすぜ。ハイドロプレーニング現象っすよ。旦那ァ」

 ハイドロプレーニング現象とは高速回転するタイヤが張った水の上を走るという現象である。地面との摩擦によって車は止まる。これがブレーキの原理だ。しかし、水の上を走るこの現象では摩擦が全く起こらないのである。水の上でタイヤが止まっても車の勢いで水の上を走る。一定距離進むと地面に落ちて摩擦が働き止まるが、それまでは止まれない。つまり、急ブレーキをかけても止まれずに目の前の車と事故を起こすかもしれない現象である。

 マリンはこの現象を水の上を走る現象として捉えている。

 スピードメーターは大きく振れる。

 バイクは海に向かって落ちていった。

 バイクが海の上を走っていく。

 横に広がる橋には車が絶え間なく走っていく。目前に聳える建物向かって進む。

 空の日差しが真下の海を輝かしく映している。

 煌びやかな景色だが、ヒデには楽しむ余裕なんて全くもってなかった。

 いつの間にかすぐ目の前に目的地。氷を使った最後の大ジャンプでゴールを締めくくり、バイクは止まった。

「さあ、着きやしたぜ。旦那」

「お、おう」

 ヒデがバイクから降りる。その足は覚束無い。

 ダイ以上ルサ以下の運転。ヒデには少し荷が重すぎた。

「すまん。先行っててくれ。俺、もう駄目かも」

 ヒデはその場で倒れてしまった。

「ヒ、ヒデ。ヒデ! クッ。ヒデを瀕死にさせたのはどこのどいつだ。絶対に許さない。仲間の仇はとってきてやるからな。待ってろよ、遊園地の犯人!」

(俺をこんな状態にしたのはあんただよ……)

 マリンは倒れて動けないヒデを置いて遊園地の中へと進んでいった。



*



 指先からひんやりとした冷気を感じる。単調な物の流れ、サラッとした表面。これはタイルだ。

 体を持ち上げた。

 遅れをとっている。急ぎ足で遊園地の中へと入っていった。


 駐車場の騒々しさとは打って変わって遊園地内には人の気配がなく物静かだった。

 司令部が都合が悪かったため来ていない。そのせいで、サポートや人々の誘導には手を出せない。軽く目を瞑って小さく感じる人の気配を辿っていった。

 バイキングを見定める。その船は波にも揺られず、海が凍ってしまったかと思うほど全く動かない。一方、反対側にあるメリーゴーランドは何故か起動していて今も馬が駆けていく。

 その場には二人の男女が立っていた。

 女は小刀を持って倒れてる人々を刺していく。薄紫色の服や黄色の髪に赤色に染まっている。

 タキシード姿の男がヒデに気付く。彼は何故か目だけを隠すマスクをかけている。

「Ladies アンド Gentleman。わたくしの名前は、サイキッカー・サンス。エスパーの本領を見せて、あなたを진출 지옥」

 所々、発音が良くなっていてムカつく。

 女がヒデを見定める。目は獲物を見つけた肉食動物のようだった。体から稲妻が吹き出している。手の小刀に稲妻がまとわりついていく。

 体の重心を落としていつでも攻撃できるフォームを取る。

「待ちなさい。騎士がそこを通るわ」

 突然聞こえるマリンの声。その声を探して周りをキョロキョロと見渡した。

 メリーゴーランド。上下に動き、円を描いて進む馬の上にマリンが乗馬している。

「えっ、何でそれに乗ってんの?」

「騎士は馬に乗って戦うのが当然のこと。これもまさしく当然でしょう」

 氷で作った(よろい)に剣。馬に乗って駆ける姿はまさに……騎士 (?) のようだ。

「覚悟なさい。犯人。騎士であるこのマリン・アクアが成敗するわ」

 半回転してヒデの死角へと入った。マリンの姿が見えなくなる。

 それを見たサンスは仮面に手を触れて特殊なカッコつけをしていた。

「くっ、くっ、くっ、サイキッ、くっ。まさか馬に乗って現れるとはな」

 不思議な笑い方だった。

 そして、迫真の表情で言い放つ。

「ずるいぞ。馬に乗ってるなんて不公平(アンフェア)でないか」

(何言ってるんだ? こいつ)

