1条2丁目-1
1条2丁目 周縁世界の思い出
[side-AOKI]
4月22日、日曜日。
今年度2回目の新友会。
高島さん達にとっては、新メンバーが加入して2回目。
私にとっては、新しい世界に飛び込んでから2回目。
1丁目線南行。外郭線内回りっていう言い方もある。
12時38分。私を乗せた電車が、定刻通り24条1丁目に着くと、西行の白いポールから高島さんが走ってきた。
「サッキーしゃっぽー」
いつの間にか私に付いていたあだ名は「サッキー」。さくらんじゃなくて良かった……って思ってたんだけど、その後の挨拶がちょっと。
しゃっぽーって、私とこーやんが使ってた挨拶だよね。なんで高島さんが……?
「サッキーどしたの?」
あ、ごめん何でもない。先行ってていいよ。
「分かった……ごめんね」
なぜか顔を俯けて、走っていってしまった。何か悪いことしちゃったのかな……?
そこまで考えて、「あれ?」って思った。
大野くんは一緒じゃないの?高島さんと大野くん、いつも一緒なのに……。
高島さんが降りた白いポールは、地上線トンネルの中。トンネルの先は、地上世界。
何か嫌な予感がして、私は高島さんを追いかけて走っていった。
高島さん!
「サッキー?」
大野くんはいないの?
「おおのん?」
高島さんは周りを見回して、
「そういえばいないね……」
今気づいたみたいな顔だね。一緒じゃなかったの?
「乗ったときは一緒だったんだけど……」
乗ったとき一緒だったのに、なんで途中ではぐれるんだろう……。
「あ、多分降りたときじゃない?ちょっと居眠りしてたし」
高島さんの話だと、大野くんは立ったままうとうとしてて、終点に着いてもそのまんまだったらしい。24条線は新本郷で一番混んでる路線。高島さんも気づかないまま降りちゃったんだって。
24条1丁目だから、普通なら折り返して24条線101丁目行になる。そのときに運転手さんが気づいて起こしてくれるんだけど、
もし高島さん達が乗った電車が、24条1丁目止まりじゃなくて、地上線直通の桜十字路行だったら……。
大野くんは今、地上世界にいるかもしれない。




