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22、黒羽 アケト (後編)

アケト「『前回のあらすじ』です」



アケト「前回の内容をざっとまとめます」


・アケトとカルサが争いの絶えない場所で誕生。カルサの趣味が殺し合いの理由にもなる。

・アケトとカルサが紅蓮会に引き取られる。その後、何やかんやあってカルサが異災警察入り。


アケト「大雑把すぎるけど。こんな感じです。今回はR-18には至らないと思うから大丈夫だと思うよ」



~22、黒羽 アケト(後編) ~

 日差しを遮ることで生まれる影。

 (からす)がカカシを(つつ)いている。

「元味方も敵も騙し誘えたぜ」

「ありがとな」

 男はアケトに投げかける。

「いいのか。これで」

 その鴉が昇る太陽に向かって飛んで行った。

「いいんだよ。全てにケリをつけるんだ。これで……」

 腰につけた鞘を強く握り覚悟を決める。



*



 ()びた木片が割れかける。

 家の(ひし)めく音が風によって()き消された。

 町から離れた場所。人はそこに寄り付かなくなった。

 過疎化と呼ばれた土地は限界集落へと変わり、今では無人村となっている。

 朽ち果てた家々が物悲しく建っている。

「集まってくれてありがとう。話はついているかな?」

 そこに集められた十四名の悪人。

 三代暴力団が全て壊滅し、そこに所属していた人が散り散りとなった。その内の人間で彼らは皆何らかの悪事を働き利を得ている。裏営業とでも言うべきこと。それによって多くの損失者がでているし、死者も出してる輩もいる。

 彼らは一つの目的で集められた。

 それはさらなる悪事による利益のため。構想した提案に乗った人達だ。完璧に仕上げた案である。まずその作戦会議のため人目のつかないここに集まって貰っている。

 ただ、それを実行する気はないから嘘である。

 これは罠なのだ。

「あの話はなかったことにしてくれ。今からあんたらは死ぬからさ」

 鞘から刀を抜いた。

 彼らはみな警戒した。銃を取り、刀を取り、能力を垂れ流し。罵倒を流してアケトを目掛けて攻撃しかける。

 風が銃の軌道を変える。

 地面に張られる炎が近寄らせない。

「少しだけお願いがある。永遠に眠っていて欲しい」

 可視化される風が自由に動かされる。その軌道に炎が乗る。風と炎が彼らを傷つける。

 アケトの能力は二つある。一つ目は【炎】属性の〘火炎〙。炎を繰り出せる。二つ目は【風】属性の〘風力〙。風を起こして炎の通る軌道を作る。また、風に乗って空を移動することもできる。

 風に乗り素早く懐へと入る。

 刀から出る炎。その炎が風に運ばれた酸素によって轟轟(ごうごう)と燃え上がる。

 炎を纏う刀が悪人を斬り裂く。

 豪炎が無人の家を崩壊させていった。



*



 騒がしい。これが異災警察の平穏。

 そこにアナウンスが響いた。

 唐突なことに場が静かになった。

《事件発生。場所は茨城県の~から離れた山の元限界集落。【炎】と【風】を操る男性が刀でそこに居合わせた男性十四名に斬りかかりました。斬られた全員が死亡。推定崩壊件数は現在五十を越えました。今も破壊件数は拡大中です。危険度はD-8とされます》

 D-8は以上な数字だ。殺害が認められるD-6でも異常な強さであるのに、そこから二段階も上のD-8は相当危険だと分かる。それほど犯人は強いのだ。気を抜けばすぐに死ぬ。