 彼は急いでメリーゴーランドの中に入って馬に乗った。

 その場所はマリンなど見えない対角線上の位置に座った。

「ならば、わたくしも乗るまで。馬を得たサイキッカーの力をとことん味わうが良い」

 馬は半回転し、マリンが目に入る。

「ヒデ。もう一人の犯人はどうしたの?」

「ああ、あいつも何か馬に乗ってったぞ」

何卒(なにとぞ)。追いかけるわよ、我が愛馬ハクバ。このまま馬に乗った犯人を追いかけるわよ」

 半回転。サンスのターン。

「くっ、奴の姿が見えない。まさか、速い馬にでも乗っているのか。負けてはいられないスピードを上げるぞ、マイ Horse ハクバ」

「いや、被ってるんだけど馬の名前……」

 半回転。マリンのターン。

「やるわね。全然追いつけないじゃない」

「そりゃあ、同じスピードで回転してるだけだし。対角線にいるから絶対に追いつけないからね」

「いいえ、きっと追いつくわ。いや、追いついてみせる」

「どう考えても追いつきやしないよ」

 半回転。サンスのターン。

「まだ、追いつけない……」

 思わず口からこぼれ落ち、

「馬鹿なの? 二人とも。馬鹿なの?」と響く。

 その言葉を聞いた女が怒りを顕にした。

 雷迎が轟く。

「あんた。ボスのことを馬鹿と言ったね……。ボスを馬鹿呼ばわりするなんて、許さない」

 小刀を振り回す。雷を纏う小刀と炎の手刀がぶつかりあう。

「あの人は馬鹿じゃない。単に阿呆(あほ)なだけ」

「いや、アホが良くてバカが悪い理由が分からない。もう二人とも馬鹿でよくないか」

「よくない!」

 小刀が空を切る。ヒデは当たらない位置まで背後へと遠ざかっていた。

「あたしと渡り合うなんてやるわね。あたしは永遠の「NO.2」イ トゥル。血を見るのって楽しいよね? 分からない。あの命を見ている感じ、癖にならない?」

「分からねぇな。とりあえずさ、後の話はさ、署で話そうぜ」

 雷と炎が衝突した。

 閑散とした遊園地の中に炎と雷、そして車のエンジン音だけが響いていた。

 雷の音が鳴り響く。

 小刀が振り回される。彼女は「楽しー」と連呼しながら振り回す。

 体を反って、攻撃を避ける。当たる攻撃は手のひらで防ぐ。

 そして、バク転して距離を置いた。敵の攻撃を見定める。

 ヒデはトゥルを見定めていたが、ふとその奥側に存在する物質に目を丸くした。

「はぁ。楽しい、楽しい、楽しい。だけど終わりにしましょう。あたしの雷で葬ってあげる」

 小刀に強い雷が纏っていく。先程とは比にならない。

「終わりにしましょう」

 そう言った途端、彼女は特殊な車に吹き飛ばされた。

 マリンとサンスがそれぞれゴーカートに乗って走らせている。二つのボディが衝突し合いながら進む。

 トゥルは二つのゴーカートによって吹き飛ばされた。このままではヒデすら吹き飛ばされてしまう。仕方なく()かれないように走っていく。

 逃げるヒデ。それを追う二つのカート。

「いや、ちょっと。こっちこないで」

 噴煙を撒き散らして走る。

 サンスは煙を避けるためにハンドルを回した。そのせいで、真っ直ぐ突撃したマリンに遅れをとってしまった。

 マリンの後ろを追従するサンス。カートを走らせる。

「残念ですわね。こちらには秘密兵器を持ってますの」

 両手を離す。水で模型を作りそれを凍らせる。

 作られたのは……バナナだった。そのバナナを後ろに置いた。

回転(スピン)しなさい」

「一つのバナナで回転(スピン)するのはゲームの中だけだからな」

 カートがバナナを踏みつける。そして、綺麗に何回転かした。

「嘘でしょっ!?」

 さらに、遅れを取る。

 ヒデが先に走り、それを追従するマリン。さらに追従するサンス。

「マリン、待て。俺は味方だ! 轢かないでくれェ!」

 近くでは池が静かに携わっている。その上でスワンボードが静かに漂う。

 マリンがまた何かを作り出す。

 その間にサンスがマリンを追い抜いた。

(いや、これ追い抜く追い抜かれるとかの問題じゃなくないか。何やってんだ、この馬鹿二人)

