表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/35

14、激突! 虎眼株式会社

トーン「『前回のあらすじ』あらすじ~」



トーン「えー、いきなりいわせて貰います」

トーン「Help Me!」


トーン「探偵として秘密裏に潜入してたら見つかっちゃったよ。何なのあのタイトって奴。強すぎるよぉ~」泣


ダイ「うるさい。助けに行くから黙っててくれ」


トーン「はい」スン


~14、激突! 虎眼株式会社~

 建物の中は閑散としていた。

 待ち構えていた従業員が鉄のパイプを振り回しながら襲いかかっている。彼らの目は金に溺れていた。

 緑風が通り抜ける。次の瞬間峰打ちで気絶する。

 この世のものではない腕が器用に峰打ちをして気絶させていく。


 潜入六日目にして異災警察と虎眼株式会社はついに激突を迎えていた。

 虎眼の社長はトーンを人質に取り、社長室へと向かうように指示した。そこへと行く途中で襲いかかる敵の数々。もう戦闘は始まっている。ここは彼の言うとおりに社長室へと向かうしかなかった。

 捜査強行は七日目だったが前倒しとなった。

 早くトーンを助けて社長を初めとする拉致などに関する主犯格を捕まえなければ。

 走る足音が廊下の中を反射していった。



*



 さらに良い席に座りたい。目指すは名誉社員。

 パタは三十年前から虎眼で働き始めた。

 いつだって権力に(すが)りたいと思っていた。子どもの頃は親や教師に媚びを売って、友達やクラスメイトより上の権威を持っているんだと、そう思って見下していた。

 権力を振るいたいのではない。

 いつだって権力に縋りたい。その意志は虎眼でも発揮された。

 手段を選ばない選択。粘着的な戦略。仲間をも見捨てる非情さ。それを持って重役のポストまで登りつめた。次は空席の名誉社員席に座りたい。そして、退職後も会社に対して権力を持ち続けたい。

 パタは心の中で強く願っていたのであった。

 その願いを叶えるためにはまずは目の前の敵を倒すのが先決だった。その敵は走っているコースそのものを破壊する。その席だって虎眼が潰れたら同時に効力がなくなる。

 目の前の敵を倒すことはさらに利点を生む。

 相手は相当な手練れ。ここで敵を倒して社長に一目置いて貰えれば名誉社員への道のりはうんと狭まるのだ。


 鋭い爪から滴り落ちる毒液。電球の光を反射していた。

 戦闘は未熟ではない。そう思い込んでいた。


 時は(さかのぼ)り、パタが相当高い位へと進んだ頃。

 社長のガーズはパタを社長室へと呼んだ。

 綿を潰して深く腰掛けるガーズ。淡々と今後の会社の方向について説明していった。

「君を呼んだのはこれからの会社方針についてだ。君の出した案を一通り呼んだよ」

 そう言って紙の束を取り出す。書類を机に置いた。

 そこには、社員を一つの寮に暮らして貰い、労働者数の増量を測るものだった。

「その着眼点は素晴らしい。だがね、君らしさが足りないよ。私は君の目的主義に目をつけていたつもりだ。警察、いや関係者以外にバレなければ何でもしていい。そこを踏まえてもう一度考えてみてくれないか」

