始まりは墜落から/前提知識の巻き
「さあここで涼介選手がエントリー、続く敦也選手がおおっと裏取りに来たミカエル選手をカウンター!!信じられない!!!」
「これはもう人間業じゃないですよ、まるで天に目があるようです」
「おおお!!秋助選手の陽動に釣られた敵がAサイト方面に向かっt....ああああ!!!なんだ何が起きたんだ!?遠距離からの狙撃だぁ!!
愁斗選手素晴らしいエイム!!!そして煉選手がプラント!!...??いきなり来た方面にグレネードを...は!?まさかその角度は!!!」
「裏取りしに来た敵にはそこからじゃ届かないはず...えっ!?看板オブジェクトに引っ掛けた!?まさか!?」
「敵がエントリーしようとした瞬間に、グレネードが直撃!!!!!!これで試合終了!!!!勝者は日本代表!チーム『ノア』!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2036年 世界はE-Sportsであふれていた
4年前にオリンピック競技とされ
e-sportsはもはや公式なスポーツと認められたのだ
FPS、RTS、パズル...
様々な種類のゲームの大会が世界各国で開かれており
動く金額は数兆円にまで上った
プロゲーマーという職業は成功すれば高収入で、さらに引退後もチームプロデューサーとしての道が待っている
小中学生あこがれの職業の第二位に君臨した
そして今年のオリンピックで日本人高校生チームがVRFPS部門で優勝を飾った
チーム名は「ノア」
まるでチーム全体が一つの生き物のようなプレイで観戦者を魅了した
中でもIGLの指示が圧倒的で、敵の位置がすべて見えてるのではないかとの錯覚すら感じた
もちろん強すぎて一度チートツールの使用を疑われ、デバイスのチェックが入った
しかし結果は白
彼らの強さは完全なる実力だったのだ
予選では圧倒的な強さを見せ、現役プロゲーマーを完膚なきまでに叩きのめし
本選では海外の有名チームをほぼラウンドを取られることなく勝利
決勝では一時押され気味だったが最後は見事勝利を勝ち取った
試合終了後のインタビューでは流暢な英語を使いこなすメンバー達に記者たちは驚いた
空港では一目見ようと集まった世界中のゲーマー達
日本に戻れば注目の的だろう
しかし日本では別のことで注目を集めてしまうのであった...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ポーン
飛行機内でよく聞く音だ
この音を聞くとようやく日本に帰れるんだなって気分になれる
しかし疲れた...
日本に帰ったらマスコミ対応がめんどくさそうだ
しばらく家に引きこもってよう...
それにしてもみんなのエイムが完全にゾーン入ってて驚いた
決勝の敦也の動きなんかもはや人間超えてた気がする
「なあなあ煉!お前マジで最後の読みは超能力レベルだったぞ!」
彼の名は戦国 涼介
うちのチームのエントリーフラガー
ツーブロック入れてて身長が180cmもある
一言でいえば強そう
ちなみにエントリーフラガーっていうのは、一番最初に敵陣へ切り込む切り込み隊長のこと
この役職がなければ敵へ決定打を与えるチャンスはやってこない
とても重要
「ほんとにそれは思う、エントリー前も煉の指示がなければ俺ら二人あの位置で挟まれてた」
茶髪の彼は二階堂 敦也
サポーターだ
基本的にエントリーフラガーと一緒に動く
切り込むときにさすがに一人だときつい場面もある
そんなの時に役に立つ
今回の試合だと裏取り
つまり後ろから忍び込まれたときにサポーターがいるといないとじゃ生存確率が全然違う
「ありがとう、流石に脳みそが焼き切れそうだった...」
僕らは笑う
それと申し遅れたね
僕の名前は黒月 煉
IGLをしているよ
イン ゲーム リーダー その名の通りゲーム内で作戦の選択、次の行動などを指示してる
この役職がないとそもそも連携ができない
事前に決めた作戦十数個の中から適切だと思うものをその場で考えてメンバー全員に指示を出す
途中で予期せぬ事態に遭遇した時は1秒以内に次の行動を決める
撃ち合いが0.3秒で決まるゲームで1秒以上のロスは命取りだ
即座に判断しなければいけない
さて、ついでに残り二人の自己紹介もしよう
小柄で黒髪パーマの目黒 秋助
茶髪で柄物の眼鏡をしているのは目黒 愁斗
彼らは双子だ
秋助はルーカー
愁斗はスナイパーだ
スナイパーは言葉から想像できるがルーカーって何?となる人も多いだろう
ルーカーとは簡単に言えば裏取りや、陽動をする人のことだ
これがあるなしでは試合運びの難易度が桁違い
別方向で銃声を鳴らし
寄ってきた敵を愁斗がほんの小さな隙間からスナイパーで射貫く
これでほぼ確実に一人は持っていける頼れる仲間
…どうやら頼れる仲間二人は後ろの席で眠っているようだ
うーん日本までまだ6時間もかかるのか
僕もひと眠りしようかな...
その時だった
突然右から大きな爆発音が聞こえたのだ
ガガガと揺れる機体
落ち着いてくださいと叫ぶ客室乗務員
騒ぎ出す乗客
傾く機体
機内はいきなり大混乱に陥った
「なあ!煉!これやばいんじゃねえか!?」
慌てる涼介
「落ち着いて涼介!さすがに墜落はしないと...思う...」
不安を抱える敦也
「少し待て.....俺らが取れる行動は一つだけだな」
僕はすぐに結論を出す
「耐ショック姿勢!!!!」
「「...了解!!」」
少しの間を置きすぐさま耐ショック姿勢をとる二人
二人の信用に少し感動した
なんの疑いもなく実行してくれるとは...
...しかし、これはまずいな
おそらくだが
死ぬ
17年の短い人生だったなぁ
死ぬ前に後ろで寝てる二人の顔も見ておこう
...寝てる
よくの爆発音やら騒音で起きないな
じゃあ俺も寝よう
そう現実逃避しかけたその瞬間
窓には海が見えていた
迫りくる水面
はじけ飛ぶ音
僕は意識を失った
初投稿なので誤字脱字ひどいかもしれませんがこれからもよろしくお願いします!