 ダイはモニターを見て、

「おい、やっぱりアイツの仕業だ。黒羽、来い!」と言う。

 その言葉で皆悟った。

 能力が二つ使える人など滅多にいない。いるとしても、炎と風のコンビネーションではないだろう。

 黒羽は普段の足取りでそのモニターを見ていた。

「殺害可能範囲だ。今から兄者を殺してくる」

「分かった。俺も後々行くが……、勝ってこいよ」

「勿論だ。必ず勝つ」

 そう言って、颯爽と目的の場所へと空を跳んでいった。

 ダイは静かに椅子に座った。

 足を組む、いや魔の手を組む。

 小さな声で呟く。

「おかしいとは思ってたが、このためだったとは……」

 アケトは一緒に難を乗り越えた仲間だ。

 彼が持病を持っていたことを知っている。もしもうすぐ持病によって死ぬと分かっていたのなら。あの思い出作りをした理由も今回の事件を起こした理由も納得できた。

 壊している家は全て誰も住んでいない空き巣に見えた。

 十四人もそこにいるのは不自然なため、アケトが彼らを呼んだのだろう。彼らは悪人だと勘づいた。

 圧倒的な強さを見せつけて、殺害が認められるだけ殺して壊して。

 目的はカルサとの戦闘だろう、と推測する。

 異災警察の手によって死ぬ。

 それは彼の望んだ死に方だ。



*



 炎の狼煙(のろし)が立つ。

 結晶を蹴り飛ばして狼煙の上がる場所へと降り立った。

「異災警察として、兄者を、殺しにきた」

 彼は「ふっ」と笑う。

 危険を感じて飛び立った鴉が空を回っていた。

 カカシが無表情で様子を眺めている。

「こちらは、悪役として返り討ちにしよう」

 カルサが襲いかかる。

 薙ぎ払う刀を後ろに跳ぶことで避ける。続いて、上へと跳び、風に乗る。刀から(こぼ)れる炎が美しく円を描いて進む。

 空にいる黒羽兄を追う。

 空中で刀と刀が衝突する。(こぼ)れた刃が地面に落ちる。

 刀を支点にして空中で回転しながらカルサの後ろに回る。刀を振るうがカルサには届かない。すぐ後に、刀から放たれた炎がカルサを襲う。

 が、何故か当たらない。

 空中戦が続く。

 アケトは風に乗って戦い。

 カルサは空中に現れた結晶を蹴り飛ばして空中戦を繰り広げる。

 炎が空中に沸き立つ。

 二人が地面に着地した。

「やるね。カルサ……」

 カルサは心の中で憤りがあった。

「手を抜くな。兄者よ! ここで黒羽が勝ったら、兄者には悔いが残らず死ねるかもしれない。だけど、黒羽は────」

 心から放たれていく言葉。

 カッコ良さは追求していない。ただ思いを伝えるためのもの。

「一生悔いが残る!」

 その言葉を聞いたアケトは思い知らされる。

 気づかなかった。

 緩く握っていた刀を強く握りなおす。

「ごめん。そうだね。今から本気を出させて貰うよ。こここらが本番だよ。命を懸けた殺し合いは」

「そうこなくては……困る」

 二人は地面を蹴り飛ばす。

 氷を含んだ刀と炎を含んだ刀がぶつかり合う。

 一方の背後には多大なる冷気が流れ、もう一方には燃え盛る炎が流れた。


 空を跳んで刀を振るう。

 空を舞って炎を繰り出す。


 刀同士が触れる。

 炎の壁を避けて跳んでいく。そして、アケトの周りを跳んで回る。

「こんなに速く動くなんて。強くなったね」

 そして、近づいて刀を薙ったが、簡単に刀でいなされた。

 背後に向かって落ちていく。と思いきや、風のトランポリンで跳ね返る。炎を纏わせた刀がカルサ狙って進む。

 対して、結晶を強く蹴り飛ばして真っ直ぐ進む。その間に体を捻り回転しながら進んでいく。

 炎の刀身がカルサの左眼を撃つ。左の目が消失する。また、体全身を襲う炎が体を傷めさせる。

 鋭い刀身がアケトの左横腹を撃つ。血が空を舞った。

「やるね。けど、まだ終わりにはしないよ」

「今のは。硬度を高め鋭く穿(うが)つ槍と成す『()()()』。殺傷力の高い必殺技だ」