 ヒデはこの間に横に跳んで轢かれるのを回避した。二人のカートレースが続く。

「見てなさい。これを」

 手には氷の甲羅(こうら)。その甲羅を真っ直ぐ飛ばしていく。

 サンスは急に方向転換して進む甲羅を回避した。

 しかし、その先には池が聳える。

「残念、落ちなさい」

 カートが後ろから衝突する。サンスの乗るカートが池の中に落ちていった。

 溺れるサンス。そのまま池の中へと沈んでいった。

 騒がしかった遊園地も静かになった。



 サンスは池の中にある排水溝から海へと泳ぎ逃げ切った。人間離れした能力でも使ったのだろう。してやられた。

 トゥルに手錠をかけて連行する。

 入口付近で一人の老人が声をかけてきた。彼は少し傷を帯びている。

「너, 혹시손준(ソンジュン)모양이 아닙니까」(※もしや、おぬしはソンジュン様ではないですか)

 岡田秀。しかし、それ以外にも名前がある。カンジョン ソンジュン。それがもう一つの名だ。

 そして、それを知るのはひと握りの人々のみ。それもとある会社の重役の可能性が高い。

 ただ、見ても思い出せない。

「나중에 천천히 말하지 않겠습니까」(※後々、ゆっくりと話をしませんか)

「알았어」(※分かった)

 ヒデは彼に異災警察の場所を教えて後でくるように伝えた。

 そして、仕事に戻った。


「今思ったんだけど、どうやって犯人を連れてくの? これ二人乗りだよ」

「安心なさい。能力を忘れたの?」

 水の力で側車を造形した。バイクの横につく側車。そこに犯人を巻き付けて拘束した。

「よしっ、ヒデは行きと同じで」

「う、嘘……だろ。俺もそっちに座りたい」

我儘(わがまま)は許されまへんなぁ」

 また地獄の運転が始まる。

 異災警察本部に着く頃にはヒデもトゥルもぐったりとしていたのであった。



*



 韓火(ハンファ)グループ。故郷でずっと存在している財閥グループの一つ。ヒデはそこの人間であった。叔父(おじ)はそのトップで、現在はその国の大統領だ。従兄弟(いとこ)がその後を継ぐことになっており、ヒデは自由の身であったため日本で暮らしている。

 そのハンファの役員の一人がこの日本に来ていた。

 そして、伝えられた韓国、それと叔父の状況を聞かされて覚悟を決める羽目になった。


 韓国に行く。

 そのための休暇を出した。


 コラールが異災警察のみんなを呼び集めた。

明明後日(しあさって)からヒデが里帰りするのだが、今の韓国でいい噂は聞かない。もしかしたら危険な紛争に巻き込まれるかもしれない」

 ヒデは休みが認められない、という不安を感じ始めた。

 ただ、その不安はすぐに払拭された。

「だからだ。ミドリ、アクア。二人も里帰りについていって欲しい。そして、ミドリには重大な仕事を与える」

「何でしょうか」

「もしヒデが危険な中に巻き込まれそうになったら、無理やりでもヒデ連れ帰って引き返して貰いたい。それと、もう一つは個別に話す」

 コラールは異災警察のみなに人手が減ることと、だからこそ仕事を頑張ることを告げ解散させた。

 その後、ミドリと個別で話す。

「アクアはまだ仮異災警察だ。ミドリにはアクアが異災警察に相応しいかどうか、確認してきて欲しい。この旅はアクアの試験でもあると思ってくれ」

「分かりました」

 こうして、ヒデ、ミドリ、マリンは韓国へと行くことになった。


 太陽の日差しが世界を照らしている。

人物紹介

〘閻魔〙①


身長:255cm

性別:────

年齢:────

髪色:黒と黄色

所属:(悪魔の一つ)

趣味:────

特技:────

特徴:機械。とても真面目というかデータ通りで、法に忠実。

信念:────

いし:────



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