1条3丁目-6
[side-KIRIBATAKE]
バスに乗っても、幸ヶ谷さんはずっと車窓を眺めています。普段ならたかはるさんのことを色々話してくれるのに、今日の幸ヶ谷さんは、少し様子がおかしいですね。
一応話だけは聞いています。たかはるさんの友達のサッキーさんが、青木さんかもしれないと。
青木さん、好きなんですね。もちろん友達としてですが。
「ああ、好きだな、友達として」
たかはるさんとどちらが好きですか?
「そういうのは比較するようなことじゃないと思うんだが……」
青木さんというのは、去年の4月頃まで幸ヶ谷さんと仲が良かった人です。たかはるさんは、去年の6月頃にインターネットで幸ヶ谷さんと知り合いました。
昔の友達と、今の友達。やはり代替できるものではなかったのでしょうか。
「そうだな。さくらんがいなくなったのは寂しいけど、たかはると仲が良いのはまた別問題だ。たかはるはたかはるで、私の大切な友達だからな」
そう言うと、瑞穂さんは、前方のLED表示を確認して、急いで降車ボタンを押しました。
ドアが開くと、「じゃあな」と言って、何の疑いも持たずに降りていきました。
つい本心が出てしまったのでしょうか。
降りたバス停は、浅間前ではなく、6つ手前の桜十字路でした。