 そう言って書類を返した。

 自分らしさ。目的なら手段を選ばない所。パタは思考を巡らせていく。

 違法なことにも手を出してまでしても、絶対に利益を上げる。

 そこで思いついたのがもう一つの社会を作ること。

 つまり、壁を作りその中に労働者を閉じ込めること。壁に閉じ込めれて外にはバレないようにする。

 その時は警備を強固にすることで脱出を防ごうと考えていた。ただ、そこにはいつかその警備をすり抜けて脱出される可能性が高く完璧なものではなかった。

 その案を提出すると、磁砂鉄の使用を加えて修正された案にして返された。

 その案こそが今の状況を作った根本である。

 中からは脱出できず外からは内部が分からない。もし怪しんだ警察がきたとしても内部が分からないレプリカの世界を作り平穏だと視覚的に思わせる。


「このプロジェクトを君に任せるよ」

 パタはこの戦略の責任を全て負った。そして、その全権を武器に権威を高めていった。

 早速建設されていく壁。従業員は当初誰も疑わずにいた。

 唐突のリストラを掲げ不安要素を取り除き、土台が完成する。プロジェクト開始から僅か二年半頃のことだった。

 そして、さらに時間が経っていく。

 ある日、ガーズがパタを呼び出した。

「いつか警察が強行してやってくるかもしれない。その時は海外へと逃亡すればいいが……。その場を(しの)げなければ失敗する」

 ガーズは肘を机に置いて、

「そのために自らが強くなければならない。異災警察と呼ばれる組織は法の中にあるが常識は通じない。彼らは何と呼ばれているか分かるか?」と聞いた。

「異災のD-ポリスですか?」

「ああ。彼らは常識を逸脱した警察集団だ。もしかしたら戦闘になるかも知れないのだ」

 彼の瞳はさらに未来を見通していたようだ。

 全てお見通しだった。

「戦闘に備えて鍛えなければならない。君も強くなるために鍛えておくことだ」

 強くならなければならない。そう言って、戦う準備を促した。

 購入した鉤爪と天より与えられた異災能力。それをさらに伸ばしていく。

 同時期に雇われる最強と謳われた男タイト。

 虎眼株式会社は戦闘で強力な戦力となっていた。


 その日から三年後。

 今目の前には走ってくる二人の敵が。

 三年間鍛えた毒爪攻撃で敵を切り裂こうと手を大きく振りかぶった。



*



 緑色に(なび)く風がパタを包む。

 瞬間移動の素早さでミドリは背後へと回り込んでいた。


 妖精の足跡────


 パタの周りに現れる旋風(せんぷう)。その風がパタの身動きを封じていた。

 その間にダイが素通りしていく。

 パタが叫んだ。待て──と。

 しかし、その声は虚しく終わる。旋風が小さな竜巻へと変わってパタを飛ばす。

 天井に衝突し、地面に落とされる。

 その衝撃がパタを気絶させた。



 エレベーターを通り過ぎる。虎眼がエレベーターを小細工している可能性もあるため信用できなかった。

 会社の階段を登っていく。

 誰もいない階段には登る足音だけが響いていた。

 最終階への階段は続いていなかった。暗記していた会社の内装を思い出す。最終階へと行くには廊下を通って別の階段から行くか、エレベーターから行くかの二択だ。

 その選択肢でエレベーターは使わない。だからこそ、廊下を通って別の階段へ進むしか道はなかった。

 ただ、その選択肢は罠の臭いがする。

 それでも二人は先を急いでいく。


 ガラス窓を通して光が廊下を照らす。

 二人は真っ直ぐ走っていく。その先に階段に繋がる扉が見える。

 その時だった。

 聞いたことない非常ベルの音とともにシャッターが閉じていく音が響いていく。

 目の前にも背後にも降りていくシャッター。このままでは閉じ込められる。

 ダイは横を向いて、

「先に行く。合流待っている」と言い残す。

 魔の手を繰り出して足に絡ませた。何日かに一回しか使えない消耗技。幻影が見えるスピードで進みゆき、シャッターの向こう側へと駒を進めた。

 一方ミドリはシャッターの中に閉じ込められた。

 この廊下はティー字路のようになっていた。合流地点に行くと廊下で立っている一人の男を見つけた。

 もし漫画で彼を描くなら一番面倒くさい感じがする。手には二本の茶色い太い刀。鋭い眼光がミドリを捉えていた。

 彼の名はタイト。

 虎眼の雇った最強の男だ。



*



 ダイは最上階へときていた。一番中央にある大きな部屋。そこへと通じる扉を開いた。

 椅子を回転させて扉の方へと向く。

 腕を組んでダイのことを眺めていた。

「ようこそ。我が虎眼へ。異災警察の木更津大君」

「何のようだ? 早く人質を解放してくれないか」

「そう早まらないで欲しいね。今はゆっくりと話していたい気分なんだよ」

「申し訳ないが俺には余裕がない。人質の解放交渉しようじゃないか」

 ガーズは驚いたように目を丸くした。

 そして、含み笑いを浮かべた。

「交渉はするのか。異災のデンジャラスポリス。彼らは野蛮だという噂を聞いていたものだから颯爽と捕まえにくるのかと思ったよ」

 ダイも含み笑いで返した。

「百聞は一見にしかずだ。それで交渉しよう。どうしたら解放してくれるんだ?」

「私は考えた。しかし、その願いを聞いてくれないだろう。確実に交渉は決裂する。そんな願いだが聞いてみるか?」

 ダイは嗚呼と頷く。

「そうか、なら話そう。私はこの会社の経営状況を維持したい。そのために見過ごして欲しいのだよ。しかし君達はそれを取り締まるために来ているのだから難しいだろう。少し妥協して海外へと逃亡を図り海外で経営していきたいが、ここで見過ごしても逃亡を防ぐため航空や海運の警備を強化するだろう。そうなれば私は捕まってしまい本末転倒だ。それが本当かどうか口先だけでは不安要素だ」