 戦いは終わっていない。

 戦闘は再び空中へと移る。

 血を落としながらも空を舞う。炎を放って風で運ぶ。

 進む炎を結晶を蹴って避けていく。避けて、避けて避けていく。

 カルサは上に向かって跳んでいく。

 炎を纏わせた刀。体を捻って回転を加える。炎の舞っている中、下降しながらカルサに鋭い剣撃が加えられた。

 一方で、アケトには刀から放たれる氷の結晶がアケトの中に咲く。

 アケトもカルサも地面に降りた。

「感謝を込めた紫の結晶『(おと)()()(きょう)』」

 心の中に鏡が現れる。その鏡に映る黒羽兄弟の暖かい思い出。そこに見え隠れするカルサの"感謝"。

 アケトは優しい記憶に打ちひしがれ地面に倒れた。

「僕の……負け、だよ」

 今にも死にかけそうだ。

 カルサは近づいて落ちている刀を拾った。

「この紅薇刀(こうらとう)は黒羽が責任を持って貰っておく」

 紅薇刀はアケトの大事な愛刀であった。

 その刀に何度も刀を折られた経験がある。

 六本の刀の刺さっていない鞘の内一つにその刀を刺す。

 異災警察として、兄の意志を継ぐ弟としてその刀を没収する。

「その方が……いい」

 現実に流れ込むフィクションの景色。

 少しずつ別世界の景色が重なっていく。

「カルサ。最後に……伝えたい言葉が……あるんだ。僕の一番好きな……言葉」

 ゆっくりと伝えていく。

「その……言葉は……幾つもの思いを……込められる言葉なんだ。ボクはそこに……沢山の思いを込めて伝えたい」

 走馬燈が見えていく。

 アケトは薄れる記憶の中で言葉をひねり出す。一番伝えたい言葉。


「 () () () () () 」────


 たった五文字の言葉だった。

 走馬燈が流れていく。思い出す記憶一つ一つに、カルサへの感謝を心で述べる。

「カルサのお陰で、僕は強くなれた。残り僅かな命に望む終止符を打てた。まだまだ……ある。伝えきれない程の感謝が溢れてやまないよ」

 そして、体は無意識の世界へと落ちていく。

 静かに見送りの言葉がかけられる。

「黒羽からも伝えたい言葉がある。五文字の言葉だ。ありがとう────」

 その言葉を飲み込んでいく。

「これで躊躇いなく地獄に落ちられるよ」

 瞼を閉じる。

 果てしない無の世界に足を踏み込んだ。永遠に戻ることはない。

 死体の上にオトメギキョウが咲く。花言葉は感謝。暖かい記憶を知らせる。

 カルサは空一面に広がる水色とそのキャンパスに映る鳥を眺めていた。



 ダイが遅れてやってきた。

「終わったか」

「ああ。終止符を打ってきた」

 戦いで始まり終わる。如何にも"黒羽"らしいと感じる。そして、目の前にいる弟の方も同じように死にたいだろうなと感じた。

 敬意を持って死体を運んだ。


 死体は片桐の墓の近くに建てられた。

 黒羽は手を合わせてその場を去った。


 清々しい空が黒羽を優しく照らしていた。



*



 七本の鞘。その内二本に刀が刺さっている。

 失った左眼を隠す眼帯。

 黒羽がさらに厨二病感が増して帰ってきた。


 異災警察の部屋に飾られた一枚の写真。

 空の水色がLWSで()られた記念写真を輝かせていた。

 そこにアケトの姿はいないが、この写真を見ていると彼の姿が思い出された。

人物紹介

《黒羽 カルサ》①


身長: アケトよりか少し小さい

性別:男

年齢:28歳

髪色:白と黒

所属:異災警察 (5期生)

趣味:殺し合い

特技:剣術

特徴:七本の鞘をつけている。その内、二本に刀が刺さっているが、他は刺さっていない。左眼に眼帯をかけている。厨二病。

信念:殺し合いがしたい

いし:カルサイト (自信)


続く話5:00

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