パート4 『こんなの魔法少女じゃないかも。』
話の結果はこうだった。
あの少女とローブの人は何処か別の次元から来た人間だろうという事。何らかの出来事で少女は狙われている事。推論としては向こうの世界の雨音とその少女は邂逅を果たしている事。そして魔法の行使が出来ることを理解していた事。
「別の世界だったり、別の私だったり…何が何だか」
「そうだろうな、まぁ…今すぐ順応しろとは言わないからゆっくり慣れていこう」
咲は雨音の頭を優しくなでる。
「ん……///」
雨音は少しくすぐったそうに目を細める。
「へー、咲に撫でられる雨音かわいー!」
その声にびくっと雨音は反応してキョロキョロと声の主を探す。
「こっちこっち!」
「ど、どこ…?」
周りを見渡すが声の主を見つけることは出来ない。と、その時。
「やっほー!」
「ひゃぁあああああ!」
後ろから飛びつかれた。見渡した時に後ろも見たはずなのに…と少し困惑しながらもベッドに押し倒される。
「やっほい、雨音ちゃん」
「凛ちゃん!? なんで此処に?」
知っている人に出会えた安心感はあるが、なぜここにいるのかという疑問が浮かぶ。
「なんでかって? 私も魔法少女だからなのだよ!」
どや、とない胸を張って見せる。やめろ。見ているこっちも虚しくなる。
「えっ、凛ちゃんも魔法少女なの!?」
魔法少女って実在した、というかこんな身近にいるとは思ってなかった、という感じに口をパクパクさせる。
「えー、魔法少女―…ナルホドナー……えっ、魔法使える人って結構いる感じ!?」
半分放棄しかけた思考を叩き起こし、雑な質問を投げかける。
「えぇ、そりゃ…うちの研究室にも5人ほど」
「やっぱいるんですね……」
何処か残念そうにする。魔法使いってアニメの中の世界だと思っていた雨音にとっては自分がその魔法を使えることに自信を少し持っていたのにも関わらず、自分より上手く扱える人が割といると分かったのだ。
「そうそう、貴女も魔法のコントロールできるように特訓するわよ」
「えっ、特訓?」
「そうそう、また暴走でもして周りに迷惑かけたら危ないでしょう?その為にも、あとはシャドウ達の殲滅も手伝って貰うわよ」
またも良く分からない展開になってきた。パンク寸前の頭を振り思考を取り戻す。
「シャドウって何ですか…?」
「魔法の副作用って所かね。この世には魔法を使う物は多く存在する。それは人間だけではなく植物や動物。そして地球もね」
「えぇっ!?」
思いがけない事実に驚きを隠せない。地球が魔法を使うなんて聞いたこともないと反論したいところだった。
「どういうことです…」
「世界が今こうやって保たれているのも魔力に寄る物が多い。いくつかの物は知られていないだけで魔力によって生み出されている物もあるの。その膨大な力によって生み出された闇の部分が地震や噴火、ゲリラ豪雨だったり……人々を襲う化け物。シャドウ」
「そんなものが…」
「ちょっと待ってね、今モニタに写すから」
そう言って映し出されたのは文字通りシャドウ。影のように黒い化け物。その姿は様々な動物の形をしていたり、ただの化け物だったり、そして…人の形のものもあった。
「こんなのが、本当に…?」
信じられない、と言った感じだった。こういった物語には敵の存在は付き物だろうが、これまで至って平穏に暮らしていた少女からはあり得ない世界だった。
「あぁ、信じられないかもしれないが世界の裏側の現実だ。魔法が使える者としてはこれのせん滅に協力してほしいのだよ」
「……」
正直、簡単に『はい』とは答えられなかった。そう答えてしまったらまたあんな危ない目に遭う事は目に見えていた。 しかし、少女を『救え』という言葉が『いいえ』と答えるのを遮っている。
「なに、怖いのは分かる。嫌なら嫌で構わない。ただ特訓だけは少なくとも受けてもらうぞ。その後は協力しないのなら魔法の行使はしないで頂こう。特訓期間が君の悩む時間になるだろうさ。じっくり悩むといい」
「わかりました」
今はそう答えるしかなかった。
こんな作品のページを開いていただき幸いです。
文系を先行していたわけでもなく書いてみた作品なので文字力は無いです…
そんなのでもよければ何かアドバイス等いただけると幸いです。
それでは、また。