 部屋に飾られる像を見上げた。

 冷静に息を吐く。

「不安要素は嫌いだ。確実性がなければその手段を選ぶ気はない。やはり、君達には死んで貰うしかないのだよ。潜入から一週間後、つまり明日君達の仲間が来る。その前に死んで貰いたいのだよ。そうすれば証拠を抹殺し、偽の証拠で全て隠滅できる」

 今も仲間が連絡を待っている。その期限は明日まで。明日になれば彼らが突入して合流する。

 彼はそのことを知っていた。トーンに聞いたのだろうか。

 とりあえず、ガーズの頼みは……

「お願いだ。今ここで死んでくれないだろうか────」

「そうか。そっちの言う通り交渉は受け入れられないな」

 ガーズは椅子から立ち上がり机の前にきた。

 二人を(さえぎ)るものはない。

「私にも時間がない。もう一つ交渉のための願いを忘れていたよ」

 ガーズは続ける。

「私達と殺し合いをしよう。それなら飲み込めるだろう? 勝てばトーンを救えるし逮捕もできる。しかし、負ければ全てを失う。勝てば利益、負ければ無に返る。さあ乗るか?」

「仕方ない。交渉を受け入れよう。戦わずに済むと思ったのだけどな」

「配置した部下達と一戦交えて何を言う」

 ガーズは義手の手を上げ、ダイは腹の次元の穴から魔の手を繰り出した。


 魔の手は迂回(うかい)してガーズの背後へと回り込む。ダイは正面から殴りかかり、魔の手は背後から殴りかかる。

 ガーズは右手を伸ばしたまま。その手とダイの体が近づく。

 次の瞬間、重い衝撃が加わり壁へと吹き飛ばされた。

「何が起きたんだ……」

 思わぬ衝撃で攻撃は中断した。

 魔の手を伸ばして攻撃する。ガーズは腕を合わせてその攻撃を防いだ。両手の義手はとても丈夫であった。

 今度は左手を伸ばす。その手を延長線にはダイがいる。

 次の瞬間、ダイに真横の引力が働きガーズの左手に吸い込まれるよえに進んでいく。そして、近づいた頃には引力は消える。それと同時にガーズの右手が体に当たる。

 強い反発力がダイを壁に叩きつけた。

「私の手は磁石と同じでね。君の体内にある磁砂鉄と反応し吸い付けたり吹き飛ばしたりできるのだよ」

 体の中に溜まっている磁砂鉄。それを利用して攻撃してくる。飛ばされたり吸い付けられたりした理由が判明した。

 しかし、対策は思いつかない。

 ガーズの攻撃は止まない。

 吸い付けられて飛ばされる。魔の手の攻撃は避けられたり鉄の硬さを持つ義手に守られたりする。近づいて攻撃してもすぐに反応し体を飛ばしてくる。

 壁への衝突から腰を痛めていく。

 汗が浸る。

 無口になる。

 足が止まる。

「それではフィクションを作るためにこいつによって死んで貰おうか」

 ガーズは部屋の片隅に隠されていた金庫を開ける。そこにあったのはカプセルであった。

「新型の肉片だ。彼らは小さくても力の強い肉片を取り出すことに成功したようだが、試しにここでその強さを拝見しようか」

 悪魔の肉片は大きい個体ほど強い。しかし、彼の言う通りならその肉片は小さい個体でも強い。

 カプセルが破壊される。そこから肉片が飛び出した。

 小さくても殺気で部屋を凍らせるほどの力がある。

「こりゃあ、言い逃れはできねぇな」

「ここで君が死ねば野生の肉片が暴れたと言うストーリーが作れる」

 証拠不十分にするにはダイ達は邪魔だと言うことだ。今のままでは確実な証拠が出揃っている。

 突如現れた肉片がダイやミドリ達を全滅させた。そして、会社は崩壊。警察は虎眼が怪しいと見るが確かな証拠はない。そして、その間に海外へと逃亡していく可能性もある。

 早くガーズを捕まえなければ。


 ただそれ以上に目の前の状況を何とかしなければならない。肉片が液体を垂らしてダイを睨んでいた。

 伸びる個体。攻撃が無差別に放たれた。

 攻撃を避け壁が傷つく。ダイは魔の手で地面を蹴り攻撃を避けていた。一方、ガーズは義手で捌いて攻撃を退ける。

 何度か攻撃を避けていき部屋の隅っこへと追い込まれていた。近くの豪華な設備は肉片の攻撃で崩壊している。

 そこで攻撃を(かわ)そうと魔の手を動かす時に、床に何かが落ちていることに気づいた。

(これは……羽根? 何故ここに羽根が落ちているんだ)

 白い羽根に集中を向けてしまったことで肉片の攻撃を避けることに疎かになった。

 衝突ぎりぎりの所で思いっきり地面を蹴り上に跳ぶ。

 壁を蹴って隅から脱出したら、魔の手を鞭のようにしならせて肉片を叩いた。手応えはある。もう少しだ。もう少しで肉片は倒せる。


 機械音が鳴り響く。嫌な予感が横切った。

 何かされる前に早く肉片を倒して備えよう。次元の穴に力を入れる。一回使うと何週間は使えない技。

 次元の穴が広がる。そして、その穴から魔の手が一つ、二つ、三つと出てくる。

 八つの魔の手。

 魔の手が伸びて屋上に届く。真上から真下に向かって放たれるパンチが何回か繰り返される。その様子まさに──槍の雨──である。

 無数のパンチが肉片を壊した。

 崩れ去る奥にはガーズが重機関銃を持ち先をダイに向けている。

「肉片は目を逸らすためのもの。この攻撃で終わりだ」


 ガーズの正面に放たれるレーザーが壁諸共吹き飛ばす。

 入口の扉は消え、廊下が破壊される。外の空気が流れ込んできた。


 ダイは……

 ガーズの真上にいた。咄嗟の判断でガーズの真上へと跳んだのだ。

 落ちていきながら蹴りを加えようとするが攻撃は躱され右手が体に触れた。吹き飛ばされる。

 真後ろに何歩か歩けば真っ逆さまに落ちる。背中の向こう側には空が広がっていた。

 後ろに壁はない。ただ最上階からの景色が見えるだけ。


「まさか仕留められなかったとは。()だね。早く楽になりたいとは思わないか?」

 後ろ側に右手を添える。そして、ガーズはその方向とは真逆の方向へと飛ばされた。そうそれはダイのいる方向へ。

 ガーズが向けた先には磁石となるものがあったのだろう。そして、互いに反発し合って飛ばされた。相当磁力が強いのだろう。そう感じた。

 目の前にはガーズがいる。彼の右手がダイの腹へと近づいていた。

 そしてそのまま空へとほおり出された。

 下には遠くに見える黒色の地面。このまま落ちたら死ぬ。

「そのまま落下して死んでくれ。私のためにもね」

「そんなこと言ってる場合か?」

 ダイの伸ばした魔の手がガーズを掴む。ガーズは武器諸共魔の手に引っ張られ空中へとほおり出された。

 ダイとガーズは自由落下していく。

 心地よい風当たりを恐怖が押しのける。


 フリーとなった魔の手が地面への衝突を吸収する。ダイは魔の手のお陰で無事に着地した。

 ガーズは地面にある磁砂鉄を全て引き寄せた。

「『虎の絨毯(じゅうたん)』」

 磁砂鉄の塊へ落ちるガーズ。砂が威力を吸収する。多少のダメージはあるが大きなダメージとはならなかった。ガーズは磁砂鉄のお陰で何とか着地した。


 敷き詰められている磁砂鉄が地面を黒に染める。

 日差しを建物が遮り日陰となっている。人気はなく寂しさすら感じさせる。

 そこにはダイとガーズの二人の荒い息遣いだけが響いていた。

「まさか、落とした側も落とされるとはね。油断していたよ。勝つビジョンがあるからと油断するものではないね」

 ダイは深呼吸して息を整えた。

「とりあえず第二ラウンド始めようか」


 軽く吹いた風で黒い砂が舞っていた。

人物紹介

『パタ』②


能力:毒指

属性:毒

武器:鉤爪

戦闘:鉤爪に毒を絡ませて攻撃する。

災害:毒の流出

秘話:虎眼編の元は奴隷の人々を見つけてその奴隷にしている会社に攻めていくという感じだった。その頃のパタは奴隷を苦しめる人物で、会社内部には登場しない。


次は3時間後

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